【ま え が き】 編者は×××年×月×日、未知の言語体形と遭遇しました。 時代は常に流動し、社会は常に変化します。ことばもそれに対応して変化するものですが、それでもことばには一定の“法則”が存在します。 ところが筆者が遭遇したことばには、その法則性がありません。いえ、あるのですが、そんなものを知識人として認める訳にはいきません。 そこで、この言語体形に興味を持つ方の為に本書を発行しました。 貴方が有能な知識人であるならば、本書に目を通さないで下さい。 アーリィ語は、編者ことリリム=アイリスも、編者の恩師ネブリーナ=ミチオール女史でも、さっぱりわかりません。 しかし、理解できなくても恥じる必要はないと断言します。なぜなら、アーリィ語は元々アーリィにしか理解できない言語だからです。 アーリィ語は、その場の気分で変化する学者泣かせの言葉ですから。 ●○◎年☆月×日 リリム=アイリス 【基 礎 知 識】 1.アーリィ語の母体 結論から言えば、ベーシック(共通語)です。 ベーシックの言語システムを理解できないとある知的生命体が、無理にベーシックを理解しようとした成れの果てがアーリィ語の正体です。 その為、アーリィ語を話す者に此方から何らかのアプローチをかければ、相手はある程度は理解します。 しかし、その受け答えの際に意味不明な返事が来ると言うケースが多いと思われます。 そのパターンの総合が、アーリィ語なのです。 2.アーリィ語の特徴 アーリィ語は、知識人には極めて難解な言語です。 しかし、以下の特徴を把握する事ができれば、アーリィ語による日常会話はそんなに難しくありません。 ・嫌でも語尾にニャをつける ・年齢的に苦しくても一人称をボクにする ・敬称を用いる場合、好意のある相手・対象は呼び捨てか「〜しゃんv」とつける(例:「お魚しゃ〜んv」) ・人物や物体だけでなく行為にもさん付けをする(例:「釣りさん」) ・なるべく高い声で会話する。“気分が良い”と言うアピールには音を伸ばす(例:「あーにーきー!v」) ・説明はなるべく擬音で行う(例:「どぼーんで、ざばーんで、ごごごー!」) ・長い話をする時は馬鹿馬鹿しくても「えっとにゃ?んっとにゃ?」と言う前置きをする。 ・なるべく幼稚な言葉を使用する(例:「家」→「おうち」「炬燵」→「おこた」) ・難しい漢字は使わない ・本書に記載した単語を、可能な限り覚える ・大人としての誇りを捨てる(←超重要) 3.アーリィ語の起源 知らんで良し 【 本 書 の 使 い 方 】 ・見出し 基本的にはカタカナか平仮名。三連語のみ漢字表記 ・並べ方 1.現代ベーシックによる五十音順。 2.清音→濁音→半濁音 3.「つ」→「っ」 4.「や・ゆ・よ」→「ゃ・ゅ・ょ」 5.ベーシック(英語?)の長音「ー」は上の母音がもう1つあるものとみなす(例:「アー→アア」「キー→キイ」) ・一例 ●ア行 「アニキ」【あにき】 特に親しいと独断した(※相手の了解は不要)男性への敬称。 本来は兄に当たる人物を親しんでいう語。あるいはヤクザ仲間などで、年長者・先輩を立てていう語。 本書では、語録を上記のように表記します。 【 ア ー リィ 語 録 】 以下が過去に観測されたアーリィ語です。 可能な限りの量を調査・検証しましたが、何せ気分で変化すると言う荒唐無稽な言語なので 本書にはないアーリィ語と遭遇しても驚いてはいけません。本書はあくまで参考例としてください。 ●ア行 「開けた窓はおめでたいにゃ」【あけたまどは おめでたいにゃ】 新年の挨拶。 開けましておめでとう御座いますと同じ意。 「あたーま、ぼーりぼり、しっぽは、ぱりーん」【あたーま・ぼーりぼり・しっぽは・ぱりーん】 馬鹿…じゃない、歌の1つ。 魚の状態を好意的に解釈した際にいう語。図書館での使用はマナーに反する。 「アニキ」【あにき】 特に親しいと独断した(※相手の了解は不要)男性への二人称。或いは敬称。 本来は、兄に当たる人物を親しんでいう語。あるいはヤクザ仲間などで、年長者・先輩を立てていう語。 「イヴリスのおとーちゃん」【イヴリスのおとーちゃん】 大王イカの別称。 イヴリス戦役の際に、悪魔イヴリスが上半身は人間で下半身は烏賊類の触腕と言う姿を見せた事があるのに由来する。 「命がどっかーん」【いのちがどっかーん】 生命の危機を訴える時にいう語。 「おーっしおっき」【おーしおっき】 お仕置きのこと。 意味は悪い事をした子供・人物をこらしめるための行為。 発音が非常に難解で「おーっ」とおの母音を伸ばしてから切り、間髪いれず「しおっき」と発音する。 「お困りさん」【おこまりさん】 困っている人のこと。 「おしおき魂」【おしおきたましい】 悪い事をした子供をこらしめる為の熱意のこと。 「おじゃる戦隊オジャレンジャー」【おじゃるせんたいおじゃれんじゃー】 三連の辺境の中のさらに寂れた猫だけが住む寒村に伝わる謎の文化。 レッド、グリーン、ピンク、イエロー、ブラックの5名が悪と戦うという武勇伝。 但し架空でサイコラウンには伝わっても居ない。 「おじゃるのにゃ」【おじゃるのにゃ】 オジャレンジャーの語尾 また乱用すると、パワーが上がり合体できるらしい。 「おっぺけぺー」【おっぺけぺー】 ありえない、ふざけているなどの意。 「オトコ」【おとこ】 典型的な男尊女卑からなる美化された男性像を象徴するような人物を示す指示語。 この言葉は、アーリィ語では男性に対し最上級の賛辞にあたる。 言葉は違うが戦役の英雄カルマの言う「英雄」とほぼ同じ意。 「おはようなのにゃ〜」【おはようなのにゃ〜】 朝、人に会ったときのあいさつ。 おはよう、おはようございますと同じ意。 「おほしさまをごーん」【おほしさまをごーん】 イヴリス戦役の際に、カルマが第3の月を破壊した偉業を説明する一言。 「おみそしる」【おみそしる】 おみそれしました、のこと。 恐れ入った、感心した、驚いたという意思を敬意を込めて伝える言葉。 ●カ行 「かっくぃいいい」【かっくぃいいい】 格好よいの意。 発音がかなり難解で「かっ」と切ってから即座に「くぃ」と音を上げいの母音を高く大きく長く伸ばす。 「かっちんこっちん」【かっちんこっちん】 凄く硬いの意。 「ガンモドキ」【がんもどき】 男性の同性愛者への差別用語。 本来は「ガチホモ」という。 「亀の甲羅より硬い頭」【かめのこうらよりかたいあたま】 三連の「亀の甲より年の功」という諺と同じ意。 老人を敬う時にいう語。 「ゴーイングマイチェンジ」【go ing my cchange】 かわりにいくこと。変更、変化。 これから変わるために出かけるというときに使う語。 「ゴーマンジュウ」【ごーまんじゅう】 傲慢な状態を指摘する語。本来は「傲慢」という。 おうへいでヒトをあなどること。いばって、ヒトをばかにすること、などをあらわす。 予断だが「傲慢」は教会の七つの大罪のうちの1つ。 ※アーリィ語使用者は殆どの場合、知的劣等者なので、アーリィ語使用者から見れば普通の人間は誰でもゴーマンジュウに当たる。 「こんにちわにゃ」【こんにちはにゃぁ】 昼、人に会ったときのあいさつ。 こんにちはと同じ意。 「こんばんにゃぁ」【こんばんにゃ】 夜、人に会ったときのあいさつ。 こんばんはと同じ意。 ●サ行 「サイン」【さいん】 身体でのジェスチャーの事。 指を二本立てる「ピースサイン」か、親指と人差し指で作る「OKサイン」のどちらかを意味する。 間違っても、色紙に書くサインを求めてる人の前でアーリィ語としてのサインを口にしてはいけない。 「サンマグロジュース」【さんまぐろじゅーす】 魚類のしぼり汁。100%であるという意味で、ジュース。 アーリィと言う生物だけが呑める。 健常者が食べれない贓物や骨などをミンチにしてアーリィに提供すればエコ活動の一貫になる…か? 「しあわせーほわほわー」【しあわせーほわほわー】 殺気の反対語。 「じぃじ」【じぃじ】 男性の高齢者のこと。 「じゃーいあんとすぃーんぐ」【じゃーいあんとすぃーんぐ】 ジャイアントスウィングのこと。 発音がかなり難解で「じゃーい」とじゃの母音をのばし「あんと」で斬らずそんまま「すぃーんぐ」と発音する。 「重量機密」【じゅうりょうきみつ】 重要機密のこと。 重要な秘密事項を示す語。断じて、重量の機密ではない。 「視力」【しりょく】 死力のこと。 本来は必死の力、あるだけの力などの意。 「ずっこいにゃ」【ずっこいにゃ】 ずるい、卑怯。 転じて羨ましいなどの意。 「整理トントン」【せいりとんとん】 整理整頓のこと。 「絶妙なハーモニーが三つ巴でごろごろごろーんにゃ」【ぜつみょうなはーもにーがみつどもえでごろごろーんにゃ】 意味不明。 料理において、3つの異なる味が1つに融合し、甘美な味を体現してる様を評する言葉と思われる。 (使用例:魚しゃんと、パスタしゃんと、サラダさんの絶妙なハーモニーが三つ巴でごろごろーんにゃ。) 「ゾンビ漬け」【ぞんびづけ】 人為的な原因でゾンビが大量に居る状態を示す形容詞。 ●タ行 「ダイコンジュース」【だいこんじゅーす】 大根のしぼり汁。ジュース。 生臭すぎて健常者は飲料できない。 「だいにゃーーっ」【だいにゃー】 意味不明。 おそらく掛け声の1つ。「うぉおおお!」などの亜種か。 「タカナオ」【たかなお】 高尚のこと。 本来は上品なこと、程度が高いことを示す語だが、高尚を「こうしょう」と読めなかった事に由来する。 「託すして」【たくすして】 託す、持たせるなどの意。 ベーシックでは「託して」という。 「ちぇんじんぐまいうぇー」【changing my wey】 かえあらためること。変更。 自分自身の為に自分の特定の部位や装いを変更する努力を始める際にいう語。造語。 「ちくわ喧嘩」「ちくわげんか」 痴話喧嘩のこと。 男女の情事からおこるけんかのことをいう本来の意味とほぼ同様の状況でもちいる。 「血ナマコ」【ちなまこ】 血眼のこと。 1.血走った目 2.夢中で物をさがすさま。 「ちょっぷすあんどふぃっしゃーまん」【ちょっぷすあんどふぃっしゃーまん】 フィッシュ&チップスのこと。 「デイビー」【でいびー】 赤ちゃんのこと。 本来は「ベイビー」がこれに相当する。 「デリーシァス」【でりーしぁす】 おいしいと言う意味。 発音がかなり難解で「デリシャス」ではなく「デリー」とリの母音を伸ばし「シ“ァ”ス」と発音する。 特徴は「シャ」ではなく「シ」と「ァ」をつなげた独自の音を用いる。 「どうした板前さん」【どうしたいたまえさん】 どういたしまして、の意。 ただし、アーリィ語を使う人でない相手に使用すると「お前がどうした?」と返事をされる。 「どーっぼーん」【どー“っ”・ぼーん】 水中へ飛び込む際の掛け声。 非常に発音が難解で「どぼーん!」ではなく「どー」と音を伸ばし息を切り、間髪居れず「ぼーん!」と大きい声で叫ぶ。 「どっかん」【どっかん】 破壊する、崩壊する、失われるなどの意。 危機を訴える際に多用する語。 「どっこーい」【どっこーい】 やまでの掛け声。やっほーなどと同じ意。 「どぼーんで、ざばーんで、ごごごー」【どぼーんで、さばーんで、ごごごー】 素潜りの意。 水中へ飛び込む行為を全て含める。 「トラーんすふぉぉおみゅ」【とらーんすふぉぉおみゅ】 変化する、変身するなどの意味。 本来は変身する際の掛け声として用いられる場合が多い「トランフォーム」から。 発生する際に「ト“ラー”ンス」とラの母音を伸ばす。 「ドラゴンライダー・ムサシ」【どらごんらいだー・むさし】 意味不明。 恐らく、ドラゴンに騎乗する武人の形容詞。 但し冗談でなく誰にも通じずシカトされるため、使用しない方がいい。 「トロ舟に乗ったつもりで」【とろふねにのったつもりで】 ドロ舟に乗ったつもりでいい、の訛り。 本来は「大船に乗ったつもりでいい」と相手を安心させる為の言葉だが、 「ドロ舟に乗ったつもりでいい」と不安にさせる俗語がある。それが更に歪に変化したもの。 ●ナ行 「生ゴミ」【なまごみ】 アーリィ語を使用している人物に与えられる称号。 「ネズミーランド」【ねずみーらんど】 凄い薬草の味の評価。 正確には“まったりとしてこくがなく、まろやかにわいるどに舌に広がるネズミーランド”という。 「ノラキン」【のらきん】 ノーライフキングのこと。 本来は不死者の王、ヴァンパイアロードなどのをさする忌み名。 なお不死者の王の前で使うと、戦力外と思われる。当然か。 ●ハ行 「ばぁば」【ばぁば】 女性の高齢者のこと。 「はげちょろびん」【はげちょろびん】 頭がはげている男性を侮辱する差別用語。 「はげちょんぴー」【はげちょんぴー】 架空のキャラクター。大魔神。 中年男性の毛根が死滅する現象と密接な関係が有る存在。嘘。 「バシャエビ」【ばしゃえび】 架空の海老類。 親海老に2,3匹の小エビがくっついている様が馬車みたいにみえることから。 海老類としての種類ではない。 「バハムート・ライダー☆サスケ」【ばはむーと・らいだー・さすけ】 意味不明。 恐らく、ドラゴン王に騎乗する武人の形容詞。 但し冗談でなく誰にも通じずシカトされるため、使用しない方がいい。 「ぱんぱーんして、ぺこぺこして、ぱーん」【ぱんぱーんして・ぺこぺこして・ぱーん】 二拍二礼のこと。 初詣の際に参拝した神社で行う儀礼。 「ヒチュジュヒン」【ひちゅじゅひん】 必需品のこと。 「ぴゃ〜っ」【ぴゃぁあっ】 歓声の1つ。 ひゃっほーやうひゃああ、など喜びを表現する大声。 時には悲鳴としても用いられる 「びゅんびゅん丸」【びゅんびゅんまる】 再行動のこと。 もう一度、今一度、など。 「ぴょいぴょい」【ぴょいぴょい】 飄々とした人物、同じ場所に留まらない人物の形容詞。 応用として愛想が悪い人物を評する際にも適用される。 「ピンカラ」【ぴんから】 何らかの理由で癇癪を起こしている人物の形容詞。 二人称で使用しても殆どの場合、意味は通じないが失礼にあたる。 「ふみゅふみゅ」【ふみょふみゅ】 相槌の1つ。 そうですか、なるほど、へぇ、などの擬音語と同じ。 「ベーシクー」【ベーシクー】 ベーシック(共通語)のこと。 「へーりへろむ〜〜」【へーりへろむーー】 目が回る、眩暈がするという状態を伝える時にいう語。 「ベンケーさん」【べんけーさん】 癇癪を起こしている人、現実的な人への二人称。 「ボーボー」【ぼーぼー】 火が燃え上がること。その状態を意味する語。 「ぼろ雑巾ドラゴン」【ぼろぞうきんどらごん】 ドラゴンゾンビの形容詞。差別用語。 「ぽんぽこ豆たぬき」【ぽんぽこまめたぬき】 タヌキの様に姿を変え、相手を翻弄する狡猾な敵への二人称。差別用語。 ●マ行 「マッチグン」【まっちぐん】 合っている、という意味。 何か異なるもの同士の融合が素晴らしい結果を生み出している時に用いる語。 本来は「マッチしている」という。マッチングとも。 「みゃくそう」 意味不明。 恐らく、薬草のこと。 「メフィ」【めふぃ】 悪魔殺しとして恐れられた、天来の英雄メフィリスを示す語。 アーリィ語では長過ぎると考えられ、メフィと省略して扱う。 もしヴァンパイアハンター・アイの前で言えば、1発で殺されるので厳重に注意する必要がある。 「メリークリスマッシュ」【めりーくりすまっしゅ】 クリスマスの挨拶。 メリークリスマスと同じ意。 ●ヤ行 「ヤミナベ」【やみなべ】 病み付きのこと。 病的にその事が好きになるの意。 「良い落とし前を」【よいおとしまえを】 年末の際に、相手と別れる時のあいさつ。 良いお年を、の意。 「良い子はいねぇがぁあ」【よいこはいねぇがぁあ】 造語。 三連の悪徳を払う鬼ナマハゲの文化と、クリスマスを祝うサンタの文化を混同した結果。 もしクリスマスに言うと子供に唾を吐かれるが、文句を言ってはいけない。 ●ラ行 「りんりんらんらんそーせーじ」【りんりんらんらんそーせーじ】 イヴリス戦役の英雄・カルマの必殺技“輪廻転生剣”のこと。 「レーベルアップ」【れーべるあっぷ】 レベルアップと同じ意味だが「レベル」と発音してはいけない。 特徴としては「レー」とレの母音を伸ばす。 「レッツ」【let’s】 さぁ。いまから。これから。などに相当する掛け声。 レッツの後に何かが続く(例:「レッツ調べもの」「レッツらごー」「レッツ勘違い」) ●ワ行 「わき腹肉」【わきばらにく】 脇役の事。 取るに足らない人物などへの差別用語。 「ワっていう毛が生えてる」【わっていうけがはえてる】 訳アリのこと。 本来は、他人には言えない事情を抱えている人かその要素を示す語。 「わらになる」【わらになる】 本来は「藁にも縋る」と言う宛にならない存在の助けでも必要なときにいう語。 但しアーリィ語では「あなたを助けられる存在になります」と言う意として扱う。 【編 者】 ・リリム=アイリス ホーマアカデミー医学部を卒業。主席。冒険者ギルドでの現場実践を経て、開業医として活動中。 【発 行 者】 ・リリム=アイリス(同上) 【指 導 者】 ・ネブリーナ=ミチオール マジックギルド長。元ハーレムズとして活躍。 【発 行 所】 魔法ギルド