「あなたも懲りもせずによく来るよね」
オレの生徒は何時も憎まれ口で出迎えてくれる。
でも、オレは知っている。
そんな口を叩いても、恭弥は本気でオレを拒んでいない。
オレだけが気づける、恭弥の心情。だってオレは恭弥が好きだから、だから恭弥の事は何だって判る。いや、少し違うか。恭弥の事だったら、何一つだって見逃したりはしねー。
それでも、どうしても解らない事がある。それは恭弥の気持ちだ。果たして、恭弥はオレと同じ気持ちなのか、否か。
解らないからこそ、オレは今日も必死になって恭弥を誘惑する。
「相変わらずつれないな」
そう言いながら、とっておきの笑顔を見せる。
知ってるか、この顔はお前にしかしないんだぜ?
「今日こそ、リングの炎の話を聞いてもらうぜ?」
手を伸ばしてそっと触れれば、指がピクリと動く。
なあ、オレの指先は温かいだろう?
「言ったはずだよ、興味ない」
「本当に困った奴だよな……」
ワザとらしくため息をついてやれば、無表情の中に潜む罪悪感。
ほら、そろそろ情がうつってきただろう?
「でも、聞いてもらえるまで、毎日通うからな」
だけど、拒絶の言葉は聞きたくないから、臆病なオレは、いつも最後に必ず、大義名分を使うんだ。
「お前にはリボーンに頼まれてるんだからな」
僅かに傷ついたように曇るその瞳が、オレの気のせいじゃなければ良いな、と思った。
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