第[期第三回講座 『動く指』を読む (2016.3.26) |
書誌的情報
- 原書"The Moving Finger"は、一番初めは1942年の3月から5月にかけて、米国の雑誌"Collier's Weekly"に8回に分けて掲載された。その後単行本は米国では1942年に、英国では1943年に出版された。
- 前回取り上げた『三幕の殺人』と同様、原書は米版と英版で多少異同がある。米版の内容は雑誌に連載されたものと同じだが、雑誌連載という制約のため(雑誌の頁数制限や、最初から読者を掴むために冒頭で中傷の手紙を扱うなどの変更のため)、英版と比べると米版には削除や変更があるからである。おそらく第二次世界大戦の影響で、両国関係者の十分な協議が出来なかったのであろう。
- ただし以下の翻訳はすべて英版を元にしている(訳者もすべて同じ)。したがって『三幕の殺人』のように翻訳本によって内容が異なることはない。
- 『動く指』(高橋豊訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ、1958)
- 『動く指』(高橋豊訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1977)
- 『動く指』(高橋豊訳、クリスティー文庫、2004)
- TV映画は以下の2本
- 「動く指」(ジョーン・ヒクソンのマープル物第二話、BBC、1985)
- 「動く指」(ジェラルディン・マクイーワンのマープル物(シーズン2)、ITV、2005)
作品内容
探偵:本書の語り手である傷痍軍人のジェリー・バートン。最終的な謎解きはミス・マープルが行うが、マープルの登場は物語の3/4あたりで、とうてい主役とは言えない。
登場人物:ジェリーの妹ジョアナ・バートンやシミントン夫人の先夫の娘ミーガン・ハンターなど。
物語:ジェリーは療養のために妹とともにリムストックに移住した。穏やかな町で町民も親切な人達と思われたが、ジェリーに「中傷の手紙」が送られてきて、ついには自殺者まで出た!
本書を読んだ後(読みながら?)、可能ならば考えてきてほしいこと
@ この作品の評価を星の数(★1〜5)で答えてください。
A 男性の語り手、ミス・マープルの関わり方など、プロットについての感想は?
B この作品の魅力はどこにあると考えますか? また、評価できない点は?
C ミステリとしての出来はどうでしょうか? トリックについてはどう思いますか?
D たくさんの人物が登場しますが、興味をひかれた人物はいましたか?
E「動く指」という題名の意味を、どう解釈しますか?
F ジョアナはどういう意図で、結婚のお祝いにミーガンに「犬の首輪」を送ったと思いますか?
G この前後に書かれた作品と比べてみましょう。
次回の資料はhttp://www.ab.cyberhome.ne.jp/~lilac/christie/seibushiryou.htmで参照できます。
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