第20期第一回講座 『そして誰もいなくなった』を読む
(2021.11.27)
本書を読んだ後(読みながら?)、可能ならば考えてきてほしいこと
- 作品の評価を★の数(1〜5)で答えてください。
- この作品のどういう点を最も評価しますか?
- 最初のこの作品を読んだのはいつですか? その時と再読した時では印象が違ったでしょうか?
- 劇や映画をご覧になった方は、結末の違いなどを含めて感想をお聞かせください。
- 作中では犯人を含めた登場人物の心中の思いが描写されていますが、犯人の思いはどのように述べられているか、注意して読んで見ましょう。
- 第13章・1の心中描写は、それぞれ誰のものか読み取ってみましょう。
- ヴェラが最も罪深い(最後に殺す)とする犯人の判断は、納得できますか?
- 評価できないと思う点があれば、挙げてください。
書誌的情報
- 原書"Ten Little Niggers"は、英国では1939年11月にCollins社から出版。米国ではNiggerという単語が問題視され、1940年に"And Then There Were None"の別題でDodd, Mead社より出版された(ただし、一部の版では数年間"Ten Little Indians"と表示)。すでに世界中で1億冊が出版されたと言われている。
その後、英国でもNiggerが同じく差別用語と考えられ、1964年には"Ten Little Indians"と改題され、さらに1982年頃(多分?)には、英米とも"And Then There Were None"に統一された。
なお童謡内で使われている"Ten Little Niggers"も"Ten Little Indians"に変更され、題名が統一されると"Ten Little Soldiers"となった。島の名前も"Nigger Island"→"Indian Island"→"Soldier Island"と変遷している。
- 翻訳書は以下の通り(児童物は除く)。
- 『そして誰もいなくなった』(清水俊二訳、別冊宝石、1952)
- 『そして誰もいなくなった』(清水俊二訳、早川ポケット・ミステリ、1955)
- 『そして誰もいなくなった』(清水俊二訳、早川世界ミステリ全集1、1972)
- 『そして誰もいなくなった』(清水俊二訳、改訂版:早川ポケット・ミステリ、1975)
- 『そして誰もいなくなった』(清水俊二訳、早川ミステリ文庫、1976)
- 『そして誰もいなくなった』(清水俊二訳、早川クリスティー文庫、2003)
- 『そして誰もいなくなった』(青木久惠訳、新訳版:早川クリスティー文庫、2010)
- 映像作品は以下の通り(主としてhttp://www.deliciousdeath.cexj.htmlより)。
- 「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」
映画公開:(米国1945年、日本1976年)
監督:ルネ・クレール、脚本:ダドリィ・ニコルズ
出演:バリー・フィッツジェラルド(クインキャノン判事)、
ルイス・ヘイワード(ロンバート)、ジューン・デュプレー(ヴェラ)
ウォルター・ヒューストン(アームストロング医師)
場所:本作と同じような本土から離れた孤島
- 「姿なき殺人者(Ten Little Indians)」
映画公開:(英国1965年、日本未公開、ただしDVDは発売)
監督:ジョージ・ポロック、脚本:ダドリィ・ニコルズ、ピーター・イェルダム
出演:ウィルフリッド・ハイド・ホワイト(キャノン判事)、
ヒュー・オブライエン(ロンバード)、
シャーリー・イートン(Ann Clyde)、デニス・プライス(アームストロング医師)
場所:アルプスの孤立した山荘
- 「そして誰もいなくなった(And Then There were None)」
映画公開:(伊仏独西合作1974年、日本1981年)
監督:ピーター・コリンソン、脚本:ピーター・ウェルベック
出演:リチャード・アッテンボロー(アーサー・キャノン判事)、
オリバー・リード(ヒュー・ロンバード)、
エルケ・ソマー(ヴェラ・クライド)、ハーバート・ロム(アームストロング医師)
オーソン・ウェルズ(テープの声)
場所:イランの砂漠にあるリゾート・ホテル
- 「サファリ殺人事件(Ten Little Indians)」
映画公開:(米国1989年、日本公開1990年)
監督:アラン・バーキンショー、脚本:ジャクソン・ハンシッカー、ジェリー・オハラ
出演:ドナルド・プレザンス(ウォーグレイブ)、フランク・スタローン(ロンバート)
サラー・マウアー・ソープ(ベラ)、ウォーレン・バーリンジャー
場所:東アフリカの村にあるベース・キャンプ
- TV作品は以下の通り(主としてhttp://www.deliciousdeath.cexj.htmlより)。
- テレビでの放映は、1949年に英国のBBCから生放送で実施されたのが最初。その後1957年にはブラジルと英国で、1959年には米国で放映されている。さらに西独、フランスなどでも製作されているようだ。日本では放映された2本のみを紹介する。
- 「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」
放送:NHK-BSより2015年12月26,27,28日
監督:クレイグ・ヴィヴェイロス、脚本:サラ・フェルプス
出演:チャールズ・ダンス(ウォーグレイヴ)、
メイヴ・ダーモディ(ヴェラ・クレイソーン)、
エイダン・ターナー(ロンバード)、トビー・スティーブンス(アームストロング)
場所:デヴォン州の沖合にある孤島
- 「そして誰もいなくなった」
放送:テレビ朝日系列、2017年3月25,26日
監督:和泉聖治、脚本:長坂秀佳
出演:仲間由紀恵(白峰涼)、向井理(五明卓)、柳葉敏郎(ケン石動)、
藤真利子(翠川つね美)、大地真央(星空綾子)、橋爪功(翠川信夫)、
津川雅彦(門殿宣明)、渡瀬恒彦(磐村兵庫)
場所:八丈島沖に浮かぶ孤島・兵隊島。その孤島に建つ「自然の島ホテル」
- 主要な劇は以下の通り
- アマチュア劇団の公演まで含めるとかなりの数となるため、ここでは東京近辺で催された主要な公演のみを記す。
- 「十羽の烏/そして誰もいなくなった」
年・場所:(1963年/読売ホール・東横ホール)
制作:佐藤プロダクション、演出:大木靖、翻訳:長沼弘毅
出演:扇千景(秘書)、小山田宗徳(元警官)、
尾上九朗右衛門(判事)、藤間紫(老婦人)
- 「そして誰もいなくなった」
年・場所:(1977年/三百人劇場)
制作:劇団昴、演出:宮田勝房、翻訳:福田逸
出演:北島マヤ(ヴェラ)、簗正昭(ロンバート)、内田稔(ウォーグレイブ)
- 「そして誰もいなくなった」
年・場所:(1993年/サンシャイン劇場)
制作:フジテレビ、演出:青井陽治、翻訳:青井陽治
出演:かとうかずこ(ヴェラ)、萩原流行(ロンバート)、
西本裕行、宮部昭夫、新井康弘、
滝田裕介(ウォーグレイヴ)
- 「そして誰もいなくなった」
年・場所:(1999年/東京グローブ座、2000年/アートスフィア)
制作:ポイント東京他、演出:山田和也、翻訳:小沢由佳子
出演:1999年:浅野浅夫(ウォーグレイヴ)、藤谷美紀(ヴェラ)、
三浦洋一(ロンバート)
2000年:筒井康隆(ウォーグレイヴ)、藤谷美紀(ヴェラ)、
雨宮良(ロンバート)、長内美那子、
瀬下和久、佐々木克彦
- 「そして誰もいなくなった」
年・場所:(2003年/シアターアプル、2005年/ル・テアトル銀座)
制作:東宝、演出:小島靖、翻訳:丹野郁弓
出演:匠ひびき(ヴェラ)、山口祐一郎(ロンバート)、
沢田亜矢子、今拓哉、金田賢一、
天田俊明(ウォーグレイヴ)
これまでの資料はhttp://www.ab.cyberhome.ne.jp/~lilac/christie/seibushiryou.htmで参照できます。
質問やメルマガへの参加はwhtushin@gmail.comまでご連絡ください。
元に戻る