2009年9月29日サモア諸島付近の地震と10月8日バヌアツ地震


このページは、個人的な解釈を載せています。個々の情報はあとから訂正されることもありますので、あくまで参考としてご覧下さい。津波については気象庁で発表しています。


図1:米国地質調査所(USGS)の震源カタログによる震央分布とサモアの地震の震源位置(×印)。同所の速報では、Ms7.9となっていましたが、Mwは、8.0、気象庁の発表では、M8.3となっています。ハーバード大グループのMwは8.1。この付近は東側の太平洋プレートが西側へ潜り込んでいて、震源は地表プレート境界線が急に西へ湾曲する部分に位置します。地図中の長方形の中の震源による断面図を下に示しました。

図2:図1の地図の中の長方形内の震源を示した断面図。縦が水平距離に比べ2倍に拡大しています。湾曲部の断面図なので深さ300km以深で切れているように見えるが、深い部分は南側へは繋がっている。

図3:深さ60kmまでの浅い震源の分布で青色×印がサモアの地震、茶色×印がバヌアツ地震。サモアの震源付近には三角形の分布が見られる。この三角形は、インド・オーストラリアプレートからちぎれたマイクロプレート。

図4:宇津カタログによる1900年以降のM7以上の深さ60kmまでの浅い震源の分布。先月のサモアの震源は1917年に起きた地震の近く。1917年の震源の深さ「50km」は浅い震源であったことを意味する数値で、「50」という数値を今の震源深度と比較して議論は出来ない。宇津カタログによるとこの地震では津波が起きている。

図5:CMT解による震源メカニズムのビーチボール表示。サモアの地震以外はハーバード大のCMTグループのデータ。ここに示したMはハーバード大によるMw。本震は正断層であった。

図6:本震付近の拡大図。西側の2個は、メカニズムが同じ型の正断層の地震。茶色線は地表プレート境界線。以前書いたプレート境界線は、不適切でした。昔、震源分布図から推定して引いたので、海溝軸に一致していませんでした。この境界線は地形に合わせて引き直しました。海溝軸は、下の海底地形図を見て下さい。

図7:本震付近の海底地形図とCMTによるメカニズム解。今回の震源は、海溝軸より海側(外側)にあり、海溝外縁隆起帯まで離れていない。

図8:広域の海底地形図。赤色×印が今回の震源で、そのすぐ北にサモア諸島がある。サモア諸島から北西へ島嶼や海山が連なっており、途中で方向を北北西へ変えて北緯10度付近のマーシャル諸島まで繋がる。これはサモア諸島の東南東にあるホット・スポットによって作られた軌跡。従って、島弧・海溝系ではなくホットスポット起源のサモア諸島などは、本来海溝付近の地震による津波は遠地で受けることはあっても、近地の直撃を受けることはないが、現在の地学環境では、海溝付近をたまたま通過中であり、運悪く津波の直撃を受けてしまった。

図9:宇津カタログによる1900年以降のM7.5以上、深さ100km以浅の震源分布。下図は地図の枠内の震源の時空間分布を示していて、一番下が1900年で上になるほど新しく、一番上の線が本日。横の位置は上の地図に対応しています。右上端に近いところの大きな円が9月29日のサモア付近夫地震で、その右端から水平に1/4左の所の小さな丸が本日(10/8)のバヌアツの地震(M7.8)。枠内全域では1990年代後半から活発な様にも見えるが、東半分は静穏な期間が長くない。一方西の1/3、ジャワより西は、途中50年間くらい静穏で、最近活発であるのが明瞭。これはトルコから東へ連なりチベットを含み、スマトラ沖、ジャワ沖までの活動期、静穏期が繰り返されていることを4年前から指摘した通り。

図10:図9の枠内の地震のマグニチュード・時間図(M7.5以上、深さ100km以浅)。M8以上を見ると1940年頃までは活発で、その後やや静穏、最近活発であるように見える。