第13期第三回講座 『忘られぬ死』を読む (2018.9.22) |
書誌的情報
- 原書"Sparkling Cyanide"(米版の原題は"Remembered Death")は1945年の出版。
- 翻訳書は以下の通り(児童物は除く)。
- 『忘られぬ死』(村上啓夫訳、早川ポケットミステリ、1954)
- 『忘られぬ死』(中村能三訳、早川ミステリ文庫、1985)
- 『忘られぬ死』(中村能三訳、早川クリスティー文庫、2004)
- 映像作品は以下の通り。
- 「忘られぬ死/スキャンダル殺人事件」("Sparkling Cyanide"、製作:ワーナー・ブラザーズ、米放送:1983/11)
監督:ロバート・M・ルイス、脚本:スー・グラフトン他、出演:デボラ・ラフィン(アイリス・マードック)、ハリー・モーガン(ケンプ主任警部)
- 「忘られぬ死」("Sparkling Cyanide"、英放送:2003/10)
監督:トリストラム・パウエル、脚本:ローラ・ラムソン、出演:クロエ・ハウマン(アイリス・マール)、オリヴァー・デイヴィス(リース大佐)
- 「忘られぬ死」("Meurtre au champagne"、仏放送:2013/4)
演出:エリック・ウォレット、脚本:シルビー・サイモン、出演:サミュエル・ラバルト、ブランディーヌ・ベラヴォア)
短(中)編のアイディアを長編または戯曲に再利用した例
「プリマス急行」(1923)⇒『青列車の秘密』(1928)
「犬のボール」(1933、これは執筆年で、雑誌掲載年ではない)⇒『もの言えぬ証人』(1937)
「検察側の証人」(1933)⇒戯曲『検察側の証人』(1953)
「黄色いアイリス」(1937)⇒『忘られぬ死』(1945)
「管理人の事件」(1950)⇒『終わりなき夜に生れつく』(1967)
「三匹の盲目のねずみ」(1950)⇒戯曲『ねずみとり』(1952)
「ポアロとグリーンショアの阿房宮」(1954、これは執筆年)⇒『死者のあやまち』(1956)
以下は短編と長編が類似している例(ジョン・カランの『アガサ・クリスティーの秘密ノート』他より)
「愛の探偵たち」(1926)/『牧師館の殺人』(1930)
「火曜クラブ」(1927)/『ポケットにライ麦を』(1953)
「クリスマスの悲劇」(1930)、「砂にかかれた三角形」(1936)/『白昼の悪魔』(1941)
「六ペンスのうた」(1934)/『無実はさいなむ』(1958)
本書を読んだ後(読みながら?)、可能ならば考えてきてほしいこと
- この作品の評価を★の数(1〜5)で答えてください。
- この作品の魅力はどこにあると思いますか? また、不満な点はどんなところでしょうか?
- プロットや叙述方法について、どう思いましたか?
- トリックの出来はどうでしょうか? 最も優れていると思ったトリック(騙しのテクニック)を挙げてください。
- 探偵役(アンソニー、レイス大佐)の人物造形を、どう思いますか?
- この作品の下敷きとなった短編「黄色いアイリス」と、読み比べてみましょう。
- 英題"Sparklling Cyanide"(「泡立つ青酸化合物」)と米題"Remembered
Death"(「記憶に残る死」)は、どちらが良いと思いますか?
次回の資料はhttp://www.ab.cyberhome.ne.jp/~lilac/christie/seibushiryou.htmで参照できます。
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