目を閉じれば瞼の跳ね馬(2008/09/19)
「ねえ、あなた、いい加減にしてくれる?」
「何が?」
「ここには寝る為に来てるんだけど」
「ふーん、よく背中が痛くなんねーな?」
「目を閉じる度に、瞼のあなたが邪魔をするんだけど」
「いや、そんな事、オレに言われても…」


アニリボ標的99ネタ(2008/09/20)
アジトに戻った雲雀はひっそりとため息をついた。
その手に握られていたのは、沢田綱吉の炎によって溶解したトンファー。
彼には強くなって貰わねばならなかったし、この結果は喜ばしいものだ。だけど…
(これ、あの人に貰ったものだったんだけどね)
会うに会えないこの状況下で、少しでも存在を感じていたくてずっと使っていたけれど、これでは、もう使えない。
(ああ、でもあの人の事だから逆に喜ぶかな?)
ディーノの送った物が少しでも、沢田の役に立てたと知ったら。
ディーノにとって沢田綱吉という存在はは何時までも可愛くて、守護すべき弟弟子だから。
例え、何年経っても、例え、ディーノよりも強くなったとしても―
全部終わったら、真っ先にあの人に会いに行こう。
その時に、新しいトンファーをねだってもいい。
事情を話せば、きっと「流石ツナだな」と微笑(わら)うに違いない。
視線を遠く泳がせながら…
それを思うと胸は痛むけど、あの人が笑うなら、それでも良いと思った。
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まだツナが生きてるという情報がなかった時に書いた話です


お母さん(2008/09/21)
ディーノさんは、家に来る度に、母さんのところに行く。
うん、まあそれは普通なんだけど。
実際、獄寺君も山本もウチに着たら必ず母さんに挨拶に行くし。
だけど、ディーノさんは違う。
だって、母さんを見る目が違うんだ。
ウチに来て、リボーンやオレとしゃべって、チビ達とじゃれて、そして、母さんが家事をしている姿を見る。
まるで懐かしいものを見るような、愛おしいものを見るような、そんな目で。
……ひょっとして、ディーノさんは母さんの事が好きなんだろうか?
もし、そうだとしたら……血の雨が降る!
何しろ、あのクソ親父はああ見えて、母さんの事を物凄く愛してる。
これを切っ掛けにボンゴレとキャバッローネが全面戦争とかになったら洒落になんねー!
オレは思い切って確かめる事にした。
「ディーノさんって、いつも母さんの事、見てますよね」
「うーん、何ていうかさ…ママンってああいうもんなんだなって思ってな」
オレはこの時、兄弟子の寂しそうな笑みを浮かべるのを初めて見た。
その顔を見ていると、胸が締め付けられて悲しい気持ちになった。
ディーノさんが帰ってから、リボーンがポツリと言った。
「アイツは物心付く前に母親が死んでるからな」
オレは、ディーノさんが本当は何を見ていたのかを知ると同時に、ディーノさんが大切にしてるものを汚してしまった様な気持ちになって、そして、とても強い後悔を覚えた。


跳ね馬スタンビート&跳ね馬と鮫ネタ(2008/09/22)
ズシャアアアッッッッ
辺りに飛び散る血飛沫と共にズッコが倒れた。
「う゛お゛お゛お゛お゛い、邪魔なんだよ!」
スクアーロは、そう叫びながら、だがその内心では、クソっと毒づいていた。
あんな肉の塊など切る気はなかった。
だが、ディーノが殴られると思った瞬間、手が勝手に動いていた
頭の中で、いつぞやの出来事が甦る。
-怪我、ちゃんと手当てしなきゃダメだからな!-
脅えながら、それでも傷ついた者を心配する、どうしようもない甘ちゃん。
こんな小さな箱庭の中ですら苛められている奴だ。
広い世界に入れば、一瞬で消されてしまうのは想像に難くない。
だから、今、助けたところで無駄以外の何物でもない。
判っているのだ。そんな事は。
それでも、何故か、奴が傷つく姿を見たくなかった。
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例のどらまCDがあまりに衝撃だったので


覚悟とムカツキ(原作バージョン)で小ネタ(2008/09/23)
「こうやってイメージして…」
ボワッ
ディーノの指輪にオレンジの炎が燈る。
「お前もやってみろよ、キョーヤ」
「やだ」
「やだって……あのなー……」
ディーノは困ったように頭を掻きながら、ため息をついた。
生徒兼恋人の雲雀恭弥は相変わらずに人のいう事を聞かない。
この先、リングの炎を使った戦いは主流になっていく。
だから絶対に雲雀にこの力を身につけて欲しかった。
何があっても、生き延びて欲しいから。
「ちったあ、オレの気持ちも判って欲しいぜ」
ポツリと呟かれた言葉に、雲雀の眉がピクリと動いた。
「それはこっちの科白だよ」
「えっ?」
険しい視線を向け、口をムスっと閉じている。
「何でそんなに機嫌、悪いんだよ?」
「よくそんな事が言える」
「へっ?」
「久しぶりに来たと思ったら、突然、訳の判らない話を始めて……これじゃあ……」
そこまで言って、再び口を結ぶ。
「恭弥?」
一体、如何したんだと顔を覗き込めば、突然、口をふさがれた。
雲雀の唇で。
そのまま口内を蹂躙され、咽喉もとの刺青を舐め上げられる。
「ばっ、こんなトコで…ダメだって!」
燃え移るものではないとはいえ、炎を操るのだ。
心情的に何となく、屋上で講義をしていた。
「煩い」
ディーノの静止は、たった一言で切り捨てられる。
「ちょっとは黙ってたら如何なの?」
手首を掴まれ、頭の上で拘束され押し倒される。
「何で、そんなに怒ってるんだよ!」
「さあね、自分で考えなよ」
完全に聞く耳を持ってくれない。
くそっ、一体何だってんだよ…
どうにかして拘束を解かないと…
手首に視線を動かすと、…何だ? 何か光っている?。
紫色の…あれは、ひょっとして雲の炎!?
えっ、何で? 別に恭弥、覚悟とか何とかしてねーじゃん!?
怒ってるだけで! 一体どういう事だ?
……あ、そうか……覚悟ってのは様は強い意志って事だよな?
つまり、強く思えば、リングは答えるって事で…つまりそれはスッゲームカツク!とかでも一緒って事だよな?
「ちょっと、待て、ストップ、恭弥、ストーーーップ!」
一生懸命、足をジタバタさせて、雲雀のわき腹に攻撃を続けたら、流石に動きが止まった。
「判った。リングの事はもう言わねー! だから、これだけは覚えておけ!」
「何?」
「リングに必要なのはムカツキだ!」
「……言いたい事はそれだけ?」
「あ…・・・ああ」
「そう」
「えっ、ちょっ、だからこんな所で……やっ……あぁんっ…」
結局、その場所で最後までキッチリと致されてしまうディーノだった。
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アニメ放送前に書いたネタです


雲雀が「跳ね馬」と呼ぶ理由(2008/9/21)
屋上で一戦交えて休憩中、オレは前々から気になって事を恭弥に訊いた。
「なあ、なんでお前、オレの事「跳ね馬」って呼ぶんだ?」
だって、ズルイじゃねーか。
山本とかスモーキン・ボムとか草壁の事はちゃんと名前で呼ぶのにさ。
そりゃ、リボーンの事とかも「赤ん坊」とかって呼んでるみてーだけど、アイツを呼ぶ時の恭弥はいっつも、それは嬉しそうに笑いながら呼んでるから何ていうか、こう「特別」って感じがする。
だけどオレを呼ぶ時はそっけなく「跳ね馬」だぜ? 恋人に対する態度じゃねー!
「可愛いから」
「はっ?」
「僕が跳ね馬って呼ぶと不満そうに唇尖らせるあなたの顔が可愛いから」
って、ちょっと待てよ!
7つも年上で、ガタイもしっかりしてて、身長だって14cmも上(密かにコンプレックスなのは内緒だ)の、はっきり言ってこの年頃から見ればオッサンに分類されてもおかしくね−オレを捕まえて、かっ、かかかかかっ、可愛いって何だよ!
こいつの目、絶対おかしい! 眼科行け、眼科!
そう思うのに、オレの心臓はドキドキと大きく鳴り響く。
「顔、赤いよ」
目の前には小馬鹿にしたように笑う恭弥。
「うん、その顔も可愛いね」
それでも嬉しいと思ってしまうのが、すげー悔しかった。


食べ物シリーズ〜桃〜(2008/09/25)
「どうしたんだ、恭弥、桃なんか見て」
「この桃、あなたに似てる」
「はっ? どこがだよ?」
「(割れ目に指を這わせながら)ここのラインとか」
「なっ!」
「ここの赤いところなんか、挿れる前にそっくり」
「真顔でセクハラされた!」
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※この後、「甘いところもおいしいところも似てるね」と言われながら食べられます。
勿論、桃の話ですよ?


食べ物シリーズ〜渋皮煮その1〜(2008/09/28)
テラテラと光る茶色いモノを口に含んだディーノは、至福な顔で言った。
「すっげー、美味い」
はしたないと思いながらも舌先で転がして、軽く咬む。
弾力のある感触と共に液体がジワリと滲み出ると、それはホロリと崩れ、ほのかな栗の風味と一緒に深い甘味が口に広がった。
「栗の渋皮煮って、ホント、うめーよなー」
「…だから応接室に食べ物を持ち込むの、止めてくれる?」
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ママンに作ってもらった渋皮煮があまりにもテカってたので


食べ物シリーズ〜渋皮煮その2〜(2008/09/28)
「お前も喰うか?」
向かいのソファに座る恭弥にシブカワニの詰まったタッパを差し出す。
だけど恭弥は一瞥くれてから「…いらない」と断って手元の書類に視線を戻した。
せっかくツナのママンが作ってくれたヤツを分けてやるって言ってんのに。
勿体ねーヤツめ。
だけど、コイツも随分と穏やかになったよなー。
初めて食べ物を持ち込んだ時は問答無用でトンファーが襲ってきたもんなー。
それが今じゃ、文句は言うけど、アッサリ許してくれる。
これもやっぱりアレだ。愛の力ってヤツだよな、うん。
そーやって考えると、恭弥とシブカワニって似てるかもしんねー。
シブカワは渋くてエグくて、口に入れるとチクチクして人の食べるもんじゃない。
だけど、時間を掛けて、何度も煮込んで、丹念に灰汁を救い上げて、それを繰り返していく内に少しずつ甘くなってって、柔らかくなってって、最後にはこんなにも美味いものに変化する。
恭弥も最初は凶暴で戦闘マニアで人の話を聞かないサイアクな奴だった。
だけど、時間が経っていく内に、こうして優しさを見せてくれるようになった。
ひょっとして、もっと時間をかけて愛を注ぎ続ければ、恭弥もなってくれるだろうか?
とろりと広がるような至福をオレに与えてくれるような、そんな男に。
……ありえねーな、恭弥に限って。
判っていながらも、ちょっとだけ期待してる自分もいる。
やっぱり恋人同士なら蕩ける程に甘い関係になりたいじゃねーか。
だから、オレはちょっとだけ努力をする事にした。
小さな渋皮煮を口に含んでテーブルに身を乗り出す。
「何?」
訝し気に見る恭弥の顔を両手で挟んで唇を奪えば、口の中に広がる蕩ける様な甘味が広がった。


勝手に幸せになる人達 (2008/09/28)
「あなたはいつも幸せそうだね」
「何言ってんだよ?」
「あなたが笑ってない時ってないから」
「そりゃ当たり前だろ。お前と一緒なんだから」
そうやって頬を染めながら笑う姿を見て
幸せなのは僕の方だった事に気がついた。


究極ですらない選択(2008/09/29)
「…お前さ、オレと草壁が崖に掴まってて、どっちかしか助けられねーってなったら、迷わず草壁助けそうだよな」
「当たり前でしょ」
「うわっ、即答しやがった! お前、本当にそれでもオレの恋人かよ!?」
「じゃあ聞くけど、もし仮に僕とオジサンが崖に掴まってたらどっちを助けるの?」
「そりゃ、ロマーリオだろ。お前なら自力で何とかするだろうし」
「あなた、人の事言えるの?」
「…すみませんでした」
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草壁を助けた後、ディノさんを追って崖に飛び込むつもりでいるのは、
雲雀さんだけのの秘密です。


映画ネタシリーズ〜ハ
////ク〜(2008/10/02)
※登場人物の「靴以外ぬがすなよ」という科白より
「駄目だ……眠い……」
応接室に来る早々、ディーノはソファに撃沈するかの様に倒れこんだ。
「ちょっと……」
「悪い……寝かせてくれ……」
その様子に呆れつつも、疲れ果てているのにも関わらず、自分に会いに来てくれるディーノにくすぐったい様な嬉しさを感じる。
自然に上がる口の端を手で隠しながら、彼に近づき言った。
「寝るのは構わないけど、せめて靴くらいは脱いで」
このソファは雲雀のお気に入りなのだ。
ディーノだから特別に貸しているが、だからと言って汚されたくはない。
「いーだろ……どーせ汚れてんだし……」
眠りを邪魔されている所為か、彼にしては不機嫌そうな口調で反論してきた。
確かに、今まで何度も、たんぱく質を過分に含んだ液体で汚しまくっているのは事実だが、それはそれ、これはこれだ。
だが、ディーノは身じろぎをするばかりで、一向に靴を脱ごうとしない。
雲雀は仕方なくディーノの靴に手を掛けたその時、ディーノがポツリと呟いた。
「靴以外、脱がすなよ」
元より、そのつもりだった。
だが、そんな事を言われれば、黙って言う事を聞く雲雀ではない。
そもそも、ディーノがそんな事を言うという事は、それだけでは終わらないと思っている証拠だ。
ならば、その期待に答えなくては。
「……そんな事言っていいの?」
悪戯を思いついた小悪魔の笑みで、ディーノの下肢へと伸ばす。
「なっ、ドコ触ってるんだよ!」
「どこって、自分で判るでしょう?」
ズボンの上からそれを握り、刺激を与えていけば、すぐに形が変わっていくのを感じ取れる。
「相変わらず、淫乱だね。もう、こんなになってる」
「スボンの上からでも判るよ」と耳元で囁かれば、羞恥で顔が真っ赤に染まる。
刺激を与えられ続けている場所が痛いくらいに勃ちあがり、開放を求め始める。
同時にいつも雲雀を受け入れる場所が、疼き始めた。
「あっ……もうっ…んんっ」
ディーノの口から、自然に艶の含んだ声が漏れる。
眠気など、既に消し飛んでしまった。
「ねえ、本当に靴だけでいいの?」
囁かれる声が脳を甘く痺れさせる。
「他も……脱がせて……」
耐え切れなくなったディーノが懇願する声を聞きながら、雲雀は満足そうに喉を鳴らした。


欲しかったものと手に入れたもの(2008/10/06)
一番初めに欲しいと思ったのはロマーリオだった。
だけど、その時、ロマーリオは父親のものだった。
「坊ちゃん」と優しい声音で呼ぶくせに、父親に呼ばれれば必ずそちらを優先させるのが悔しくて、寂しくて。
それは仕方のない事なのは理解していた。
何故なら、彼が仕えるべき相手も、その忠誠を誓った相手も、父親なのだから。
彼が自分に構うのは、父親の息子だからに過ぎない。
そして、それは彼だけでなく、他のファミリーの仲間にも言える事で。
ああ、自分は本当はとても孤独なのだと、思い知った。

その次に欲しいと思ったのはリボーンだった。
最初は大嫌いだった。
破天荒な赤ん坊彼の行動は、あまりにも厳しくて、なぜ自分がこんな辛い目に遭わなくてはならないんだと怒りばかりが湧き上がった。
だがある日、気がついた。
その突飛な行動の中に、紛れもなく自分への愛情があるのだと言う事に。
ずっとこのまま彼は自分を見守ってくれるものだと思った。
だが、それは違った。
彼は誰のものにもならぬ存在だった。

そして、スクアーロ。
ほんの僅かしか交流のなかった、あまりにも自分とは違う男。
だが、その僅かだけで十分だった。
まるで磁石が引き付け合うかの様に、まるで、互いに足りぬものを補い合おうとしているかの様に、不思議な程に惹かれあった。
今度こそ、自分だけのものが手に入るかもしれない。
そんな期待に胸が膨らんだ矢先だった。
彼は出会ってしまったのだ―XANXAS―
その、強烈な存在は、淡く穏やかな感情を一気に吹き飛ばし、スクアーロを連れ去っていった。

たった一つで良かった。
たった一つ、自分のものが欲しかった。
だけど、欲しいものは、いつも誰かのもので、もう手に入れる事は出来ないのだと思った。
それはとても辛くて、寂しいけれど、仕方ない。
それに、本当に望む形ではないにしろ、自分は手にしているではないか。
自分を慕う部下達も、守るべき優しい住人達も。
なら、それで満足しなくては。
だけど、どんなにそう思おうとしても、胸の中にある空虚が消えない。

どうして、そんな話をこの目の前の少年にしてしまったのだろう。
こんな勝手で子供じみた感情を。
ただ、その深淵のような黒い瞳に見つめられるうちに、ずっと己が弱さが膨れ上がってしまった。
「悪い、今のは忘れてくれ」
オレがそう言うと、少年は尚もオレを見つめたまま、
「だったら僕のものになれば良い。そうすればきっとあなたも寂しくないよ。
そう告げられて、抱きしめられた。

胸の中の空虚が消えていた事に気がついたのは、それからずっと後の事だった。


10年後で下ネタ(2008/10/06)
「ディーノさんっていっつも肌が綺麗ですよね」
「どうしたんだ、ツナ。藪から棒に?」
「いえ、実はその秘訣を聞いてこいと女性陣に言われまして」
「これといって特に何もやってねーんだけどなー。んー、まあ強いて言えば」
「強いて言えば?」
「あれだな。ちょくちょく恭弥の(自主規制)を浴びてるからだな」
(聞くんじゃなかった!!!)


それでいいのか!? (2008/10/07)
「もーやだ、オレ、あいつの家庭教師やめる!」
「いきなり何を言い出すんだ、ディーノ。っていうか、死にてーのか?」
「誰もそんな事言ってねー! っつーか銃取り出すな!」
「じゃあ、どういうつもりだ?」
「だって、あいつと二人っきりでいるとスッゲー、ミスっちまうんだもん!」
「それで?」
「しかもその度に恭弥の奴、笑うんだぜ!? 生徒に馬鹿にされるなんて! もーカテキョーやる自信ない!」
「その前にお前、何でヒバリの前でミスるのか考えた事あるのか?」
「へっ?」
「原因が判ればミスる事もなくなるし、ヒバリに馬鹿にされねーだろうが」
「原因かー…(ミスるって事は、きっとどっかで緊張してんだよな、きっと…恭弥と二人っきりになって緊張するって事は…あっ、そうか!)」

in応接室
「恭弥! オレ、お前の事好きみたいだから、付き合ってくれ!」
「…どこをどうしたらそうなるの? 別にいいけど」
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付き合う事に対して否はないようです


雲雀さんが『跳ね馬』と呼ぶ理由その2(2008/10/07)
ヒバリはディーノの名を滅多に呼ばない。
たまーに気が向いた時に呼ぶらしいが、それだって数える程だ。
だが、ディーノはそれでいいと思っている。
確かに最初は不満だったが、偶にしか聞けないからこそ、呼ばれた時にとろける程に甘く幸せな気持ちになれるのだという事に気がついたからだ。
だが、それでも一つだけ不満が残っている。
それは、公的にで名を呼ぶのが必要になった時(例えば他の守護者との会談中だとか、他のファミリーがいる時とか)は必ず『跳ね馬』と呼ぶ事だ。
「別に態々言い換えなくたっていいじゃねーか」
文句を言うディーノに雲雀は深ーいため息を吐きながら言った。
「あなた、僕が名前を呼んだ時、どんな顔するか知ってる?」
「顔?」
「そう。今にも蕩けそうなくらいに甘く笑うんだよ。仕事中にそんな顔、したら駄目でしょ?」
そう言われると否定できない。呼ばれる度に幸せすぎて頬の筋肉が緩むのは自覚がある。成程、確かに仕事中にするには不適格な表情なのだろう。
多少の不満は残るが納得するしかなさそうだ。
「それに…」
「まだ、何かあるのかよ?」
「そんな可愛い顔、僕以外の前でさせる訳ないでしょ? ね、ディーノ」
耳元で囁かれ、嬉しくて頬を緩めれば良いのか、恥ずかしくて俯けば良いのか、判らなくなった。


小説ネタ(2008/10/08)
ねぇ!。ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、何処にもねー!
届ける筈の落し物を自分が落とすなんて間抜けにも程がある!
必死になって探しているが、一向に見つからねー!
下を見ながらウロウロしてっから、電柱に頭をぶつけまくるし…
日本の道って何でこう狭いんだよ!
なのに探し物は見つからねーし!
必死になって探しながら歩いていたら、グイッと腕を引っ張られた。
「危ないよ」
「えっ、恭弥?」
この時になって初めて目の前に電柱がある事に気がつく。
ぶつかる前に助けてくれたのか。
「ありがとな、恭弥。でも何でここに?」
「探し物はこれでしょ?」
そう言って見覚えのある紙袋を差し出される。
「あー、あった! 見つかったぞ、了平!」
「何、まことか! うむ、確かにこれだ! 何だ、ヒバリが拾ってくれたのか! 感謝するぞ!」
「別にしなくていいよ」
「恭弥! 折角礼を言ってる奴にその態度はないだろ!」
「だって、お礼は後であなたからたっぷり貰うから」
「勿論、その身体でね」とオレだけにしか聞こえない声で囁かれる。
それってつまり、その…やっぱりアレだよな…
「どうしたのだ? 顔が赤いぞ?」
「いや、その何でもねーよ!」
くそーっ、恭弥の奴、さっきから余裕の表情で見てやがる。
うー、でも拾ってくれたのは確かだし、その、もともと並盛に来たのは、ゴニョゴニョ…って、あれ? そういえば何で恭弥、オレがこれを探してるって知ってたんだろう?
「まったく…あなたはなかなか来ないし、電話しても繋がらないし」
えっ、電話!? あーっ携帯の電源、飛行機乗った時から切りっぱなしだった! 
「仕方なくオジサンに連絡を取ったら、あなたは暢気に届け物をしに行ったって言うし、どうせあなたの事だから、途中で肝心の物を落とすだろうと思って様子を見に行けば案の定だし…」
「えーっと、それは心配してくれたって事か?」
「…あなたは黙って約束を破る人じゃないからね」
うわっ。それは嬉しいかも…
「何だ、ひょっとして、ヒバリと約束があったのか? なら後はオレ一人で大丈夫だから、そっちを優先してくれ」
事情の知らない了平が漢前(おとこまえ)な事を言ってくれる。
いや、でも探し物をするハメになった原因はオレにある訳だし、途中で投げ出す事は出来ない。
そう言おうとしたら、再び恭弥に先をこされた。
「あなたの事だから、途中で投げ出せないでしょ? そのくらいは待っててあげるけど、なるべく早くしてね」
くっ、ここでさり気無い優しさなんか見せやがって、この卑怯者!
あー、もう駄目だ。オレの完敗だ。
こうなったら、後でたっぷりと『お礼』してやる!
やられっぱなしじゃ性に合わねーからな!
「すぐ終わらせて戻ってくるから、そこで待ってろ!」
恭弥にそういい残して、了平と一緒に急いでツナん家に戻った。


金木犀 (2008/10/09)
その甘く強い香りを感じ取りながら、もうそんな季節が来たのかと雲雀は思った。
次に首を傾げる。
ここは地下アジトの私室だ。金木犀が近辺にあるはずもない。
一体何処から香ってくるのかと思っていたら、今度はよく知る気配を感じる。
「よ、久しぶりだな、恭弥!」
スパンっと小気味良い音と共にディーノが現れて、更に匂いが強くなる。
見れば蜂蜜色の頭に隠れるように小さな山吹色の花が散り乱れていた。
「…どうしたの、頭に花が咲いてるよ?」
「どういう意味だよ!」
「(自分が馬鹿だって自覚はあるのか…)そういう意味じゃなくて、頭に金木犀がついてるよ」
「へっ?」
雲雀に言われてディーノが頭に手をやると、小さな花がパラパラと畳の上に落ち、更に甘い匂いが広がる。
「わっ、悪いっ! わっ、わわっ!」
塵一つ落ちていない畳を散らかしてしまい、慌てて拾おうとしゃがみ、更に散らかす
益々慌ててオタオタするディーノの姿にため息をつきながら、雲雀が言った。
「とりあえずじっとして。取って上げるから」
「えっ、いいのか?」
「これ以上、散らかされても困るしね」
「えーっと、ごめん」
「そうじゃないでしょう?」
「あ、そうか。ありがとな、恭弥!」
その明るい笑顔に、小さな花はとても似合っていた。


SS・コスモスおまけ小話(2008/10/10)
「なーなー、恭弥、お前、好きな奴いるだろう!」
「…別に」
「隠したって判るぜ! オレ、そういうの鋭いからな! なー、オレに相談して見ろよ!」
「遠慮しておくよ」
「何だよ、絶対に上手く行くぜ! こーみえてもオレはXANXASとスクアーロをくっつけた実績があるんだぞ!」
「ふーん。それ本当?」
「ああ、勿論だ! 相手は誰だ? クロームか?」
「…違うよ」
「うーん…あっ、ひょっとして男か!? 安心しろ。オレはそんな偏見はないからな!」
「それは心強いね」
「やっぱり男か! 骸か? 山本か? あっ、ひょっとして笹川?」
「あなただよ」
「えっ?」
「相談したら、絶対に上手く行くんだよね」
「えっ……えっと……(何かオレ、嵌められた?)」


映画ネタシリーズ〜ゲ
//////ト〜(2008/10/11)
※主人公すまーと君がピンチを回避したシーンから
修行を始めて早3日。
雲雀恭弥は恐るべきスピードで強くなっていた。
その格闘センスに内心舌を巻きながらも表面上では涼しい顔で相対する家庭教師ディーノ。
数多くの死線を潜り抜けてきた彼だが、流石にこれだけ長時間戦っていれば、隙の一つも出来る。
ズダンッ!
派手な音と共に彼は背を地面に縫い付けられた。
(しまった)
上から襲ってくるトンファーを何とか掴み、それを押し返そうとするが、不利な体制からの巻き返しは難しく、とうとうそれは彼の首元まで下ろされる。
首に感じる冷たい感触にディーノは強い危機感を感じた。
(やべっ! このままじゃやられる!)
どうすればいい、どうしたら…そうだ!
ディーノは咄嗟に雲雀の後頭部に手を回し自分の方へ引き寄せると思いっきり唇を重ねた。
雲雀の目が大きく見開かれ、驚きのあまり体から力が抜ける。
(今だ!)
その瞬間を狙ってディーノが雲雀の腹に思いっ切り膝蹴りをかます。
「ぐっ」
その痛恨の一撃に雲雀は腹をかかえ呻いた。
「意外だが画期的な手だな。大人げねーけど」
一部始終を見ていたロマーリオがビシっと突っ込み、その隣で草壁が呆然としている。
「大人の戦略って言って欲しいぜ。だいたい家庭教師としてここで負ける訳にはいかねーだろ」
ぷちっ!
「…ん? ぷち?」
「へー、そんな理由で、この僕にあんな事をしたんだ」
「きっ、恭弥!? な…なんか本気でキレてねーか?」
「あんな事されたら、誰だって怒ると思うけど?」
「って…まさか、お前…ひょっとして…ファーストキス?」
「……………………だったら何?」
「ぎゃー! わ、悪かった! まさか初めてとは思わなくて! すまん! 犬に噛まれたと思ってここは一つ!」
「そうだね…うん、決めた」
「許して…くれるのか?」
「僕の初めてを奪ったんだから、あなたの初めてを奪う事にしよう」
「へっ?」
「あなたをぐちゃぐちゃに犯す」
「はいいいい!?」
「何、あなたまさかそれも経験済なの?」
「んな訳あるかああああ!」
「じゃあ、いいじゃない」
「良くねーよ! っておい、ロマーリオ! 笑ってないでお前も反論しろよ!」
「くくくくっ、まあ、あれだ……ぷっ……自業自得だな。ま、あきらめろ、ボス……わはははははっ!」
ロマーリオが爆笑する横で草壁は既に魂を飛ばしていた。
「覚悟はいいかい?」
「良くねーよ!」
目の前のピンチは回避できたものの、何だか別のピンチに立たされるディーノだった。


感謝!〜SS・出会いの日の前振り〜(2008/10/13)
「どうしたの、いきなり笑ったりして」
「いや、何か不思議だなと思ってな」
「何が?」
「今、お前とこうしているのが」
「言ってる意味が判らないんだけど?」
「だってさ、ついこの間までジャッポーネなんて名前しか知らなかったんだぜ? なのに今はこうして恋人までいる。ほんと、人の縁って不思議だよな」
「そう言われれば、そうだね」
「珍しく素直じゃねーか」
「僕だってついこの間まであなたの事を知らなかったからね」
「うん。だから感謝しねーと」
「感謝…誰に?」
「勿論、お前って幸せをオレに引き合わせてくれたリボーンにさ」


会いたいと思う時(2008/10/16)
一人で町を歩いている時
忙しくてたまんねー中で、ふと時間が空いちまった時
夜寝る時、やけにベットがでかく感じた時
敵の銃弾で腹に穴が開いちまった時
雲一つない、綺麗な秋晴れの日


会いたくないと思う時(2008/10/19)
誰かの移り香がついてしまった時
命を狙われている時
人を…殺した後
アイツが楽しそうに、リボーンや山本と話している時
自分がとても弱い事を思い出した時


拍手おまけ分(08/10/23)
それはいつも通り、ディーノさんとヒバリさんに丁重に帰って頂き、いつも通り自室で日本茶を啜り、いつも通りに獄寺君に愚痴を零していた時の事。
「で、ディーノさんがオレに抱きついて、ヒバリさんは怒るし。ほんと、毎度毎度いい加減にして欲しいよね」
「あの…僭越ですが10代目…」
「んー、なーに、獄寺君?」
「それならば、跳ね馬のヤローが抱きついてくる前に避ければ宜しいのでは?」
「ふっ、甘いよ、獄寺君」
「はっ?」
「避けたら避けたで大変な事になるんだ…」
そう、あの時は大変だった。
ディーノさんが「ツナまでオレを蔑ろにする! オレもうボンゴレ同盟やめる!」とか言い出して、勿論それは冗談だってオレは判ってたけど、それを本気にする人がいた。
そう、ヒバリさんだ。
これ幸いとばかりに「じゃあ、もうボンゴレや沢田がどうなってもいいよね」とか言い出して、本気でオレにトンファーむけるんだもん。
オレもボンゴレ10代目になってから、命とかいっぱい狙われたりしたし、死線を掻い潜ったりとかもしてきたけど、あの時ほど「ああ、ここで死ぬんだ…」って思った事はなかったね。
あんなに嬉しそうなヒバリさんも初めて見た…
それ以来、オレはディーノさんの抱擁という名の凶悪な補助攻撃を避ける気は起きなくなった。
それにヒバリさんも心臓を鷲掴みにされてるみたいな怖ろしい殺気を放ちはするけど、ディーノさんといる時は絶対に攻撃はしてこないんだよね。
草壁さん情報によると昔まだオレ達が中学生だった頃「オレと一緒にいる時にツナに攻撃したら絶交!」とか言われたのを律儀に……いやこの場合、健気って言った方が正しいかな? に守ってるらしい。
「ヒバリさんも可愛いところがあるよねー。ま、命の危険がないんなら、殺気を受ける方が何倍もマシだよねー……ってアレ、どうしたの、獄寺君?」
「いえ、その……何でもありません」
「そう? あ、じゃあ悪いけど、お茶もう一杯入れてくれる?」
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さて、一番図太いのは誰でしょう?


食べ物シリーズ〜ラ・フランス〜(2008/10/24)
「ラ・フランスとあなたって意外に似てるよね」
「…何処が?」
「大きさもだけど、意外に柔らかいところが」
「人のあらぬトコを見ながら言うなあああ!」


食べ物シリーズ〜バニラアイス〜(2008/10/25)
「さっさとしなよ」
「そう言ったって上手く口に入らねーよ」
「外側を嘗めればいいでしょ?」
「いや、こういうのはやっぱり頭から咥えねーと駄目だろ?」
「言ってるうちから垂れてきてるよ」
「っと、アブねーっ……んー、やっぱ濃くって美味いなー」
「あなたさっきから凄く卑猥なんだけど?」
「なっ、突然何言い出すんだよ!」
「そんなに顔を汚して」
「仕方ねーだろ! 日本のアイスは食うの難しいんだよ!」
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某Hさんのオススメはホ/ー/ム/ラ/ン/バ/ーだそうです


お菓子も悪戯もバカップルには一緒だよね!〜2008ハロウィン〜(2008/10/31)
久しぶりの日本。
オレはワクワクして恭弥がいる並盛中に行った。
ところが、恭弥は取り込み中だった。
ちょっと残念に思ったけど、忙しいならしょーがねーと思って帰ろうとしたら
「もう少しで終わるから」と引き止められたから待つ事にした。
だが、恭弥はなかなか書類から目を離そうとしねー。
「なー、まだ終わらねーのかよ」
「もう少しだから大人しくしてて」
さっきから、そればっか。
オレが同じ事したら、すぐ怒る癖に、自分は平気でするんだもんなー。
あー、ヒマだ。
手持ち無沙汰にポケットの中にビスケットを取り出して食べようとしたら怒られた。
学校にお菓子を持ち込むのは校則違反だって。
校則ってのは破る為にあるんだぜ?
そんな事を思いながらウダウダしてたら、カレンダーが目に入った。
今日の日付は10月31日…そーいやハロィンか…そうだ!
オレは気配を消しながら、そーっと恭弥に近づく。
書類に没頭している恭弥に気づかれる事はねー。
そのまま、後ろに立って恭弥に抱きついて、そっと息を吹きかけてやった。
オレに全く気がついてなかった恭弥は驚いて、すげー勢いで振り返った。
ザマーミロ。 耳が弱い事は知ってんだ。
「いきなり何?」
「知らねーのか、今日はハロウィンだぜ?」
「ハロウィン…? それとコレにどんな関係があるの?」
「Trick or Treat! お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ?」
そのまま、恭弥の顎を掴んで無理やりオレの方に向けて、キスを一つ。
「これもイタズラ?」
「まず手始めに仕事を邪魔してやるよ」
「へぇ?」
「嫌だったら、菓子をよこせよ?」
そのまま、恭弥の下肢に手を伸ばして、刺激を与えてやる。
「とびっきり熱くて、甘ーいのを」
伊達に身体を重ねてる訳じゃねー。
どうすればお前がその気になるか知ってんだぜ?
「どうする」
そう言って首筋にキスを落とせば、恭弥の身体がピクリと揺れる。
「どうするも何も、お菓子をあげても結果は変わらないじゃない?」
その言葉と同時にオレの身体は反転して、机の上に押し倒されてた。
「いいよ。飛び切り熱くて、甘いものをあげる」
降りてきた唇は、だけどオレの唇には降りてこない。
代わりに耳朶をキュっと咬まれた。
「途中で食べきれなくなっても知らないよ?」
「望むところだ」
そう答えれば、今度こそ恭弥の唇がオレのそれに重なる。
手始めにそれを食べながら、恭弥の背に手を回した。


最悪な日のサプライズ(2008/11/3)
こんな筈じゃなかった。
人間、誰だってそんな経験の一つや二つあるだろ?
そう、今のオレの状況みてーに。
今頃オレは恭弥の事を思いながら飛行機の中にいた筈だった。
久しぶりに、お互い時間が取れて日本で会う筈だったのに。
なのに今、オレは会議室にいる。
でっかい会議室の中には所狭しとテーブルに座る大勢の老若男女。
いずれもボンゴレファミリーの幹部、もしくは同盟ファミリーのボス連中だ。
普段メンバーがこんなに揃う事はねーんだが今回は特別だ。
何しろ、アメリカで幅を利かせてたファミリーが一瞬で壊滅したってんだからな。
これで闇社会のパワーバランスが一気に崩れる事になる。
ボンゴレファミリーとして、またその同盟ファミリーとして今後どう対応すべきかを検討する為の話し合いの場だった。
だがどんな世界にも無駄な事をするのが好きな連中ってのがいる。
ツナが対策案をあげる度に揚げ足を取り続ける選民主義思想のジジイどもだ。
自分達だって大した打開策を持ってねー癖に『もっと画期的な案は出せないのか』とか『やはり格式あるボンゴレボスに日本人がなる事が間違ってる』だのと煩せー。
ここはそんな事をいう場じゃねーだろって。
こいつらが会議を長引かせている要因なのは明白だ。
只でさえこっちはイライラしてるってのに、鬱陶しい事この上ねーな。
だけどここでオレがキレる訳にはいかねー。
そんな事したら、黙って耐えてるツナや守護者の連中の努力を無駄になっちまうからな。
しかし、これ終わるのにどれだけかかるんだろうな?
ここに恭弥がいたらな…きっと煩い連中を問答無用で全員咬み殺すに違いねー。
アイツのアレはある意味でスゲー平等だからなー。
アイツ、今頃オレの事、待ってんだろうな…
オレに会えないって知ったら少しはがっかりしてくれるかな?
その前に「咬み殺す」って怒るかな?
それはそれでいいかもしんねー。
それって、オレに会いに来てくれるって事だもんな。
不謹慎な話、オレは会議の間中ずっと恭弥の事ばっかり考えてた。

やっと終わった…
…結局、会議は最初にツナが出した守護者を数名現地に向かわせて、
ニラミを効かせながら徐々に沈静してくって案でまとまった。
だったら最初からそうしとけっての。
もうこんな時間かよ…ほんと、疲れたぜ。
胸ポケットには、只の紙切れと化したエアチケットが入ってる。
次のフライトは12時間後。
駄目だ…それに乗っても、恭弥はもう日本にはいねー。
もう、諦めるしかねーよな。
「ホント、サイアクだ…」
「何が?」
「恭弥に会えなくなった事に決まってるだろ」
「変な事を言うね」
ん……この声?
「今こうして会ってるのに」
慌てて振り向くと、そこには恭弥が立っていて…
「何で…?」
「予定が変わって、こっちに来ることになってね。携帯を鳴らしても繋がら…」
「会いたかったぜ、恭弥!」
オレはたまらなくなって、恭弥に抱きついた。
恭弥は何か言ってたみてーだが、そんなのどうでも良かった。
「人の話を聞けって、いつも言う癖に…」
恭弥の腕がオレの背に回されて、ギュっと抱きしめられる。
本当に久しぶりに感じる、恭弥の髪、鼓動、体温、匂い。
そのどれもがオレの寂しさを満たしていく。
「僕も会いたかったよ」
奪われる様な激しいキスが気持ち良くて、もう我慢できなかった。
「なあ、早くお前が欲しい」
「珍しく積極的だね」
「だって、もう会えないと思ってたんだぜ?」
そんな中でこんな運命みてーに会えたら、もう堪んねーよ。。
「そうだね。僕もあなたと擦れ違わずに済んで良かったよ」
そうだな。こーなるとあの小姑共にちょっと感謝だな。って流石に現金すぎるか?
「どうしたの?」
「何でもねー。それより早く」
「ここでは無理だよ」
せがむオレに恭弥は苦笑する。
「あなたの可愛い姿を他の連中に見せる気はないからね」
耳元でそうやって囁くのは反則だ。
低い声がオレの耳から全身を駆け巡り、背中をゾクゾクさせる。
オレを沈めたいのか、煽りたいのかどっちなんだよ。
「じゃあ、早く家に帰ろうぜ」
もう待ちきれなくなったオレは、恭弥の返事を聞く前に腕を取って、急かしながらボンゴレ本拠地を後にした。
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後ろで『廊下のど真ん中で無駄にいちゃつくな、バカップルううう!』と握りこぶし握ってプルプル震えてるデーチモ様のお姿があったとか、なかったとか。


サプライズ真相 (2008/11/5)
雲雀恭弥の携帯が鳴ったのは、キャバッローネ邸に到着したのと同時だった。
「何だよ、こんな時に」
一刻も早く雲雀に触れたいと思っているディーノは不満げに口を尖らせた。
ディーノのこんな可愛い姿を見るのも久しぶりだ。
こんな顔が見れたなら、無粋な人間も許してやってもいいだろう。
気分良いままディスプレイを見るとそこには『沢田綱吉』の文字が浮かんでる。
そろそろ掛かってくる頃合だとは思っていた。
これより早ければ、会話の内容をディーノに聞かれる事になるし、遅ければ久しぶりにディーノを味わっている真っ最中になる。
向こうもそれは本意ではないだろう。
「先に行ってて」と告げれば、ディーノは不満気な顔をする。
雲雀としてはここでもう一押し「仕事とオレとどっちが大事なんだよ」くらいは言って欲しい。
だが、ディーノに言える訳ないのも十分に知っている。
これでも随分とマシになったのだ。
昔はあんな顔を雲雀の前で見せる事はなかった。
ただ「仕方ねーな」と笑って一言で終わり。
その度に雲雀はずっと遣る瀬無い思いをしていた。
だから長い長い時間をかけて、ゆっくりと彼に教えていったのだ。
雲雀には我侭を言ってもいいのだと。
あなただけは、僕の前で弱さを見せてもいいのだと。
その甲斐あって、こうして不満を隠さなくなった。
「次からは切っておくよ」
「べっ、別にそんな事を言ってるんじゃなくて…」
耳まで真っ赤に染めながら言い訳をするディーノの姿に雲雀の頬は自然に緩む。
「じゃあ、何」
雲雀が追求すると「そのっ…オレ、先に行ってるからな!」と屋敷の中へと逃げていった。
その背中を見送りながら、これなら次は言ってくれるかもしれないと思いながら、先程から根気良く鳴り続ける携帯に出た。
「何の用?」
『ヒバリさん…今、大丈夫ですか?』
「あの人を抱く前かと聞かれれば肯定するけど」
『お伺いしたい事があるんですが』
「手短にね。あの人を待たせてるから」
『単刀直入に聞きますけど、何でイキナリ壊滅なんかさせたんですか?」
「何の話?」
『あなたが、アメリカマフィアを壊滅させた話です!』
「よく判ったね」
『僅か3時間で、しかもたった一人で、アメリカ5指と云われる組織を、壊滅できる人間なんてあなたしかいませんよ…』
電話の向こうでツナが疲れきった声で言った。
『で、何であんな事したんですか? お陰でこっちは今大騒ぎですよ』
「知ってるよ、跳ね馬が言ってたよ。会議で君が苛められたって」
『ええ。ですから被害者としては、理由くらい聞いてもいいでしょう?」
「腕の怪我」
『はっ?』
「君を庇って出来たあの人の怪我、彼らの仕業らしいね」
『って、それひょっとして去年の抗争の件ですか?』
「本当はすぐにでも咬み殺したかったんだけど、そうしたら自分の所為って悩むからね」
『だからって何も壊滅させなくても…』
「僕のものを傷つけたんだ。当然だよ。本当は君の事だって許せないんだよ、沢田綱吉?」
だが、ツナを咬み殺せば、ディーノの行為が無駄になってしまう。
何より、腹立たしい事だがディーノには沢田綱吉が必要だ。
「聞きたい事はそれだけ?」
『何で、昨日だったんですか?』
「さあね」
『えっ、ちょっ…』
まだツナが何か言ってるのも構わず通話を切る。
これ以上ディーノを待たせたくはなかったし、雲雀自身も限界だった。
約束通り、携帯の電源を落としながら、ディーノが待つ部屋へと向かった。
因みにそれを昨日したのは、急遽イタリアに行く事になった雲雀が、ディーノの足止めをする為だったという事は雲雀だけの秘密だった。


サプライズ真相〜Ver.ツナ〜(2008/11/08)
ディーノさんとヒバリさんボンゴレの廊下のど真ん中で堂々とイチャついた挙句、恋人つなぎで去っていってから2時間後、オレはヒバリさんの携帯に電話をした。
だけどヒバリさんはなかなか電話にでない。
あれ?
このタイミングならギリギリセーフだと思ったんだけどなー。
ひょっとして、もう突入しちゃったの?
でもロマーリオさんがいるのに車中で致す程無節操な人達じゃないと思うんだけど…
切ろうか如何しようか迷っていたところで漸くヒバリさんが出た。
『何の用?』
うっわー、機嫌良い〜。
まーそりゃあんだけラブラブイチャイチャしてたら当たり前か…
出たって事は大丈夫だとは思うけど、一応礼儀として大丈夫か確認してみたら、相変わらず人を牽制する言葉をお吐き下さる。
もういつもの事だから、軽〜くスルーして、とっとと用件を済ませる事にした。
「単刀直入に聞きますけど、何でイキナリ壊滅なんかさせたんですか?」
『何の話?』
「あなたが、アメリカマフィアを壊滅させた話です!」
『よく判ったね』
やっぱり、犯人はお前かああああ! 
カマかけただけなのに…
出来れば「勘違いしないでよ」とかいう返事が聞きたかったのに…
いくら「独自の判断でファミリーを守る」って言ったって、もうちょっとこっちの意見も聞いて欲しいよ…
お陰で無駄な仕事が増えたじゃないか…
背中にどーんと重いものが圧し掛かってきた…
せめて何でそんな事をしたのか知りたくて聞いてみれば…
ああ、そうだったよ…この人が守ってんのはボンゴレファミリーじゃなかったよ…
しかも言いたい事だけ言って電話切るし…こっちはまだ話終わってないんだけどなー…まあ、いっか。オレだって、ヒバリさんは兎も角、大事な兄弟子に対して無粋な真似はしたくないからね。
でも、やっぱりっていうか、当然っていうか、ヒバリさん、一年前の事、まだ許してなかったんだなあ。まー、それはオレも同じなんだけどさー。
襲撃受けた時からあの男だけは絶対に許さないと思った。
だってあの男、自分が支持したっていう証拠を残さなかったから。
襲撃者を、自分の部下を、同じファミリーの仲間を見捨てたんだ。
そんな卑劣なやり方、絶対に許せない。
部下を守れないボスなんて、存在する意味なんかない。
それはオレがあの怖くて優しい家庭教師から学んだ一番大切な事だ。
でもあの時、本当に許せなかったのは、優しく頼もしい兄弟子に怪我を負わせてしまったオレ自身だった。
オレが不甲斐ないから、ディーノさんはオレを庇ったんだから。
だからオレは必死になって証拠を探した。
あの男の差し金だったっていう証拠を。
そして一年掛けてやっと見つけて、さあ、これからって時だったのに。
ヒバリさんに先をこされちゃったなぁ…
たった一人の襲撃者が自分の部下やアジトを壊滅していくのを体験して、あの男もこの世の恐怖ってもんを味わった事だろう。
あの愛らしいバリネズミがどんどん膨れ上がって凶悪な力を発揮して、そんなの目の前でされて、さぞかし怖かっただろうなー。
まあ、それで許してやってもいいんだけど…
できれば、あの男は、いっそ殺してくれって懇願するくらいに、真綿で首を絞めるようにジワジワと苦しめてやりたかったのに…
ちぇ。
でもまっ、今回は庇ってくれたディーノさんに免じてヒバリさんに花を持たせてあげるか…
でもホント、何で昨日だったんだろう?
証拠は一週間も前に揃ってたのになー。
ま、そんな事考えても仕方ないか。
ヒバリさんのする事だもんな。
とりあえず今のオレにそんな事をダラダラ考えてる余裕は無いしね。
オレは諦めにとても良く似た悟りの境地に立ちながら、この事態を一刻も早く収拾する為に、ヒバリさんを除く守護者に召集をかけた。
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一番粘着質なのは実はツナというお話


現代ディーノさん救済小話(2008/11/18)
ディーノがツナ達がいなくなったという話を聞いたのは、ついこの間の事だった。
慌てて日本へと飛んで見たものの、手がかりの一つも掴めない。
キャバッローネの力を持ってしても情報が得られないというその事実に嫌な予感ばかりが胸を過ぎる。
「一体、どこに行っちまったんだよ、皆…」
誰もいないホテルの一室で深憂のままに呟いたその時だった。
何かの気配を感じたのは。
「誰だ?」
何時からいた?
いくら上の空だったとはいえ、今まで気がつかなかったなんて。
ディーノに緊張が走る。
「流石に10年前だけあって、若いね、あなた」
暗がりか黒髪の青年が現れる。
「…日本人、か?」
「僕が誰か判らない?」
この顔、この声、何よりもこの眼差し…
「まさか…そんな…」
「そのまさかだよ」
「恭弥…なのか、本当に?」
そんな、ありえない。
ディーノの顔に戸惑いが浮かぶ。
ディーノの知る恭弥はまだ中学生だ。
なのに目の前にいる人物は、明らかに自分より年上の姿をしてる。
「正確には、10年後の雲雀恭弥だけどね」
「10年後…?」
そう言われれば、納得が出来る。
実際、ランボやイーピンが『10年バズーカ』でよく入れ替わるのだし、雲雀が入れ替わってもおかしくはないだろう。
だが、何故その10年後の雲雀がここにいるのかが判らず首をかしげていると、10年後の雲雀が話し出した。
「あなたに伝える事があって」
「オレに?」
「沢田達は今、僕達の時代にいる」
「何だって! どういう事だ!?」
「だから、沢田達は10年後の未来に呼ばれたんだ。ある人物にね」
未来に行っている。如実には信じがたい話だ。だが、それならば探しても見つからない事に納得はできる。
「一体、未来で何が起きてるんだ」
「それは言えない。赤ん坊と約束したから」
「…アイツらは無事なんだな」
「一応ね」
それならば良かったとディーノは胸を撫で下ろす。
何に巻き込まれているのかは判らないが、リボーンが一緒なら大丈夫だろうという、絶対的な信頼もあった。
そんなディーノに、しかし雲雀は更に追い討ちとも言うべき言葉を放った。
「もうすぐ15歳の僕も呼ばれる」
「そんな…何で…?」
「10年前の僕にしか出来ない事があるんだ」
「今の恭弥にしか出来ねー事?」
それは一体何なのだろうか。
15歳の雲雀より、明らかに25歳の雲雀の方が強い筈なのに。
「本当は、あなたにこの事を伝えるのもいけない事なんだけどね」
僕は本当にあなたに甘いらしい、と雲雀は苦笑したが、衝撃の事実を聞かされたディーノはそれどころではない。
リボーンやツナ達だけでもこんなに心配なのに、恭弥までいなくなるなんて…
「大丈夫だよ」
「えっ?」
「何があっても僕は負けない。必ずあなたの元に帰るから」
「恭弥?」
「だから僕が帰るのを待っていて」
10年後の雲雀がふわりと笑った。
ディーノを不安を全て包み込むようなそんな顔で。
そして、更に腕を伸ばしディーノを抱き寄せる。
「10年前は中々素直になれなくて言えなかったけど、今なら言えるよ」
10年の歳月を経た雲雀の身長はディーノと変わりなく、丁度ディーノの顔が雲雀の肩に埋める形となり、雲雀の声はディーノの耳元でそっと響く。
「愛してるよ、ディーノ」
ディーノの目が驚愕に見開くと同時に、雲雀の体をピンク色の煙が包み始めた。
「あなたが辛いと僕も辛いから、だから心配しないで?」
そんな言葉を残し、10年後の雲雀はいなくなった。

次の日からディーノは毎日、雲雀を尋ねた。
暗黒世界の一部しか知らぬ「指輪の力」を教える為に。
未来で何が起こっているのかは判らない。
それでも何かトラブルが発生しているのは間違いはない。
それを解決する為に雲雀が行かなくてはならないというのなら、自分の役目は雲雀を少しでも強くして、少しでも危険を少なくする事だと思った。

そして、暫くして、いつもの様に屋上に行った時だった。
寝ているヒバリを煙がつつむ。
それを見ながら、遂にその時が来てしまったのだと悟った。
だが、ディーノは心配はしない。
10年後の雲雀は言った。
必ず帰ってくると。
心配しないで欲しいと。
だから、自分に出来る事はその言葉を信じて待つだけ。
「さっさと片付けて早く帰って来い」
誰もいなくなった屋上にディーノの呟きが響いた。
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実は皆、丸い機械の中でおねんね中だと判明した直後に書いたお話

戦隊物の予告パロ的な今後予想とか(2008/11/19)
正ちゃんは味方だった!
驚くツナご一行様に、更に驚愕の事実が語られる!
チェルベッロこそが、とりにてぃーなんとかの力を使い、せかいせーふくを企む悪の秘密結社なのだと!
正ちゃんはチェルベッロの企てを阻止する為、あえて敵の振りをして機会を伺っていたのだ!
役者は揃った!
チェルベッロに立ち向かう為、遂に丸い装置の封印が解かれる!

一方、イタリアでは、でぃのさんとヴァリアーが白蘭と戦っていた。
そして、ここでも白蘭の口からとんでもない事実が語られる!
「実は僕、味方なんだ、てへ☆」
実は、白蘭はひょんな事からチェルベッロの企てを知り、それを阻止する為、奴らの味方する振りをしながら、機会を伺っていたのだ!
こうしてはいられない!
一刻も早く日本に向かい他のメンバーと合流しなくては!
そこに現れる、なんとかいう匣発明者の内の一人。
彼の発明品「ど○でもどあー」で瞬時に日本へとついたイタリア組。
つかの間の再会を喜ぶツナ達。
しかし、ここでもピンチが襲う!
突然、15歳(仮)のヒバリさんと25歳(仮)のヒバリさんが、1人しかいないディーノさんを取り合い始めた!
味方同士で何をやってるんだ!
騒然とする中、いつの間にか、どっちがよりディノさんを(一部不適格な表現が入りましたので削除されました)出来るかの勝負に!
この先、一体どうなるのか!?
そして、ディノさんの腰は大丈夫なのか!?
ついでに世界の明暗は!?
次号「真の敵、来る!」
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判っていたけど、面白いぐらいに予想が外れてるね!


息抜き小話(2008/11/25)
まあ色々あって、キャバローネが抗争に巻き込まれ、
まあ色々あって、その事に雲雀が気づき参戦して、
まあ散々な目にあった敵さんの本拠地が見事に瓦礫の山と化した中心部、
そんな物騒な場所に二人は立っていた。
「協力してくれてありがとな、恭弥」
「…別に、あなたの為じゃないよ」
明らかに照れてると判る仕草でプイッと顔を背ける雲雀を見ながら、やっぱり可愛いな〜とか何とかディーノは思う。
可愛いついでに、頬にチュッとキスをする。
「ここ、敵地だよ」
「別にいいだろー、もう壊滅させたんだし」
そう言いながら唇を寄せられれば、雲雀だって悪い気はしない。
あっさりとディーノの唇に己の唇を重ねる。
ここにツナがいたら「さっき嗜めたのは何だったんだ!」と突っ込んでくれるだろうが、生憎と今は不在だ。
したがって二人を止める者はおらず、これでもか! という位に、熱ーくて、長ーいキスを繰り返す。
散々したおして気が済んだのか、唇をどちらからともなく離す。
「後は哲とおじさんに任せようか」
「そうだな」
訂正。
散々したおして、却って火がついたらしい。
お互い、熱の篭った眼差しで見詰め合う。
ここにツナがいたらきっと「だから、ここ、敵地の真ん中だってば!残党いたらどうすんの!」と突っ込んでくれるだろうが、本当に悲しい事に、彼は不在だった。
それじゃあ移動しようかとしたところでディーノはさっきキスした方とは反対側の頬に傷がついている事に気がつく。
「恭弥、怪我してるじゃねーか、手当てしねーと」
「別に大した怪我じゃないよ」
「駄目だって、こういうのはちゃんとしねーと。折角の男前が台無しにだぜ」
そんな軽口を叩きながら、持っていた治療用の晴の匣を開匣して、雲雀の怪我を治した。
「よし、終了。うん、オレ好みの男前に戻ったぜ」
「一応、礼は言っておくけどね」
「ちぇっ、素直じゃねーの」
匣をしまいながら、唇を尖らせるディーノを見ながら、雲雀はつくづくと大空の属性というのは便利だと思った。
能力は衰えるものの、全ての匣を自在に操れるのだ。
戦闘のバリエーションも増えるし、どんな攻撃にも相性をあわせる事で、有利に進める事ができる。
先程も、霧属性の匣と雨属性の匣を組み合わせて、あっさりと敵を倒していた。
それを思い出して雲雀は不機嫌になった。
雨はまだ許せるにしろ、何で霧なんてものを使うんだ。
しかも、今日見た匣は初めて見る物で、つまりはまた新たな霧属性の匣を手に入れたという事だ。
雲属性の匣は雲雀のあげたバリネズミ・レプリカしか持っていない癖に。
自然にムスッとなる顔にディーノが不思議そうに声を掛ける。
「…何で急に不機嫌になってんだよ、恭弥?」
「…その新しい匣、どうしたの?」
大方、また例のアルコバレーノに押し売りされたんだろう。
ディーノはリボーンの弟子であっただけ、アルコバレーノの知人が多い。
その為、今までずっと、匣発明者のアルコバレーノに散々カモにされていた。
まあ、お陰で匣が重要視される昨今で有利に立つ事が出来るのだし、匣が手に入り難くなった今でも有力な匣を手に入れやすい立場になっているのだが。
だが、返って来た言葉は意外なものだった。
「骸に貰ったんだよ」
「はっ?」
「いや、何かのレプリカだっつってたな。良かったららどうぞって。実際、使って見ると使い勝手良くて便利なんだよな」
「…あの男から、匣を貰ったんだ、そう…」
途端、ディーノの背筋に悪寒が走る。
拙い、ヤバイ。
雲雀が骸を嫌っている事なんてすっかり忘れていた。
だか、まさかそんな事を言える筈がない。
冷や汗を流しながら固まっていると、雲雀が突然、ディーノの腕を掴んだ。
「行くよ」
「って、何処へ?」
「二度とそんな気にならないようにしないとね」
「って、チョット待て、十分に判った! 二度と骸からは匣は貰わねーから!」
「聞く耳は持たないよ」
こうしてディーノは人から不用意に物を貰っちゃいけませんという、とっても基本的な事を、たっぷりと教え込まれる事になった。
勿論、身体を使って。
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何の息抜きだったかは覚えてません


ヴァリアー戦の六弔花の正体が洗脳受けたディノさんだったらどうしよう小ネタ(2008/12/2)
「僕の許しもなく何やってるの、あなた?」
雲雀は、白い衣装に包まれた金髪の青年に声をかけた。
青年の事は良く知っていた。
雲雀の元家庭教師であり、対ミルフィオーレにおける味方であり、そして、恋人である筈の青年、ディーノ。
だが、今の彼からは、そのどれもが微塵にも感じられない。
白蘭によって洗脳され、敵となってしまったからだ。
「雲雀恭弥…白蘭様に逆らうものは全員、倒す」
ディーノは容赦なく、雲雀に鞭をふるった。
だがー
振りかざした瞬間、バランスを大きく狂わせ、その場に倒れこむ。
が、彼の顔が地面に激突する事はなかった。
「大丈夫?」
雲雀が、いつもの癖で、彼の体を咄嗟に受け止めたからだ。
ドキっ
ディーノの胸が不可思議に跳ねる。
(な、何でオレ、こんなにドキドキして…こいつは白蘭様の敵なのに…)
そう思うのに、ディーノの動悸は治まらない。それどころか、血液が顔に集中して、耳が熱くなる。
ズキッ
不意に、ディーノに頭痛が襲った。
(何だ、この頭の痛みは…何か…何か思い出しそうだ…)
「ちょっと、本当に大丈夫なの?」
黒い双眸が、ディーノを覗き込む。その瞳の輝きに吸い込まれてしまう。
「‥‥‥ふむ」
不意に、雲雀が呟いた。
「な、何だよ…?」
その小さな呟きすら、ディーノを捕らえるには十分で。
どうした事だろう。この青年には勝てる気が全くしない。
「どうやら、あなたには体に言い聞かせた方が早そうだ」
「ど、どういう意味だ?」
「おいで」
雲雀は、ディーノの腕を掴むと、そのまま奥の部屋へと連れ込み、ベットの上に放り出した。
「な、何をするつもりだ?」
そう問うたディーノに、雲雀はネクタイを緩めながら言った。
「そんなの決まってるだろ?」
外したネクタイを、あろう事か、ディーノの手首にまきつけ拘束する。
「な、何をする! あっ、ちょっ!」
「僕の許しもなく、勝手に洗脳なんかされる悪い人にはお仕置きしないとね」
「なっ、そ、そんな所を触る……あっ…ああ〜んっ!」
―数時間後―
一糸乱れのない妙にスッキリした雲雀と、ヨレヨレに疲れきったディーノが出てきた。
彼の洗脳が綺麗さっぱりと消えていたのは言うまでもない。


匣がユニコーンとかペガサスとかだったら、ディノさん乗れなくない? だって処○じゃないから!な小ネタ(2008/12/15)
匣を手にウキウキとするディーノに雲雀は呆れた声で言った。
「…また、押し売りされたの?」
「煩い、黙れ。今度の匣はすげーんだぞ! 見てろ!」
そう言いながら、ディーノはやっぱり浮かれた調子で開匣する。
中からは白い羽が生えた美しい馬が現れた。
「どーだ! スゲーだろ! 態々作ってもらったんだぜ! これだったら飛べるだろ!」
「確か凄いけど…あなた、乗れるの?」
「失礼な事言うな! 乗馬は得意なんだぞ!」
「そういう意味じゃなくて…」
「そんなに疑うんなら、腕前を見せてやる!」
そう言いながらペガサスに近づくディーノ。
しかし、ペガサスは後ずさっていく。
「って、何で逃げるんだよ! お前、オレの匣だろ!?」
更に近づこうとするくディーノだが、ペガサスは無情にも同じ歩数だけ下がる。
「やっぱりね。知ってる? 伝承ではペガサスって清らかな乙女しか乗せないんだよ?」
「どういう意味だよ」
「あなた、乙女でもなければ、ましてや清らかなんて程遠いでしょ? 僕の下であれだけよがってるんだから」
「なっ、別によがってなんか!……いるけど」
「一応、認めるんだ」
「そりゃ…その…って、じゃあ何か!? オレ、アイツに乗れないのか!?」
「そうなるね」
「そんな! 折角作ってもらったのに!」
ディーノが叫ぶ横で、ペガサスは逃げるようにして飛び立った。


彼だけが特別(2008/12/20)
「あれ?」
その光景を見たとき、ツナは違和感を感じた。
何だろう?
部下がいないディーノが転ぶのはいつもの事。
うっかり近くにいる人間を巻き込むのも。
実際、ツナだってこれまでに何度、巻き込まれ、一緒に転んだ事か。
今回の被害者は雲雀らしい。
流石に彼は一緒に転ぶなどという無様な真似はせず、しっかりとディーノを受け止めた。
そう、いつもの光景の筈なのに、どこかおかしい。
「すまねー、ドジっちまった」
ディーノは顔を赤らめ、恥かしそうに謝り、そして逃げるようにしてこちらに向かってくる。
あっ、と思った時には遅かった。
今度はツナを巻き込んで派手に転んでくれる。
勿論、ツナにディーノを受け止める甲斐性はなく、一緒に派手に転ぶ。
「わっ、すまねー、ツナ。ドジった!」
起き上がりながら、いつもの様に照れ笑いを浮かべるディーノ。
そこで漸く気がつく違和感の正体。
先程、ディーノは笑っていなかったのだ。
それなのに、何処と無く嬉しそうに見えたのは、気のせいだろうか?




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