祝福鳥

 

   
     
   ――あおいとりはどこのいるの?
   ――君の頭の上に。
   ――えっ?

        バサバサ
             バサバサ

                 ――あおいとりみなかった?
                 ――見たよ。
                 ――どこで?
                 ――君の肩の上に。
                 ――えっ?

                           バサバサ
                        バサバサ

    ――――まってぇ―――――――。

 天空へと伸ばした掌は空を掴み、
 一瞬浮いた体が地面へと叩きつけられる。
   じんわりとにじむ涙。

      ――大丈夫?
      青い空をさえぎる影に驚いて一瞬息が止まる。
      悔しさに唇をかみ締め、
      うなずけば膝の痛みの解けいく不思議な魔法。

――あおいとりはどこにいったの?
 ――君の目の前に。
  ――いないよ。
   ――いるよ。
    ――どこに?
 繰り返す問いと答えに微笑む影。
    ――君の探しているものは?
   ――あおいとり。
  ――君の目の前にあるものは?
 ――なにも。
――本当に?
  途方に暮れて俯く。

       ――瞳を閉じてごらん。
         そして耳を澄ましてごらん。
         かすかに聞こえるだろう。
         鳥の羽音が、囁く歌声が。
 
 勢い良く瞳をあけた瞳に映るのは青い空。

――どこにいるの?
――君の目の前に。

何億幾億と舞い遊ぶ青き鳥。
当たり前ようにそこにいるから、
気づかないだけで、
本当はずっと傍にいた。
見つけようとすればどこにでもいた。

息を凝らして、閉じた瞳をそっと開けば、
――見つけた僕の青い鳥!

                                        《FIN》


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