ヴァリアー編 スクアーロ襲来の日
in中外病院※


「あの人、オレと一緒に日本に来たんだぜ?」
「そーか…アイツ来たのか…」
「しかし、とんだ誕生日になっちまったな、リボーン?」
「ああ、全くだ」
帽子をクイっと下げながらリボーンが答えた。
「忘れない内に渡しとくぜ、これ」
綺麗にラッピングされた箱の中にはびっしりと銃弾が詰まっている。
「…よく税関で引っかからなかったな」
「そんなヘマしねーって。あんま想像したくはないが、必要になるかもしれねーだろ?」
「お前にしちゃ気がきいてるな。礼を言うぞ」
「へへっ。リボーンにそう言われると何か擽ってーな」
「悪いな、巻き込む事になっちまって」
「それ、家光にも言われたぜ」
ディーノは肩を竦めて言った。
ディーノに言わせれば、別に彼らに詫びられる筋合いはない。
ツナの手助けをする事を決めたのは、ディーノ本人だ。あの、何もかもが過去の己を彷彿とする少年に、己と同じ苦しみを―家族を、失う苦しみを味あわせたくないから。
遠い昔の、苦過ぎる思い出に心馳せていると、元家庭教師が、珍しくも言いがたい口調で言ってきた。
「…お前に頼みたい事がある」
つまり、それは、
「…お前の頼みか…一筋縄じゃいかねーんだろーな」
「まあな」
これはまた、思ったよりも厄介な事に巻き込まれてしまったようだ。
だが、この男が躊躇う程の頼みをしてくるという事は、どんな理由であれ、つまりそれは、ディーノの力をそれだけ信頼しているという事。
手厳しい元家庭教師に認められるという事は、ディーノにとって何よりも誇り高く、そして嬉しい事だった。
背中にこそばゆいものを感じながら、ディーノは家庭教師に習って、彼にしては珍しく、ニヒルな笑みを浮かべて言った。
「それじゃ、エスプレッソでも飲みながらゆっくり聞こうか?」
ディーノは懐から、再び赤いリボンのかかった包みを取り出す。
「なんだそれは?」
「こっちが本当のプレゼント。弾はおまけだ。トラジャのコーヒー豆。お前好きだろ?」
「相変わらずマメな奴だな」
「褒め言葉なんだろ、それ?」
「まあな」
それはディーノがヒバリと運命の出会いを果たす1日前の出来事。

----------------------------------------
Buon Compleanno! REBON!!
二人を引き合わせた最強の家庭教師に感謝を込めて!




SSとか TOP→