久しぶりに会った彼女はとてもきれいになっていた。
「久しぶり、元気だった?」
そう言って、幸せそうに笑う彼女の薬指に光るリング。
咄嗟に胸の内の動揺を覆い隠す。
「あれ、忘れちゃった? ……もしかして、人違い?」
あの頃と同じ澄んだ瞳が、元気よく動いて、慌てる彼女に微笑みがこぼれる。
「………いや、おぼえているよ。……久しぶりだね、すごく」
とりとめのない世間話と、二人だけの同窓会。
楽しい時間は過ぎ、
「またね」
そういって、別れを告げた、彼女の後姿を見送って、
そっと、ため息をつく。
君が好きだった。
告げることさえできなかった言葉。
幸せな君を戸惑わせるようなことは言えなかった。
君が幸せなら……。
そんな言葉で自分自身に嘘をつき、押し隠した感情。
君が幸せなら……―――。
からりからりとピースが崩れ落ちる。
そして空になり人形になってしまった僕は君の消えた景色をいつまでも見つめていた。