100万回のKISS

 夢に酔うのはまどろみの中にいるものだけではなく、そのそばにいるものにも同じ気持ちにさせるものらしい。
 無防備ともいえる幸せそうな笑顔で眠る恋人のそばにいると知らず知らずのうちに、こちらの口元にも微笑が浮かぶ。
時折額に落ちかかる金の髪をかきあげるものの目が覚める気配はない。悪戯心で晒された首元に唇を押し当てる。 弾力のある肌を吸ってわずかな音を立てて離れれば、うっすらと跡が残った。 褐色の肌にまぎれて目立たないものの同じような悪戯を二度、三度と繰り返す。
それでも目覚めない。
人差し指、薬指、指の一つ一つに、髪に、唇にキスをする。このまま悪戯をつづければ、果たしてどこで気がつくだろうか。
目覚めた瞬間を思い描いても、このまま眠り続ける恋人に悪戯を仕掛けても、どちらも幸せな甘すぎる時間。
瞼の上に口付ければ、長い睫毛が揺れ、琥珀の瞳が一瞬こちらの姿を映す。
気がついたのだろうかと思えば、再びまどろみの中へと落ちて行く。
未だに恋人は眠り続けたまま。

目覚めた瞬間の艶やかな笑顔を心待ちにして、琥珀の瞳が現れるまで、100万回のキスをあなたに。



幻の琥珀陛下。ってか、実は陛下の「ヘ」の字も出てきていない。それどころか性別もでてきていません。
お相手も好きなように妄想してくださいませ。。


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