紅く熟れた甘やかな恋

旅の同行者のツインテールの少女が。お金にうるさいのは、いつものこと。その彼女が食材を無駄にすることなど許すはずがない。
「ルーク様ぁ、食材の残り少ないんですから、絶対に無駄にしないでくださいねぇ」
 お願いと称するには、やたら脅迫に近い響きで忠告していくのも当然のこと。
 そして――不器用な自分が料理を失敗するのもいつものこと。
 自分でつくったものでありながら、ぬるぬるのパスタを前にため息をつく。
 ちらりと食材袋をのぞけば、少女が忠告した通り、もはや残り少ない。かといってこの料理を食すのもいかがなものかと悩む少年の背後から、
「おや、今日の食事当番はあなたでしたか」
「ジ、ジェイド!」
 慌てて彼の視線から隠したものの、すでに見つかってしまっていた。
「これは……」
「わりぃ、すぐに作り直すから」
 慌てるルークの目の前でジェイドは料理をつまみ、自らの口に放り込む。途端に秀麗な顔に眉を寄せる。だが、彼が口にしたのは予想に反した言葉。
「まぁ、食べれないこともないです。それにおいしいデザートがありますしね」
「デザート? オレ作ってねぇぞ」
 怪訝そうに首を傾げるルークの唇を、ジェイドのそれが軽く掠める。
「味見です」
 呆然と見開いた瞳が、二度、三度と瞬く。目の前の真紅の瞳に焦点が合えば 瞬く間に耳の先まで赤く染まる。
「…………紅く熟れておいしそうですねぇ」

 そして、再び彼はつまみ食いをする。



突然、ジェイルクです。そして甘いです。どーしたんだ、な状態ですが、 あっさりと書く事ができました。
友人には料理と髪ネタ好きだよねと、言われます。たぶん料理ネタなので、あっさり書けたのだと思います。


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