甘い唇
──ごめん。今日は無理──
入ってきたメールを見て私はため息をついた。昼過ぎにご機嫌伺いをして、返事が戻ってきたのは………何時だ? 今はもう20時じゃないか。夕食を断るにしてももっと早い時間に返答すべきだ。
空腹を抱え席を立つ。まあ待っていたおかげで仕事は進んだのだからよしとしよう。それにしてももう2週間だ。2週間も彼と口をきいていない。
(そろそろ限界だ)
彼が嫌がることはわかっていたが、職場でしか捕まえられないのだから仕方がない。
私はエレベータに乗ると、彼のいるフロアへ向かうボタンを押した。
「仕事中なんですが」
案の定、彼は眉を寄せて不機嫌な顔になった。
「少し話す時間が作れないかな?」
私は穏やかに答えた。彼の近くにいる他の社員たちは、突然の雇い主の登場に緊張している。
「申し訳ありませんが次の機会にお願いできますか」
慇懃だがきっぱりと跳ね除けられる。ふだんは絶対口にしないような言葉だ。私に対して否定的になる時ほど、こんな馬鹿丁寧な言い方をする。腹立たしいことこの上ない。
「十分程度、君が席を離れなかったからといって、変わるようなものじゃないだろう」
「──時間の問題じゃないんだ」
ボソリとそっぽを向いて呟く。そう、普段はこういう物言いをする男だ。
「仕事の流れを中断されてリズムが狂うのがいやなんだよ、邪魔しないでくれ。あんたの会社の製品を作ってんだろ」
職場の気温がいきなり五度くらい下がったような気がした。ちらりと周りを見ると、社員たちはみな下を向いて息を殺している。この場では彼は開発チームのリーダーとは言え、ただの契約社員だ。そんな彼が社長に向かって言える台詞ではない。
私は彼のため、というより職場の雰囲気の為に撤退することにした。
「わかった、邪魔をして悪かったな」
そう言うと、彼は一瞬、途方にくれたような表情になった。だがすぐに背を向けると自分の席に座り、画面に顔を寄せた。
私は社員たちに軽くうなずいてみせると穏やかな顔を保ったままでその部屋を出た。おそらくドアを閉めた途端、ため息の渦が現場の気温をかき混ぜるだろう。
(だが私だっていつまでも物分りのいい恋人でいるわけじゃないんだぞ)
私は乱暴な足取りで駐車場の床に靴音を響かせた。
あの傍若無人極まりない契約社員は私の唯一の恋人だった。
「今『ブロンク』を開発しているチームのリーダーなんですが」
秘書がためらいがちに言い出した。私は報告書から顔を上げ、その方を向いた。『ブロンク』というセキュリティソフトの開発を担当しているのは私の愛しい契約社員だ。
「なんだ? 彼がどうかしたか?」
「あまり、そのぅ………周りの評判がよろしくないようで」
「評判? どういう話が出ているんだ」
「開発はチームとしての仕事なんですが、どうもリーダーが一人で先走っているようなところがあると。周りの部下たちと非協力的なんです」
「………ああ」
彼には昔からそういうところがあった。自分一人で理解し、発展させていくクセがあり、それを周りの誰にも説明しない。いや、説明できないのだろう。彼にとってはわかりきったことだから、他人がそれについてこれないのがおかしいというのだ、
この秘書は彼が会社を去ってから入社した男だから、以前彼が私と一緒に社を立ち上げた、ということは知らないのだ。今現場で働いている人間のほとんどはそれを知らない。彼がそれを隠して働いているから、私も敢えて言わなかった。
「しかしそれで仕事が遅れているわけではないのだろう?」
「ええ、まあ………仕事の進行は予定より早く進んではいます。ただ社員たちのモチベーションに影響するんです。あのリーダーのような才能の下にいて、ほとんどがその差を思い知らされダメージを受けて………今週も一人、退社しました」
私はため息をついた。
「それは仕方ないだろう、彼の才能を目の当たりにして打ちのめされるならそこまでだ。そこからさらに追いすがり、追い越すくらいの熱意とセンスのある人間が、今必要なんだ」
「それはわかりますが、彼はリーダー向きではありません。チームで仕事をするということがわかっていないのではないかと思われるのですが」
私は沈黙した。それはもうずいぶん前に彼に自分が何度も言ったことだからだ。どれだけ成長したように見えても、根っこの部分では彼は変わってはいない。
そういえば、日本を離れてロスで仕事をしていたというが、彼のこうした性格を向こうの人間はどうやって受け入れたのだろう。それともアメリカ人は私たちより変人との付き合いは上手なのだろうか。
私がぼんやりとそんなことを思っているうちにも秘書は契約社員の問題点をあげつらっていった。秘書は無能な男ではない。彼の才能もきちんと認めている。認めているが、それを上回る問題が彼にあるということだろう。
「わかった、わかったから」
私は手を上げて秘書の攻撃を止めた。
「私が彼に話してみるよ」
「………そのぅ、大変遺憾ながら、社長とあの社員との関係をかんぐるものもいるんですが」
私は酢を飲まされたような顔になったかもしれない。
「社長があの契約社員と親しい、ということは社員の誰もが知っております。ただその親しさの度合いがですね」
「………彼とは大学の同期なんだよ」
「それは初耳です」
「吹聴するようなことでもなかったからね」
私は肩をすくめた。
「確かに古い友人ではあるが、彼がそれをたてに何かけしからんことなどしていると言うなら問題だが………」
「いえ、そんなことはまだないようですが」
まだ。
それではこの秘書はいつか彼がそんなことをする恐れがあると思っているのだろうか。私はおかしくなった。彼が他人を自分の利益のためにつかえるような人間なら、もっと扱い易い。
「彼は他人とのコミニケーションをはかるのが苦手なだけだよ」
私はのんびりとした調子で言ってやった。秘書はさらに何か言いだけだったが、私が再度手を上げると言葉を飲みこんだ。
「それでは社長にお任せします」
まあしかし、私が言って聞くようなら、とっくにやっているがね。
車を路上に止めていると、十時を回ってようやく彼がでてきた。十時以降の残業は許可をしていないので、どんなに頑張っても社内に居残ることはできない。
私は車を動かすと、歩道を歩く彼の横につけた。
「乗っていかないか」
彼はちらりと私に冷たい視線を向けると黙ったまま足を早めた。
「どうしたんだ、何か怒っているのか」
「──べつに」
「夕食は?」
「会社でパンを食べた」
「飲みにいかないか」
「帰って寝たい」
「送っていくよ」
「──あんた」
彼はようやく足を止めた。
「社長が契約社員にいちいちかまうなよ。変な噂をたてられるぞ」
秘書が言っていたことは彼の耳にも入っているようだった。まあ、こういう態度をとっていればとかくの噂が出るだろうし、彼との関係は事実なのだから仕方がない。
「君は噂を気にするようなタイプとは思わなかったが」
「だったらそうメモしておけばいい」
彼はまた歩き出した。私はのろのろとその速度にあわせて車を進めた。
「君が私の部屋へ来なくなって今日でもう15日目だ、知っているか?」
「あいにくカレンダーは持たない主義だ」
「君と話したいんだ」
「話すことなんてない」
やっぱりおかしい。ここまで私を避ける理由は今の彼にはないはずだ。例え今彼がチームで孤立して、そのために苛ついていたとしても、普段の彼ならヤツ当たりこそすれ避けるなんて………。
「なあ、何かあったのか」
彼は足を止めると振りかえり、私を見つめた。表情を消した彼の顔からは何も窺えない。
「何か、あったんだな?」
「何もない、何もないよ」
彼の顔に怯えが浮かんだ。
「嘘をつくな」
「あ、あんたには関係ない」
ウソツキのくせに嘘がヘタな彼。言い逃れができなくなるや否や、こちらを一方的に拒絶する。
「関係ないんだ。ただの契約社員と雇い主というだけなんだから。あんたが俺に指図することも、俺があんたを──」
「君が私を──なんだ?」
「………っ」
彼は顔を歪めると拳を握ってコンクリに吼えた。
「それ以上俺に絡むと会社を辞めるぞ!」
「おい──」
私があっけにとられている間に、彼は背を向け駆け出していった。
なんなんだ、いったい。
私は答えの出ない腹立たしい疑問を抱えながら、自宅へ戻った。車をマンションの駐車場にいれようとした時、不意にライトの中に男が飛び出してきた。
「社長さん?」
見知らぬ男だ。安物のぺらぺらしたコートを着ている。
私が黙って見ていると、男は近づいてきて窓越しに「買ってもらいたいものがあるんだけどな」と言った。
彼がちらりとポケットから出して見せたものに私は眉をひそめた。
「部屋で商談しよう」
私は彼に駐車場へ入るようにと言った。こんな男には正面玄関はふさわしくない。
部屋に入ると男は感心したように周りを見回した。
「さすがにいいお部屋に住んでいらっしゃる」
家政婦が片付ける部屋は常にきちんと整えられて、彼に言わせるとモデルルームのようだと言うことだ。キレイすぎる部屋は落ちつかない、と言うから、彼が泊まるときは家政婦も呼ばない。一日で乱雑に散らかしてしまうのはもしかしたら才能かもしれなかった。
「さて、いくらで買っていただけます?」
私はテーブルに出された写真をじっくりと見た。三枚あるそれには私と彼が映っていた。
どうも外のようだった。こういうヘマはしない筈だが背景が夜ということはアルコールでもはいっていたのかもしれない。写真の中で私たちはよりそい、抱き合い、口付けをかわしていた。
「上手く撮れている。フレームにいれて飾っておきたいくらいだ」
目を閉じている彼の顔が幼く見える。髪に照明があたり、輝いているようだ。
キスを受けているときの彼の顔をこんな角度から見たことはなかったので、うっかり見惚れてしまった。
「社長さん」
男がじれたように言った。
「ああ、悪いな。他にはないのか? いい値で買ってやるぞ」
「──あいにくそれだけしかないんだ。あとは顔がちゃんと写ってなかったりしたからな」
「そうか、儲け損ねたな」
私は写真をテーブルに置いた。
「振りこみ先を教えてくれ」
「いや、現金か──小切手にしてくれ」
口座から足がつくことを怖れたのか、そんなふうに言う。私は自室へ入り、小切手を持ってリビングに戻った。オーディオを眺めていた男は私がソファに座ると急いで戻ってきた。
「で? いくらだ?」
男が口にした額は予想を少しばかり下回った。私は金額を書き、サインを入れた。
「さすがに社長さんだ。ふとっぱらだな。ヒラとは大違いだ」
私はその言葉に顔を上げた。
「………彼にもこれを見せたのか?」
「ああ、あっちの方が近寄りやすかったからな。青くなってすぐに財布を寄越したよ」
「ほお、財布をね」
「そんなはした金で足りるかと言ったらローンにしてくれときた」
男は嗤った。
「………馬鹿だな」
「まったくだ」
小切手を渡すと男はすぐにそれをポケットにいれて立ちあがった。
「ネガ、もしくはメモリーカードはないのか」
「ああ」
男は肩をすくめる。
「メモリーカードは削除したよ」
「それを信じろと?」
「まあ、あんた次第だ」
男はひきつった笑い声をあげながら部屋を出ていった。
私はドアが閉まったのを見て、ポケットから携帯電話を取り出した。
二日後、就業時間になって私は彼のいる部署へ向かった。相変わらず彼は私の姿を見ると、毛を逆立てた猫のような反応になる。私はそんな彼の腕を掴んだ。
「一緒に来い」
「おい、何だって言うんだ!」
「いいから来い、社長命令だ」
私は彼をむりやりディスプレイの前からひきずりだした。部屋のドアを閉める前に息を呑んで見守っている彼の部下たちに言う。
「君たちのリーダーは今晩戻らない。あとは君たちに任せる」
「なに、勝手なこと………っ」
わめく彼を抱え込み、私はドアを閉めた。
「俺にかまうと会社を辞めると言った筈だ」
彼はむりやり連れてこられた駐車場でわめいた。冷たいコンクリの壁に声がわんわんと響く。
「君のいらいらを解消する情報があるよ」
私は車のドアを開けて、座席から新聞を取り上げた。
「読んでごらん」
彼は不審な顔で私に示した三面記事を見た。
「なんだ?」
「小さなつまらない記事だ、ほらここ」
私の指先にほんの十行にも満たない記事があった。
──ビル火災、出火場所に住んでいたカメラマン重症、寝煙草が原因か──
彼はその記事を何度も読んだ。
「これ………」
「写真を買う金をローンにしてくれと頼んだそうだな」
私の言葉に彼は新聞をたたみ、ぎゅっと丸めた。
「あんた、怖い人間だな」
「まあこの男も入院中に心を入れ替えるだろうよ」
「あんたは────」
「私が怖いか?」
私はじっと彼を見つめた。彼は視線を揺らしてうつむいた。
「怖くなんかないよ」
あの男は彼の事をバカにした。許せなかった。それだけであの男の罪は決まった。殺さなかったのは、死ねば彼が怯えるだろうと思ったからだ。
「君は私を守ろうとしてくれたんだな」
「余計なお世話みたいだったけどな」
私は彼の手から新聞を取り上げ、座席に放り投げた。それから助手席のドアを開けて、彼に乗るように促した。
「………仕事が」
「チームを信頼しろ」
「でも」
「君に触れられなかった一七日間分の私のストレスを考えろ。君は何も話してくれず、会社を辞めるとまで言われて、私はひどく傷ついたんだ」
「それは──」
「精神的損害に慰謝料を請求する」
「そんな金ないよ」
「なら身体で払うんだな」
私はまだぐずぐず言う彼を車に押し込むと、ドアを閉めた。
「も………っ」
彼が泣き声を上げた。
「や、だ、もぉ、や………っ」
そんな声や泣き顔がどれだけ私を刺激するかわかっていないのだろうか。
私は何度も彼を揺さぶりのぼらせて、そして昇華させずに突き放した。高ぶらされるだけ高ぶらされて、そのまま快感を吐き出せない彼は、とうとう強情な唇を開いた。
「もう、許して………ごめん、もう、しない………っ」
私たち二人の間の事は二人で話し合おうという約束を破ったのだから、このくらいのおしおきは当然だ。
「謝るから、だから、も……っ、いかせろよぉ………っ」
腕を頭上でひとくくりにして自分で触れられない彼は、足をじたばたとシーツの上で跳ねさせてわめいた。まだ反省の色が薄いようなおねだりだったが、彼を泣かすのは本意ではないので、このあたりで許してやることにした。私は甘いわけではない、引き際を心得ているだけだ。
震えながらも固く張り詰めている彼を舌でひとなめすると、あっさりとそこは崩れ落ちた。彼は全身を痙攣させるようにして、快感の峯から駆け下りた。
余韻にひきつく身体を横抱きにし、私は彼の足を開かせた。
「待って、待──っ」
さんざん焦らしたそこは熱く私を受け入れた。呼吸を整えさせることもせず、私は彼の中に自分を埋めた。
「あ、あ──────」
待ちかねていた快感に満たされた身体は素直な反応を返す。彼は細い身体をのけぞらせ、ギリギリと私を締めつけて来た。
「──………」
私は何度も彼の耳元で彼の名を呼んだ。彼の目尻から涙があふれてシーツを濡らす。快感で零す涙が甘く感じるのはなぜだろう。
私たちが眠ったのは夜が白んだ頃だった。
「………遅刻だ」
彼がベッドヘッドから時計を取り上げて呟いた。私は時計をとりあげると、床の上に放った。
「今日は君は休みだ」
「社長はどうするんだ」
「私も休みだ」
「そんないいかげんな会社でいいのか」
「君が私を放っていた間に、やらなきゃいけないことはあらかた片付けた」
「ふうん、じゃあ、時々そういう機会を設ければ、会社の業績はあがりそうだな」
「エコノミックアニマルは死滅したんだ」
私は彼を抱きかかえた。
「身体が痛い」
彼は文句を言った。
「手首が赤くなってる。酷い」
「すまなかった」
「そんなこと思ってないくせに」
私は彼の手を取ると、赤くなっている手首にキスした。
「もう縛ったりしないよ」
「うん、あれはいやだ」
「すまなかった」
私は心から言った。彼にどんな傷だって残したくなかったのに、これはやり過ぎた。
手首を丹念に舐めていると、彼がしがみついてきた。
「もういいよ、またキちまうだろ」
「いくらだって歓迎だけどな」
「馬鹿、身体が持たないよ」
「私より若いくせに、だらしないな」
「こんなのは年齢じゃないよ、あんたがすけべなだけだ」
「おやじだからな」
私たちはそうやって午前中、ベッドの中で過ごした。
「『ブロンク』をチームのスタッフに任せないか?」
私は遅い昼食の時、彼にそう伝えた。彼はクラッカーにリンゴジャムを乗せたものを口いっぱいにほうばっているところだった。
「もう、君の監修は必要ないだろう?」
「でもあれは俺のプログラムだ──」
「君には別の仕事を用意するよ」
「チームの雰囲気が悪いことは俺だってわかってるよ。でも、」
「そうじゃない、君にしかできない仕事だ」
私はできあがったオムレツをフライパンから彼の皿に移した。
「『ブロンク』を攻撃してほしい」
「なんだって?」
彼は目を見開いた。
「あの完璧なセキュリティソフトを破壊するプログラムだ。だが君がそれにかかりきりになればそんなに時間はかからないだろう。それでは困るからな、同時に今度立ち上げるネットゲームのプログラムチームにもはいってもらいたい」
「二つの仕事を同時にやれってのか」
「メインはゲームの方だ。ブロンク攻撃プログラムは極秘で進めて欲しい」
「ブロンクを攻撃してどうするんだ」
「さらに高度なセキュリティプログラムを作成するのさ」
彼はオムレツをフォークでつついた。とろりと半熟の黄身が白い皿に流れる。
「セキュリティソフトはいつかは破壊される。他人の手でやるよりは自分でやるほうがいいだろう」
「商売がうまいな、社長」
そう言いながらも彼の視線は宙を泳いでいた。おそらくすでにブロンクへの攻撃方法を考え始めているのだろう。
「ゲームの方も新しいものを考えているんだよ。プログラマやディレクターは外部から集めている。クセのある連中ばかりだから、君とも合うだろう」
「変人揃いって言いたいんだろう」
「自分の事はよくわかってるな」
「ちぇ」
私は自分のフルートグラスにスパークリングワインを注いだ。明るいロゼの中に細かい泡が立ち昇っていく。
「新しい仕事の成功を祈って」
私は彼のグラスに自分のグラスをあわせた。涼やかなガラスのキスの音。
彼は頬づえをついて私を見上げた。
「あんたはいつも俺のことを考えてくれる。俺に道を示してくれる。これでもすごく感謝してるんだぜ?」
「それは嬉しいな。では感謝の印にもう一晩一緒にいてくれるかい?」
「身がもたないって」
「今度は優しくする」
「余計もたない」
彼は顔を赤らめた。
私は笑って彼の首を抱き寄せると、リンゴジャムのついた甘い唇に口づけた………。
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