*15禁ですよ!*
誕生日の翌日、再びディーノさんがやって来た。
昨日はプライベートで来てくれたんだけど、今日はオフィシャルだ。
だからオレの横には獄寺君が、ディーノさんの横にはロマーリオさんが控えている。
仕事の内容は、最近、ボンゴレとキャバッローネのシマに喧嘩を売ってきた新参マフィアの件だった。
たまーにいるんだよね。
こー、トントン拍子に勢力伸ばした所為で「オレ達ってスゲー! ボンゴレだって目じゃないぜ!」って勘違いするアレな人が。
その前に人数とか規模とか考えてから物を言って?って言いたくなるんだけど。
で、そういう人達は「最初の足がかりだ!」とか言って必ずキャバッローネを狙ってくる。
ボンゴレ同盟ファミリーの中で一番勢力があって一番懇意なファミリーだから、当然と言えば、当然なんだけどね。
まー、ディーノさんもそこはちゃんと心得てくれている。
だからいつもボンゴレ代理って事でキャバッローネが適当にあしう事で己の器ってのをちゃんと判らせて、それから暫く放置する。
そうすると大抵は自然消滅していくんだよねー。
あっ、一応言っておくけど、その時の費用は勿論ボンゴレ持ちだから。
だけど今回の奴らは例によって例の如く一般人に手を出してきた。
こーなるとオレ達も黙っておく訳にはいかない。
相手にするのも面倒臭いし、これ以上被害が増える前に一気に壊滅させる事になった。
今日はそれの最終打ち合わせって訳なんだけど…ディーノさんは何だか疲れてるみたいだ。
大丈夫かな? 心配だなー。
でも、ここでうっかり「大丈夫ですか?」なんて聞いたら絶対墓穴を掘る事になるので
オレは敢えて何も触れずに仕事の話を着々と進める。
すみません、ディーノさん。所詮、人間っていうのは自分が一番大切な生き物なんです。
で、話を戻して、今回は兎に角、素早い鎮静が必要だから、面倒くさいから……あっ、本音と建前逆にしちゃった……まっ、いっか。
いや、だってさー、本当にショボイ組織なんだよ?
何でコレでボンゴレに対抗できると思ったのかなー?ってくらいに。
だからもう一気にヴァリアーとか投入しちゃって力の差を見せ付けて、ついでに他の組織への牽制も兼ねて見せしめにもしちゃおうって事で話がついて、そうこうしつつ壊滅作戦の原案が出来たので、他のメンバーに知らせる為に外に出て行く。
こうなると、それぞれのボスであるオレとディーノさんは結果報告を待つしかない。
入れてもらったエスプレッソを飲みつつまったりとしていたらディーノさんの口からため息が漏れた。
それがまた無駄に艶を含んでいて、オレ、居た堪れねー!
っていうか、今日のディーノさんの香り、どー考えてもヒバリさんのだし…
昨日、あれから何があったんだ? いや、知りたくないけど!
そしたら、ディーノさんがポツリと呟いた。
「なあ、ツナ……」
「何ですか?」
「オレ、あの扉、もう使うのやめる」
えっ? あの扉って、あの扉だよな? 風紀財団と繋がってる地下の…
ええーっ!! どういう風の吹き回し!? いや、そりゃ助かるけど!
Turururururu
突然、オレの携帯が鳴り出した。
はっ!!! 出た! 無駄に働く超直感! 駄目だ、この電話を出たら絶対に駄目だ!
でも発信主はヒバリさんで、ここで出なきゃもっと酷い目に合うのは判ってるし!
「も、もしもし、ヒバリさんですか?」
オレの言葉にディーノさんの肩が揺れる。うわぁ、やっぱり何か関係あるんだ…
『やあ、沢田綱吉。僕の誕生日プレゼント、受け取ってくれた?』
「誕生日プレゼント……ですか?」
一体、何の事だ? 首を傾げるオレにヒバリさんが言葉を続ける。
『もうあの扉使わないって言ったでしょ、あの人?』
「ええ、確かに言いましたけど……」
『これで君の苦労も一つ減ったんじゃない?』
つまり、それはディーノさんがあの扉を使わないようにしたのがプレゼントって事?
えっ、でも何でそんな事を?
『大変だったんだよ。あそこから僕の部屋まであの人を運ぶの』
ヒバリさんがクスっと意地悪い感じで笑う声が聞こえてきた。
『何しろ、一歩進むごとに僕を締め付けてきたからね』
って、それが言いたかっただけかいっ!
あんた達、何やってんだあああああ!
っていうか、そんな話、聞きたくねえええ――――――っ!
『じゃあ、あの人の事よろしく。今回の殲滅戦で髪の毛一本でも傷つけたら許さないからね』
ピッて機械音と共に通話が切れた。
「恭弥……何だって?」
あんな事、言えるかあああ――――――っ!
オレは差しさわりのないよう、最後に言われた言葉だけを言った。
「えーっと、その……髪の毛一本でも傷つけたら許さないって」
あれ? ディーノさんの様子が変だ。
いつもだったら、真っ赤になりながら嬉しそうな顔をするのに……何か、怒ってる?
「ツナ、それオレの機嫌取ってるだけだから気にすんな!?」
「はい? どういう意味ですか、ディーノさん?」
はっ! しまった―――っ! 聞いてしまったぁ―――!!
「アイツ、ヒデェんだぜ! 昨日、イキナリ突っ込んできた挙句、そのまま自室まで移動するんだぜ!」
うわあっ! やっぱり予想通りの言葉が返ってきた!
「もう、おれ死にそうなぐれー気持ちよくて!」
へええええ、気持ちよかったんですか……そーですか……
「あそこ通る度にあんな事されたら身が持たねーよ!
だからツナ、オレもうあの扉二度と使わないからな!」
力説するディーノさんを見ながら、既に疲れきってしまったオレは、力なく言うしかなかった。
「そうしてくれると助かります……」
余談
と、言ってたディーノさんだけど、偶に、ほんと極々たまーに、あの扉を使う。
理由なんか絶対に知りたくないけど!
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いう訳で、拍手お礼&ツナ誕SS終了でございます。
長らくのお付き合い、ありがとうございました!
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