第\期第一回講座 『予告殺人』を読む (2016.6.25) |
書誌的情報
- 原書"A Murder is Announced"は、英国では1950年6月5日に、クリスティの50番目の作品と銘打って発売された(実際は異なる)。初版は5万部とし、"50"を前面に打ち出して宣伝した。英国ではA・A・ミルン(『赤い館の秘密』などのミステリーがある劇作家)が、米国ではクリスティのライヴァル作家マージョリー・アリンガム(代表作は『判事への花束』など)が激賞し、この作品以降、真のミステリー女王として認められるようになった。日本では江戸川乱歩が絶賛し、注目されることになった。
- 戯曲はLeslie Darbonが脚色し、1977年9月21日にロンドン(ボードヴィル劇場)で初演された。日本では「劇団フーダニット」が2015年3月に初演している。
- 翻訳書は以下の通り。
- 『予告殺人』(田村隆一訳、世界傑作探偵小説シリーズ、1951)
- 『予告殺人』(田村隆一訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ、1955)
- 『予告殺人』(田村隆一訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1976)(重大な校正ミスあり)
- 『予告殺人』(田村隆一訳、クリスティー文庫、2003)
- TV映画は以下の2本。
- 「予告殺人」(ジョーン・ヒクソンのマープル物第三話としてBBCで1985年に製作)
- 「予告殺人」(ジェラルディン・マクイーワンのマープル物(シーズン1)として2005年に製作)。
作品内容
探偵:ミス・ジェーン・マープル。本作でポアロに並ぶ名探偵として認められた。
登場人物:ジュリアン・ハーモン牧師の妻ダイアナ(バンチ)やクラドック警部など。
物語:「殺人お知らせ申し上げます――」。この広告に驚きつつも興味を持った村人らは、ミス・ブラックロックの屋敷を訪れる。殺人予告時間の夕刻6時30分。置き時計の鐘の音が鳴り終わると、不意に部屋中の電気が消え、懐中電灯の光が照らしだされるとともに、ピストルの音が!
本書を読んだ後(読みながら?)、可能ならば考えてきてほしいこと
@ この作品の評価を、星の数(★1〜5)で答えてください。
A この作品の魅力はどこにあるでしょうか?
B 不満や疑問に思う点があれば、挙げてください。
C 巧妙にちりばめられた手がかりに、どのくらい気づきましたか? 特に優れていると思ったものを挙げてください。また、納得できないトリックはありましたか?
D 時代と場所の設定がトリックにどう生かされているか、考えてみましょう。
E 犯人を暴くシーンでのミス・マープルの活躍を、どう思いましたか?
F 読んでいて「レティー」Lettyと「ロティー」Lottyの言い間違いに気づきましたか? 英語の表記だと、より気づきにくいでしょうか?
G 犯人の人物像に共感を持ちましたか?
H この前後に書かれた作品と比べてみましょう。
次回の資料はhttp://www.ab.cyberhome.ne.jp/~lilac/christie/seibushiryou.htmで参照できます。
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