ニュージーランド、クライストチャーチ地震:2011年2月22日

(2011/02/23 更新) この件で気象庁には問い合わせしないで下さい。

図1:米国地質調査所のPDEカタログによる2010年以降の震源分布。今回の地震M6.3(Mw6.1)、深さ5km。 青色は21日以降の震源。今回の地震の震源域は昨年の地震の東に位置しているようだ。 昨年の地震は、M7.3(Mw7.0)と大きかったが、余り被害は無かった。 しかし、今回は大きな被害が出たのは、震源が浅い上、クライストチャーチの直下であったため、と思われる。

図2:上の震源を更新。青が、今回の地震以前で、赤色マークが今回の本震、余震。 この図を見ると、昨年の地震の震源断層はクライストチャーチの中心街には達していなかった。 今回はその東側の新しいところで起きていて、直近・直下の上、震源が浅かったことが大きな被害をもたらしたようである。 また、昨年の地震で古い建物が倒壊はしなかったものの一定のダメージを受けていたのではないかと思われる。

図3:2010年以降の震源分布。昨年のM7.3地震の震源断層は、東西に延びていて、地表地震断層も報告されている。

図4:昨年からのマグニチュード−時間分布。

図5:図3の枠内の時間・空間分布図。

図6:ハーバード大グループの震源メカニズム解。昨年のは、純粋な横ずれ断層だが、今回が逆断層型に近い。

図7:ハーバード大グループのCMT解によるP,T軸方位分布。実線がP軸=圧縮軸で、破線がT軸=張力軸。

図8:ハーバード大グループのCMT解。左が昨年9月の地震で、右が今回の地震。 昨年のは純粋な横ずれ型なのに、今回は縦ずれ成分がかなりあり、これが断層の上盤側に大きな被害をもたらした可能性がある。 震源位置の信頼性の高いM5以上の分布を図9に示したが、左横ずれ断層の起きた後の右上地域は圧縮場になり 逆断層型が起きやすくなるので、今回の地震はそれに分類されるのかもしれない。

図9:ハーバード大グループのCMT解(M>=4すべて)によるP軸方位地表面投影分布。短いのは鉛直に近い。

図10:ハーバード大グループのCMT解(M>=4すべて)によるT軸方位地表面投影分布。短いのは鉛直に近い。

図11:ハーバード大グループのCMT解(M>=4すべて)によるP軸方位地表面投影分布。 広域図、茶色線は大体の地表プレート境界線。 今回の震源域の西方のアルパイン断層付近での地震のP,T軸が北側、南側とやや方向が異なっているようである。 北島側では、やや深い地震は沈み込む方向に張力軸が並ぶ(千島弧型)。 南島南部の沈み込みでは、逆に圧縮軸が並び東北日本型。

図12:ハーバード大グループのCMT解(M>=4すべて)によるT軸方位地表面投影分布。広域図、茶色線は大体の地表プレート境界線。

図13:米国地質調査所の震源カタログによるM5以上の震源分布。 震源位置の信頼性が高いと思われる。

図14:米国地質調査所の震源カタログによる震源分布。濃茶色の線は地表プレート境界線。 北島では、太平洋プレートが島の下へ滑り込んでおり、北西側に向かって震源が深くなっている。 南島の大部分では、トランスフォーム境界で横スレ型。 去年からの活動はプレート境界線から離れたプレート内地震。

図15:2002年北島のウェリントンで撮影した建物。市内の公共施設の耐震には気を使っていた。左のX文字型補強がされているのは警察本部。