韓国済州島火山





 済州島(Jejudo)は火山島で、その中央にハンラ山(漢拏山、Hallasan)があり、高さは1950mと韓国一の高山である。そして、側火口が360余りあることで知られている。海岸線による島の形が東北東ー西南西方向に長い長円形をしており、その長軸方向に側火口が多いと推定される。この長軸方向が中村一明の指摘した水平最大圧縮軸の方向と考えると半島内で起きた主な地震のメカニズム解とほぼ一致する。2002年の済州島訪問では、飛揚島、サングンプリ噴火口、城山日出峰の3カ所の火口付近を見学できた。2003年には、漢怒山、軍山(Kunsan)、山房山の写真を撮影できた。それらを紹介する(どちらも韓国気象庁が主催した国際ワークショップに招待され発表)。
 図1に済州島の地図と関係する場所の位置を示した。図中の「A」が飛揚島、「B」がサングンプリ噴火口、「C」が城山日出峰である。

図1:韓国済州島の概略図。図中の「A」、「B」、「C」が以下に紹介する個々の位置。中央火山が漢拏山(写真1)。

写真1:漢拏山を南側海上から撮影。


 最初の火口は、A地点の飛揚島(Piyangdo、写真2)であるが、ここは1002年(これは別地点という説もあり)と1007年に噴火したことが知られている。写真2は済州島の挟才(Hyopchae)海水浴場から飛揚島を撮影したもので、飛揚島をほぼ南から見ている。左右に小さな山があり、左の山から噴火したらしいとされているが、はっきりとはしない。島の海岸付近には沢山の住宅が建っているのが見えた。写真3は、その少し西から撮ったものである。走行中の車内から撮影したので少し鮮明さに欠けている。この島の岩石は、済州島にある多孔質岩石とは異なり密な堅い岩であると韓国気象局の職員が言っていた。

写真2:飛揚島を南側対岸の挟才海水浴場から撮影。左側の山から噴火したらしい。

写真3:写真1より少し西側から撮影。


 次にクレーターの形がきれいに残っており、観光地になっているサングンプリ噴火口がある。ここは、ハンラ山の東側斜面中腹にある側火口である。活動歴は分かっていない。図2を参照。

図2:サングンプリ噴火口。入場券の写真をスキャンしたもの。



 最後は、城山日出峰(Songsan Iich'ulbong)で済州島の最東端に位置している。ここはクレーターの火口が埋め尽くされたような円卓状になっている(写真4)。

写真4:城山日出峰(182m)を西側から撮影。



写真5:1002年の噴火地点かも知れないとされる軍山(Kunsan、335m)。

写真6:面白い形の山房山(Sanbangsan、395m)。これは古い単成火山。

 そのほか、海底火山の存在も知られている。太平洋スラブやフィリピン海スラブなど沈み込んだスラブ先端から遠く離れた位置にあるこれらの火山活動の原因は、明確には説明されていないが、Miyashiroのホットリージョン説が有力である。



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