北朝鮮の爆破と思われる震動源(2016/1/6)

(2016/1/15 更新)


図0:Hi-netの島根県鹿島観測点(左)と北海道熊石観測点(右)の1時間波形。2016年1月6日10時から1時間。 30分の途中からP波が到着しています。鹿島は37秒頃、熊石は31分01秒頃。

2013年2月の資料にこの図0だけ加えました。図は上から2016年、2013年、2009年で同じ観測点の波形です。
2013年の波形振幅と比べると鹿島では今回がわずかに小さく、熊石は今回の方がやや大きい感じで、 平均するとほぼ同じ規模かと思われます。米国地質調査所のmbも前回と同じ5.1のようです。

2006年10月09日10:35(J) Mj4.9 mb4.3
2009年05月25日09:55(J) Mj5.3 mb4.7
2013年02月12日11:57(J) Mj5.2 mb5.1 Ms4.0
2016年01月06日10:30(J) Mj5.1 mb5.1 Ms4.0
Mjは気象庁マグニチュードで、mbは米国地質調査所の実体波マグニチュード、Msは米国地質調査所の表面波マグニチュード。
この程度の規模の場合、異なる方位をカバーし、距離の異なるデータが多いmbが信頼性があります。

爆発の規模について
NHKニュース(ネット)では
最初の核実験は2006年10月です。アメリカ政府の分析では、核爆発の規模は、TNT火薬に換算して1キロトン以下ということで、比較的小さな爆発だったとされています。 2回目の核実験は、2009年5月に行われました。アメリカの分析では、爆発の規模はTNT火薬に換算して数キロトンに及ぶもので、「2006年の核実験を上回るものだった」としています。 3回目の核実験は、2013年2月に行われました。爆発の規模について韓国国防省は6キロトンから7キロトン程度だったとしています。
毎日新聞のネット−ニュースでは
過去の核実験の爆発規模は▽1回目がトリニトロトルエン(TNT)火薬換算で1キロトン未満▽2回目が数キロトン▽3回目が6〜7キロトン、と推定されている。
中国科学技術大学(http://seis.ustc.edu.cn/en/201601/t20160106_234881.html)では、
2006 ( 0.48 kt)
2009 ( 7.0±1.9 kt)
2013 (12.2±3.8 kt)
2016 (11.3±4.2 kt)
と評価しています。


図1:Hi-netの島根県鹿島観測点(左)と北海道熊石観測点(右)の1時間波形。2013年2月12日11時から1時間。 最後の列の59分の途中からP波が到着しています。鹿島は27秒頃、熊石は51秒頃。


図2:比較のため図1と同じ鹿島(左)と熊石(右)の2009年のときの波形。 56分の途中からP波が到着しています。

両者のP波部分の振幅を比べると2013年の方が2倍以上あり、気象庁のマグニチュードが2013年の方が小さいのが不思議です。
ちなみに米国地質調査所のマグニチュードは、2013年の方が大きく、ここで見る波形の振幅とは合致します。
気象庁が2回目に発表した解説資料の中の牡丹江の波形の振幅スケールが2009年に比べて、 2013年の方が2倍の値になっており、
この波形の振幅から推定しても2013年の震動源のエネルギーの方が大きかったと思われる。

2006年10月09日10:35(J) Mj4.9 mb4.3
2009年05月25日09:55(J) Mj5.3 mb4.7
2013年02月12日11:57(J) Mj5.2 mb5.1
Mjは気象庁マグニチュードで、mbは米国地質調査所の実体波マグニチュード。



図3:米国地質調査所による震動源の位置(3回)と中国・牡丹江観測点、Hi-net鹿島観測点、熊石観測点の位置。

下は、牡丹江(MDJ)観測点での2013年と2009年の波形を直接比べたもの。
ここ



戻る