全く、リボーンっていつも言うことが唐突だよな〜。
何でオレがこんな事をしなくちゃなんないんだよ…
でも逆らったらヒドイ目に合わされるし…仕方ないよな…
そう思いながら始めた撮影だけど、やってみると結構楽しかった。
獄寺君が本を読む時は眼鏡をかけるなんて事、初めて知ったし、野球をする山本はやっぱり楽しそうで、トレーニングをしているお兄さんは格好良い。
クロームがはにかむように笑ってくれたのは嬉しかった。…いきなり二人が現れた時は本気で怖かったけど!
骸も何だかんだで素直に撮らせてくれたし…怖かったけど!
ヒバリさんを撮ろうとしたら、予想通り咬み殺されかけたし…
あー、でも京子ちゃ(とついでにハル)の写真が手に入ってラッキー!
やっぱり、京子ちゃん可愛いかったなー。
そう思いながら歩いていたら「おっ、いたいた」って声が聞こえてきた。
この声は山本? 振り返ると皆が勢ぞろいしている。
「どうしたの、皆して?」
「せっかくツナさんがカメラを持ってるなら、皆で写真撮影しないかってハルと京子ちゃんで提案したんでーす」
「おう、皆の親睦を深めるには極限にいい提案だぞ!」
「10代目と一緒に写真に写れるなんて光栄です!」
お兄さんと獄寺君が盛り上がって、その隣で山本が明るく笑う。
「折角だから、どうかなって思って。ひょっとして迷惑かな?」
「そ、そんな事ないよ!」
京子ちゃんと一緒に撮れるなんてオレも嬉しい! とは流石に口にする勇気はないけど。
それに、オレ、友達と一緒に写真なんて撮った事ないから、すごく嬉しい。
あれ、ひょっとしてリボーンはこれを見越して…?
チラッと下を向けば、リボーンがいつものニヒルな笑みを浮かべてる。
…そっか。
「ありがとう、リボーン」
「折角だから撮った写真を9代目やディーノにも送ってやれ」
「うん、そうする」
チビ達やビアンキも合流して(獄寺君は必死で見ないようにしていた。そりゃここで倒れられたら困るもんね)
用意をしていたら、ヒィィィ! ひっ、ひばりさんが来た!
どっ、どうしよう!
こんなに群れてたら、絶対に咬み殺されるっ!
そう思ってたらリボーンがヒバリさんへと向かう。
何とかしてくれるのっ!?
「ちゃおっす、ヒバリ」
「やあ、赤ん坊」
「今から全員で記念撮影するからお前も参加しろ」
…なんて恐ろしい事を言うだよ、リボーンっ!
「おっ、いいなそれ! 折角だからヒバリも入れよ!」
「うむ。ヒバリも一緒に極限親睦を深めようではないか!」
天然組がリボーンに便乗する。
いや、無理だろ! ヒバリさん、群れるの嫌いだし!
「悪いけど、君達と群れる気はないよ」
ほら、やっぱり。
「もし参加したらこれをやるぞ」
立ち去ろうとしたヒバリさんに、リボーンが何か差し出した。
あっ、ヒバリさんが目を見開いて、ちょっとだけ肩を揺らした。
「さっさとしてくれる?」
ええーっ!どういう風の吹き回し!
一体、どんな手を使ったんだよ、リボーン!
うわー、緊張するー。絶対にピンボケとかしない様にしないと!
慎重にピントを合わせて…タイマーをセットして…よし!
獄寺君が手を振ってくれてる。
オレは皆の所に走りよった。
後日談
「あーっ!」
久しぶりに応接室に来たディーノが机の上を見た瞬間、叫び声を上げた。
「何?」
「恭弥ズルイ! 何で皆と写真なんか撮ってんだよ! オレだって撮った事ないのに!」
「あなたがこの場にいなかったからだよ」
元々、雲雀だってツナ達と写真に写る気なんてなかった。
だが、リボーンが一緒に移ればディーノの写真をくれるというから妥協したのだ。
「でも、ズルイ!」
子供みたいに地団駄を踏む姿を見て、ヒバリは腹が立つ。
こっちはディーノの写真一枚で、一番やりたくない事、つまりは群れに入る事までしたというのに。
そんなにツナ達と写真を撮りたかったのか?
「僕だって、あなたと写真なんか撮った事ないけど?」
声が刺々しくなっても仕方ないだろう、この場合。
「だから、ズルイって言ってるんだろ!」
だが、ディーノの言葉は意外なもので。
「はっ?」
「オレも恭弥と写真撮りたかった! ツナ、ズルイ!」
雲雀は赤くなった顔をディーノに悟られまいと、顔を手で覆った。
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