当事者 訴えまたは訴えられることによって判決の名宛人となるもの 二当事者対立の原則 訴訟において二当事者がお互いに相対立して存在することが必要であること 当事者能力 民事訴訟の当事者となることのできる一般的な資格 訴訟能力 訴訟当事者が自ら単独で有効に訴訟行為をなしまたは受けるために必要な能力 法定代理人 本人の意思の基づかないでなる種類の代理人 訴訟代理人 訴訟追行のための包括的な代理権を持つ任意代理人 訴え 当事者が裁判所に対しその求める裁判の客体と裁判の形式とを明らかにして裁判を求める申立 訴訟上の請求 (狭義)原告の被告に対する権利主張 (広義)加えて原告の裁判所に対する勝訴判決の要求 形成の訴え 判決確定により法律関係の変動を生じさせる訴え 形式的形成訴訟 形成原因が具体的に定められていないタイプの形成訴訟 請求の趣旨 訴えによって求める審判の内容の簡潔かつ確定的な表示 請求の原因 請求の趣旨を補足して、訴訟物を特定するために必要な事実関係 訴えの利益 本案判決をすることの必要性及びその実効性を個々の請求内容について吟味するためにもうけられる訴訟要件 将来の給付の訴え 口頭弁論終結時までに履行期の到来しない給付請求権を主張してあらかじめ給付判決を受けることを求める訴え 当事者適格 訴訟物たる特定の権利または法律行為について当事者として訴訟追行し本案判決を求めることができる資格 第三者の訴訟担当 訴訟物たる権利関係の主体に代わり、またはこれと並んで第三者がその訴訟物について当事者適格を持つ場合 法定訴訟担当 法律の規定により第三者が当然に訴訟追行権を持つ場合 任意的訴訟担当 本人の授権によって訴訟追行権を取得する場合 訴訟行為 裁判に向けて訴訟手続を進行させていく当事者及び裁判所の行為 訴訟物 実体法上の権利または法律関係の存否に関する原告の権利主張 処分権主義 当事者が訴訟の開始、訴訟物の特定、訴訟の終了紛争の実体的解決について処分権能を有し、これらについて自由に決定できること 一部請求 数量的に可分な債権の一部のみを請求すること 訴えの取下げ 原告が自ら提起した訴えを撤回すること 請求の放棄 請求に理由のないことを認めてもはやこれを争わない旨の期日における原告の意思表示 請求の認諾 請求を認めてこれを争わない旨の期日における被告の意思表示 訴訟上の和解 訴訟係属中、当事者がその主張をお互いに譲歩して訴訟を終了せしめる旨の期日における合意 訴訟指揮権 訴訟が適法にかつ能率的に行われるように監視し適切な処置をとるための裁判所(か裁判か)の権能 職権進行主義 訴訟手続の進行とその整理がもっぱら裁判所の主導権の下で行われる主義 責問権 訴訟手続に違背があった場合に異議を述べてその無効を主張する当事者の権能 弁論主義 事実と証拠の収集を当事者の権限とする建前 職権探知主義 事実と証拠の収集を裁判所の権限とする建前 弁論主義の三つのテーゼ 第一テーゼ 裁判所は当事者の主張しない事実を判決の資料として採用してはならない 第二テーゼ 裁判所は当事者間に争いのない事実(自白された事実)はそのまま判決の資料として採用しなければならない 第三テーゼ 当事者間に争いのある事実を証拠によって認定する際には必ず当事者の申し立てた証拠によらなければならない 主張責任 当事者は自己に有利な事実を主張しないと自己に有利な裁判を得られないという不利益 主張共通の原則 主張責任を負わない当事者による主張でも裁判所は判決の基礎に採用できるという原則 訴訟資料 当事者の弁論から得られた裁判の資料 証拠資料 証拠調べから得られた裁判の資料 主要事実 法律効果を定める法規の構成要件にあたる事実 間接事実 主要事実を推認させる事実 補助事実 証拠力の評価に関する事実 釈明権 訴訟関係を明瞭ならしめるため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に問を発し、または立証を促す裁判官の権能 消極的釈明 当事者が時案によって必要な申立や主張をしているがそれらに不明瞭、前後矛盾が見られる場合にこれを問いただす釈明 積極的釈明 当事者が事案の内容上、必要な申立や主張をしていない場合に、これを示唆し、指摘する釈明 真実義務 当事者が真実を述べなければならないという義務 請求原因事実 請求を基礎づけるために原告が主張証明責任を負う主要事実 否認 相手方に証明責任がある事実を争うこと 抗弁 被告に証明責任がある事実(請求原因事実によって認められる効果の発生を妨げる別の事実)を主張すること 必要的口頭弁論 判決をするについては必ず口頭弁論を開かなければならないという原則 口頭弁論 @ 受訴裁判所の面前で当事者双方の関与の下に口頭で弁論及び証拠調べを行って裁判資料を収集し、それに基づき裁判をする審理手続ないし心理方式 A 期日における当事者あるいは裁判所の訴訟行為 審尋 当事者その他の利害関係人に無方式で裁判所に意見を陳述する機会を与える手続 口頭主義 弁論及び証拠調べを口頭で行う原則 任意的口頭弁論 裁判をなすにつき口頭弁論で行うかどうかを裁判所の裁量にゆだねること 双方審尋主義 裁判をするについて当事者双方にその言い分を述べる機会を平等に与える主義 直接主義 弁論の聴取や証拠調べを判決をする裁判官が自ら行う原則 準備書面 当事者が口頭弁論で陳述しようとする事項を記載した書面 準備手続 争点及び証拠を明らかにして口頭弁論を集中的・能率的におこなわしめるための準備をすることを目的とする手続 弁論の制限 中間の争いや数個の攻撃防御方法があるときまたは訴えの併合の場合などに弁論をいずれかの一点に集中限局して弁論を尽くさしめること 弁論の分離 訴えの併合の場合に、その数個の請求の審理を切り離し、別個の手続において審理するようにすること 弁論の併合 同一裁判所に係属する数個の訴訟を同一手続に併合すること 弁論の再開 いったん終結した口頭弁論を再び開くこと 随時提出主義 原則として当事者は口頭弁論の終結に至るまでいつでも攻撃防御方法を提出できること 対席判決主義 欠席に一定の陳述ないし自白の効果を擬制してこれによって擬制される対席的弁論に立脚して判決する建前 厳格な証明 法律の規定に従った証明 自由な証明 法律の規律から解放された証明 本証 自分が証明責任を負う事実を証明するための証拠 反証 それを否認する相手方が提出する証拠 自由心証主義 心証形成の方法についてこれに用いることのできる証拠方法や経験則を法が特に限定せず裁判官の自由な選択に任せる建前 証拠方法 取り調べの対象となる有形物 証拠力(証明力) 証拠資料が事実認定に役立つ程度 証拠能力 証拠方法になりうる適正 口頭弁論の全趣旨 口頭弁論に現れた証拠方法以外の一切の資料 証拠共通の原則 裁判所は一方当事者の提出した証拠を他方当事者に有利に用いることが許されるという原則 証明責任 ある事実の存否不明の時にはいずれか一方の当事者がその事実を要件とした自分に有利な法律効果の発生が認められないことになるという危険または不利益 事実上の推定 裁判官の自由心証の一作用として経験則を用いて事実上行われる推定 法律上の推定 経験則が法規化され、法規の適用という形で行われる推定 表見証明(一応の推定) 高度の蓋然性を持つ経験則に基づく事実上の推定 間接反証 ある種酔う事実について証明責任を負うものがこれを推認させるに十分な間接事実を一応証明した場合に、相手方が右の間接事実とは別個のしかもこれと両立しうる間接事実を立証することによって主要事実の推認を妨げる立証活動 (裁判上の)自白 口頭弁論または準備手続において相手方主張の自己に不利益な事実を認める旨の当事者の弁論としての陳述 権利自白 訴訟物たる権利関係の前提をなす権利関係や法律効果を認める旨の陳述 歴史的証明 高度の蓋然性の確信に到達することを目標とする証明 判決・決定 裁判所の裁判 命令 裁判長、受命裁判官、受託裁判官など裁判官の裁判 一部判決 事件の一部について下される終局判決 中間判決 審理中に問題となった当事者間の争いを終局判決に先立って解決しておく判決 判決の自己拘束力 裁判所はいったん言い渡した判決を撤回したり変更した留守ることが許されないこと 判決の無効 法律上判決としての存在意義は一応認められるが判決としての本来的効力を全部または一部発揮できないもの 確定判決(既判力)の騙取(不当利得) 当事者が裁判所を故意に欺いて確定判決を得た場合 既判力 終局判決における訴訟物の判断について生じる拘束力 既判力の双面性 既判力ある判断が訴訟で勝った当事者の利益だけでなくそのものの不利益にも働くこと 既判力の標準時 既判力が確定する訴訟物たる権利関係の存否は口頭弁論終結時におけるそれであるということ 既判力の時的限界 規範力は口頭弁論終結時以前に訴訟物たる権利関係が存在したかどうかそれ以後に訴訟物たる権利関係が存在したかどうかを確定するものではないこと 争点効 判決理由中で判断された主要な争点について生じる拘束力 執行力(狭義) 判決や調書などに掲げられた給付義務を強制執行手続によって実現できる能力 債務名義 執行力を有する証書一般 形成力 形成判決の確定によってそこに宣言された法律関係の変動が生じること 法律要件的効力 民法その他の法律が確定判決の存在を要件事実として一定の法律効果の発生を規定する場合 反射効 当事者間に既判力の拘束のあることが当事者と特殊の関係にある第三者に反射的に利益または不利益な影響を及ぼすこと 攻撃方法 原告が本案の申立を基礎づけるために提出する一切の裁判資料 防御方法 被告の反対申立を基礎づけるために提出する一切の裁判資料 固有の訴えの客観的併合 一人の原告が一人の被告に対し訴え提起の当初から一つの訴えをもって数個の請求をする場合 単純併合 法律上関連性がない数個の請求を単純に併合しすべての請求について判決を要求する場合 選択的併合 同一の目的を有し法律上両立しうる数個の請求をその一つが認容されることを解除条件として他の請求を併合する場合 予備的併合 法律上両立し得ない数個の請求に順位を付し、首位請求が認容されることを解除条件として副位請求を併合する場合 訴えの変更 訴訟係属中に被告がその訴訟手続を利用して原告に対して提起する訴え 反訴 訴訟係属中に被告がその訴訟手続を利用して原告に対して提起する訴え 中間確認の訴え 係属中の訴訟の訴訟物の判断に対し先決関係にある法理留関係の存否についての確認をその訴訟手続内でなすことを求める訴え 共同訴訟 数人のものが原告または被告として一個の訴訟手続に対立関与している訴訟形態 通常共同訴訟 各共同訴訟人につき判決が区々になっても差し支えない共同訴訟 共同訴訟人独立の原則 各共同訴訟人が他の共同訴訟人に掣肘(せいちゅう)されることなく各自独立に訴訟追行をする権能を持つ建前 固有必要的共同訴訟 合一確定が要請される必要的共同訴訟のうち全員が共同で訴えまたは訴えられなければならない場合 類似必要的共同訴訟 合一確定が要請される必要的共同訴訟のうち共同で訴えまたは訴えられる必要性はないが共同で訴えまたは訴えられた以上はその間に合一的な解決がもたらされなければならない場合 固有の訴えの主観的併合 当初から共同で訴えまたは訴えられている場合 主観的予備的併合 数人をまたは数人に対する請求が論理上両立し得ない関係にある場合に共同訴訟の形態をとりつつそれぞれの請求を順序づけて審判を申し立てる併合形態 主観的追加的併合 訴訟の係属中に第三者の当事者に対する請求または当事者の第三者に対する請求の併合審判を求める申立をする併合形態 選定当事者 共同の利益に関し、共同して訴訟をしようとする多数の中から選ばれ、選定者のために代わって当事者となるもの 共同訴訟参加 第三者が原告または被告の共同訴訟人として参加することで、参加の結果合一確定共同訴訟となる場合 補助参加 訴訟係属中当事者の一方を勝訴させるために第三者が訴訟に参加し、その当事者を補助して訴訟を追行する場合 訴訟告知 当事者から第三者に対して訴訟の係属している旨を法定の形式のよって通知すること 共同訴訟的補助参加 本訴訟の判決の効力が相手方と第三者の間にも及ぶ場合にこの第三者が補助参加する場合 独立当事者参加 係属中の訴訟に第三者がその訴訟の原告及び被告の双方に対してその間の請求と関連する自己の請求について同時に審判を求めるため訴訟参加すること 準独立当事者参加 第三者が本訴訟の当事者の一方のみを相手取りこれに対する請求のみを掲げてなす参加 任意的当事者変更 訴訟係属中に原告が最初の被告以外のものにその訴えを向け変え、あるいは最初の原告以外のものが原告に代わって訴えを提起する場合 当然承継 一定の承継原因が生じれば当然に当事者の変更、すなわち訴訟承継が行われる場合 参加承継 承継人の訴訟参加の申立によって行われる訴訟の承継 引受承継 従来の当事者の相手方の訴訟引受の申立によって行われる訴訟の承継 上訴 裁判が確定しない間に上級裁判所へのその取消または変更を求める不服申立 附帯控訴 控訴人が提起した公訴に便乗して被控訴人が控訴審での審判範囲の拡張を求める申立 一事不再理 同一事件についての再度の審判の禁止 暫定真実 前提事実の証明さえ要求しないで、無条件に一定の事実を推定することによってある規定の要件事実の証明責任を相手方に転換する法技術 続審制 控訴審が第一審での訴訟資料を基礎としながらしかも控訴審での新たな資料も加えて第一審判決の当否を審査すること 終局判決 継続中の事件の全部又は一部に付き当該審級の審理を完結させる判決 全部判決 同一訴訟手続で審理されている事件の全部を同時に完結させる判決 本案判決 訴えによる請求の理由又は上訴による不服申し立ての理由があるか否かを裁判する終局判決 訴訟判決 訴訟要件又は上訴の要件の欠缺を理由として訴え又は上訴を不適法として却下する終局判決 訴訟契約 当事者あるいは当事者となるべき者が特定の訴訟に付き影響を及ぼす一定の効果の発生を目的とする合意 口頭弁論の一体性 口頭弁論が数回にわたる場合でも口頭弁論終結に至るまですべての口頭弁論は全体を一体としてとらえて等しく判決の基礎とされること 職権調査主義 訴訟要件の存否につき裁判所が職権で調査を開始すべき事項 抗弁事項 当事者の申立を待って調査を開始すべき事項 管轄 裁判所間の裁判権行使の分担の定め 管轄権 管轄の定めにより各裁判所が事件につき裁判権を行使しうる場合のその権限 裁判権 具体事件を裁判によって処理する国家権力 専属的合意管轄 特定の裁判所だけを管轄裁判所として法定管轄を排除するもの 附可的合意管轄 特定の裁判所だけを管轄裁判所として法定管轄を排除するもの 応訴管轄 被告の応訴によって生じる管轄 理由付否認 相手方の主張を全体として争いながらその一部に付き一致した陳述をする場合 制限付自白 相手方の主張を認めながらこれと関連する別個の事実を防御方法として主張する場合