第\期第二回講座 『ねじれた家』を読む (2016.7.23) |
書誌的情報
- 原書"Crooked House"は1949年の出版。
- 名探偵ポアロもマープルも登場しないミステリー。マザー・グースが利用されているものの、効果的な利用は題名だけで、プロットにはほとんど生かされていない。超有名な某作品と似ている部分があるために、日本ではそれほど高い評価を受けていないが、ラストの意外性には誰もが驚くだろう。なおこの年サンデー・タイムズの記者によって、作家メアリ・ウェストマコットがアガサ・クリスティと同一人物であることが暴露された。
- クリスティが楽しみながら書いたお気に入り作品で、自選ベストテンにも選んでいる。
- 翻訳書は以下の通り。
- 『ねじれた家』(田村隆一訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ、1957)
- 『ねじれた家』(田村隆一訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1984)
- 『ねじれた家』(田村隆一訳、クリスティー文庫、2004)
- 映像作品は、調べた限りでは作られていないようだ。やはり内容が暗いからか。
- 「ねじれた家」のモデルは、1924年に数ヶ月住んだ、サニングデールにある "Scotswood"荘である。
作品内容
探偵:外交官のチャールズ・ヘイワード。本編の語り手。
登場人物:チャールズの恋人ソフィア・レオニデスやソフィアの妹ジョセフィンなど。
物語:ソフィアの祖父で、大富豪のアリスタイド・レオニデスが毒殺された。殺害状況から、犯人は「ねじれた家」に住むレオニデス一族の誰かと考えられた。事件が解決しない限り、ソフィアとの結婚が実現できないチャールズは、父がロンドン警視庁の副総監という立場を利用して、積極的に捜査に加わるが……。
本書を読んだ後(読みながら?)、可能ならば考えてきてほしいこと
@ この作品の評価を、星の数(★1〜5)で答えてください。
A この作品の魅力はどこにあるでしょうか?
B 不満や疑問に思う点があれば、挙げてください。
C 男性の語り手という書き方についての感想は? また、男性の語り手(ヘイスティングス以外)の作品は、他にどのくらいあるでしょうか?
D 遺言書のエピソードを入れた理由を考えてみましょう。
E 手がかりがほとんど示されていない書き方ですが、気づいた手がかりはありましたか?
F 犯人の描き方について、感想を述べてください。
G 他の作家の作品で、似た犯人像のものは?
H この時期のクリスティと演劇のかかわり方はどうだったでしょうか?
I この作品の翌年には『予告殺人』が発表されました。作風の違いを比べてみましょう。
次回の資料はhttp://www.ab.cyberhome.ne.jp/~lilac/christie/seibushiryou.htmで参照できます。
質問やメルマガへの参加はwhtushin@gmail.comまでご連絡ください。
元に戻る