僕の手指故障記録

2004年の5月、僕は突然に右手の故障に見舞われました。25年ほどピアノの弾いてきて初めて体験したことです。 それから約半年、ほとんどまんぞくにピアノが弾けずに不安感と絶望感が交叉しました。
現状ではすこしづつ良くなってはいますが、未だ正常には程遠い感じです。もしかしたら以前のところまで回復しないかもしれません。 今回故障して、いろいろと調べてみましたが、似たような症例を書いてあるものはほとんどなく、本当はどこも悪くなくて、 ただ弾けなくなっただけなのかとも思いました。
なので、ここで記述して、同じような境遇に陥って、不安を抱えている人に同じようなことがあるんだ、ということを お知らせすると共に、僕が試していたり、考えていたりすることに関して、「こうかもよ?」とか「こうしたらいいんではない?」というような ことを教えていただけるとものすごくうれしいです。

kenban●それは突然にきた!

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kenban●原因として考えられること

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kenban●経過つづり(2010/3)


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●それは突然にきた!

2004年5月、僕は近づきつつある本番のためにGWをつぶしてピアノを弾いていました。
練習していた曲はリストの「ため息」、ベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ5番」、それから6曲くらいの 小品です。最初の違和感は親指の下の筋肉と人差し指の根っこの筋肉でした。 ピリっとして痛みが少しあったので、ちょっと疲れたなっていうぐらいの気持ちをもっていました。というのは 6,7時間弾いていると他にも疲労感はでてくるからで、今までもそういった疲労感はよくあったからです。 あまり気にせず練習をつづけ、GWは終わりました。
そして1,2日置いて、平日のスタジオで練習をしたところ、指が変な方向へつっぱってしまって、 まったくいうことをききません。
特に手を広げて弾くアルペジオやスケールで4,5指で弾こうと思うと、 単独で打鍵できないのです。思わず冷や汗がでました。
とりあえず、なぜか固まってしまったのだなって思い、付点練習なんかをしてみましたがまったく効果がありません。 その日は合わせの日だったのですが、早々に切り上げてもらいました。

何かが起こっていることは自覚があったのですが、本番をなんとかこなさなくてはいけないので、その状態のまま 強引に本番に臨みました。原因が使いすぎにあることはなんとなく感じていたので、本番のあと1週間くらい ピアノを弾くのをやめてみました。しかしその後、もう1つ本番があったため、また強引に弾いてしまったのです。

●具体的な症状

上でも書きましたが、まず最初は痛みでした。写真の赤い部分と、肘の後ろ側。肘のほうは痛みというよりも、なにかそこにあるような 違和感でした。

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そして湿布などを貼って痛みがひいたあとは、弾こうとすると下の写真のように親指と人差し指がかぎ状に 引き込まれてしまうのです。これがどういったときに起こるかというと、まず単純にドレミファソファミレドという音型を 1,2,3,4,5,4,3,2,1といった普通の指使いで弾いてみます。最初3の指にきたときに2の指が スムーズに上がらず、かなり力を入れて上げないといけません。そして4の指を弾くと親指は曲がり、2の指は 上がったままではいられずに引きづられて打鍵するようになってしまうのです。5の指でも同様なことがおこりました。
それからドミソドソミドやドファラドラファなどのアルペジオで手を広げて弾こうと思うと、やっぱり4,5指は単独では 動かず、2や1の指を引き込もうとするのです。

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そして、このような動きは日常生活でも起こりました。たとえば、電卓をたたくとき。4の指で+キーを押すと 人差し指が引き込まれるため、次に人差し指でキーをうとうとすると今までの目算をはずれて、机の上を叩いてしまうのです。 パソコンでも同様なことがおこりました。なので打ち間違いなどがすごく増えたのです。

●原因として考えられること

原因として考えられることは弾きすぎによる筋肉や腱を含む腕の疲労&炎症、そして筋肉が柔軟性を失って力をだせなくなった ことではないかと思います。これは「使いすぎ症候群」とか言われているようです。
使いすぎ症候群の代表的なものは「腱鞘炎」「テニス肘」とか言われるものです。

腱鞘炎はピアノを弾く人にとってはよく聞く故障名ですよね。 指は前腕の筋肉の収縮によって動きます。指を動かすために収縮した筋肉は腱を通じて指を動かします。 腱は指に達する前にいくつか腱鞘といわれるトンネルを通過します。
指を使いすぎると,腱と腱鞘の間に炎症が起き,指を使い,腱が腱鞘の中を動くときに痛みがでるのだそうです。 これがピアノ弾きがよくなる腱鞘炎です。僕が当初痛んだ親指などはまさに腱鞘炎だったと思われます。

テニス肘はテニスをする方がよく発症するのでこの名前がついていますが、一応正式名称は上腕骨外上顆炎というようです。 テニスをするとボールの圧力を受け続け、肘に負担がかかります。手首を支える筋肉は肘のところに付着していますが、 使いすぎた結果その部分が炎症を起こすというのがテニス肘です。肘の表、裏、どちらでも発症するようですが、 どちらかというと裏の部分が多いようです。
テニスをしなくてもフライパンを持つ主婦やコックさんなんかも症例は多いようです。 僕が感じた肘の違和感はまさに症例とピッタリでした。(/p>

また僕は最近、鍼にいっていますが先生がおっしゃるには腕の起点となる肩の肩甲骨の上あたりの 筋肉と指を下に曲げる前腕の手のひら側の屈筋がへこんでいるというのです。
急に筋肉がなくなるなんてことがあるのでしょうか?という問いに、使いすぎて硬くなって、 その後痩せるということはあるのだそうです。

あとは肩甲骨の裏あたりのコリ、そして前腕全体にかなり疲労からくるコリがあるようです。 僕が症状が一番ひどい時は、肘から下の前腕が重い感じでだるく、PCなどのキーボードを人差し指でパンチすると その後、人差し指がぶらっという感じで一瞬力が入らないような感触が起こりました。 これは指を曲げる前腕の屈筋が疲労して弾力性を失ったことと同時に伸ばす伸筋も 疲労していたことが考えられます。

●こころみたこと

それでは僕が五里霧中のなか、いろいろと試みたことを書いてみたいと思います。 原因が使いすぎからくる筋肉への影響ということのようなので、その方面から いろいろと試してみました。まず治療的にお願いしたことからです。

●マッサージ
やっぱり筋肉のコリはマッサージだろうということで、接骨院でしばらくマッサージを してもらいました。特に肩甲骨のあたりをマッサージしてもらいました。 効果はありましたが、少したつと戻ってしまうような気がしたので1ケ月半くらいで やめました。

●鍼
とある鍼灸院で先生ご自身がギターを演奏されていて僕と同じような「指の巻き込み」を経験された 方がいらっしゃいましたので現在はこちらで治療をお願いしています。 鍼は文字通り針を体に刺すので最初は少し怖かったのですが、ほとんど痛みはありませんでした。 鍼が筋肉の硬いところに到達したときの感触というのは独特のもので、馴れると気持ちいいものです。 終わって少しの間は逆に多少の疲労感みたいなものが腕に残りますが、しばらくするとほぐれているのを 実感します。僕は既に1週間に1度のペースで1ケ月半くらい通院していますが、かなり症状が改善されました。

それでは次に自分で普段からやっていることです。これは指の筋肉のリハビリ以外はマッサージや鍼の先生、それから 本などで調べたことで、自分のアイデアは1つもありません(笑)。

●ストレッチ
やっぱり筋肉が硬いのは伸ばすのが一番とのことで、お風呂上りなどにストレッチをしています。 まず前腕の筋肉のストレッチです。腕を後ろ45度くらいにもっていって、手のひらを親指を背中側にして 上に向けます(かなりねじれますよね)。そのまま肩の位置くらいまでぐーっとゆっくりあげていきます。 そして手のひらをぐりぐり回すと前腕全体の筋肉がかなり引っ張られる感じがします。 このストレッチは会社での合間やふっと思ったときにやっています。指の使いすぎの時には有効な気がします。
それから通販で「ストレッチポール」なるものを買いました。

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これはこのポールの上に背中を下にして乗って腕を上下したりすることによって筋肉をほぐすための道具です。 簡単なエクササイズで肩甲骨の裏などがほぐれるので肩こりにはかなり有効です。

●お灸
お灸というとなんかお年寄りがするものの感じがしていましたが、ばかにできません(^^)。 僕は「せんねん灸」を使用していますが、肩の部分、それから手の指をそれぞれを動かしながら、前腕を逆の手でいろいろな 部分を触って、動いている部分にお灸をしていっています。お灸は温熱によってその部分の血行を良くするようなので これも筋肉を柔らかくするための方法です。毎日していると前腕の重い感覚はなくなって かなり変わってきました。

●経過つづり

●2021年3月

前回から11年も経過しました(汗)。2005年に指の巻き込みを発症しました。かれこれ17年。同じような症状に苦しむ人のためにも時々現在地を記録していきたいと思ってます。
僕の巻き込みは右手の人差し指と親指。最初はドレミファソと弾いても巻き込んでものすごい力を入れずには打鍵できませんでした。ドミソなどの三和音も打鍵した瞬間に巻き込んで、 音も酷いし、次のポジションには移れません。

それでも妻に頼み込んで伴奏をしたりして本番を踏んだりしました。いつもこんな音じゃないのに、もっと弾けるのに、と心の中で悔し涙を流してました。だったらやめればいいのに、 と心の中の声はいいますが、発症するまでに既に25年も弾いてきて、素晴らしい体験も沢山してきたのでそう簡単にはいきません。
いろいろ試して5年くらい経ってから少しづつ弾ける幅が広がりました。
そして13年くらい経ってからぐんとよくなりスケールも割とではありますが弾けるようになりました。

ただ、なぜか中指で打鍵すると人差し指が中指に寄ってくるというのはなかなか取れません。寄ってくるのは巻き込みの軽い症状だと思うのですが、 それだと本当に力の抜けた和音を掴めないので、どうしても遠くに飛ばす音は出ないのです。
ここ最近、とある携帯鍵盤を買いました。ピアノを弾くとどうしても音に引きずられて、そのまま弾いてしまうので、音が鳴らない鍵盤で指の形だけ整えようと思ったからです。

注意しないといけないのは、こういう機械でやりすぎると指を痛めるということです。シューマンも独自の機械で指を痛めたと何かの本で読みました。
注意しながら、人差し指で打鍵する時に中指は動かず、なおかつ親指に力は入らない、逆に中指で打鍵した時は人差し指は寄ってこないように気をつけて、なおかつ親指に力が入らない状態を意識する。
これをやっていったら、効果てきめんです。中指がメロディをとってるときに、人差し指と親指はアルペジオというのはよくあるパターンですが、人差し指が独立して優しい音を出してくれました。 こんなことは17年目で初めてです。
ただこの症状は行ったり来たりしてゆっくり変わるものなので油断は禁物です。 あと、機械を使う時はやりすぎはくれぐれも禁物です。

現在地はこちらの演奏です。正直よくここまで来たと思います(涙)→アラベスク Op.18

●2010年3月

先日の3連休は初日にチェンバロの発表会、3日目は ピアノで本番でした。緊張からくる固さは当然ありますが、 巻き込んでどうしようもないということは1度もありませんでした。 人差し指は他の指にくらべ、力のなさを感じますが、 多少注意すれば、それほどきにならずに弾ききることができました。
長かったですが、ひとまず治ったという風に自分で思ってもよいのかなと 思っています(^^)。お灸をしたり、ストレッチ、運動と、 当然にケアはしていきますが、弾く曲はこわがらずに いろいろチャレンジしていこうと思っています。

●2009年11月

またまた久しぶりの更新です。

今回ひとつ気付いたことがあったので、 こちらに記しておこうかと思いました。 僕の故障は一番分かりやすい症状として 人差し指の巻き込みでしたが、 良くなっていく過程と考えてみると 小指の方から順番に、一つの指で打鍵しても 親指が連動して内側に曲がらない、これも 一つの巻き込みですが・・・、状態が 意識できるという過程だったような気がします。
親指がかぎ状になると、人差し指も強張って まがるという状態が多かったようなきがします。 良くなってくる過程では、まず小指で打鍵したときに 親指がフリーになる、その後薬指、中指で打鍵したときにも 親指がフリーの感触が実感できてきたような感じです。 そして、最近力を一番失ったように感じている人差し指も 親指をフリーにしながら動く感触が戻ってきました。 もしかしたら、これが最終コーナーになるような 気がしています。

ただ、以前のように弾けるようになったとしても この5年半は長すぎました。以前のように一緒に 合わせてくれる人も少なくなりましたし、 本番の機会も大分失ってしまいました・・・。 とはいえ、自分自身に自信をつけて、また 活動できる機会を増やすしかないですよね。 がんばらないと!

●2009年3月

半年振りの報告となりました。 人差し指はまだ多少力が弱いですが、 全体としてフォルテも大分だせるように なってきました。ほとんど治っているといって よいようですが、この「ほとんど」が「完全」といえるまでは 気が抜けません。
この半年で少しづつ新しいフォームで弾けるようになったのが 進歩です。 昨日本番で、ピアノトリオの小品とヴァイオリンとの小品を 弾いてきました。緊張による硬さはもちろんありましたが、 巻き込みによる、どうしようもない状態は一度も あらわれませんでした。これは本当に嬉しかったです。 自分の指を少し信じられるようになってきました(^^)。
今度の5月で丸5年。でも同じような症状の方にも 良くなる症例はあるので、絶望せずにがんばりましょうと 伝えたいです。

●2008年8月

また大分時間が空いてしまいました。 最近は、以前はどうしてもできなかった下降のスケールも、 巻き込まずにおりてこれることの方が 多くなっています。前はどうしても親指を かえそうとすると強張って人差し指が巻き込みました。 スケールができてくると弾ける曲が多くなるんですね(^^)。 今さら気づきました。
最近気をつけていることは、中指・薬指・小指を弾く時は 意識的に親指の力が抜けるように、そして人差し指・親指を 弾く時は、逆に中指・薬指・小指の力が抜けるようにしています。 そして弾いているときに下半身、特にお尻が緊張しないで やわらかく保てるように。 そうすると上半身や手全体がリラックスする感覚がよみがえって 良い状態をキープできるようです。
まだ強い音や速いパッセージは強張りがでてしまうことが 多いので、コンスタントに楽器に触って 耐久性をつけていければと思っています。
今月の終わりには、久しぶりにソロを人前で弾きます。 緊張すれば絶対強張りはでますが、少しづつこういう 機会も多くしていきたいところです。

●2008年1月

もうすぐ故障してから4年たちます。 随分たったな〜と思います。
ここ最近ぐっと良くなってきています。 スケールも以前は下降のときにどうしても 強張って巻き込んでいましたが、 それも随分治りました。
今度の5月にある本番ではちょっとソロも 弾いてみようと思っています。 曲はドビュッシーの「レントより遅く」。 これで巻き込みがなかったらいいな。

●2007年11月

経過報告です。最近はだいぶよくなって、スケールも 違和感なく弾ける場面がでてきました。
10月から、レッスンを受ける事にしたので、人前でチェックしてもらえる機会も でてきたことが大きいのかもしれません。 でもこうやってパソコンで文章を打っていると巻き込みは 完全には解消できてはいません。パソコンを普通に打てるのが 治るという1つの目安かもしれません。
身体的な部分の分析からと音楽的なアプローチからと 両方からの視点で治していくのがいいのでしょう(^^)。

●2007年8月

また久しぶりの更新になってしまいました。 昨日は小さい本番がありました。
最近は最初から最後まで巻き込み続けるのではなく、 ポイントポントで力の抜けた音で弾くことができるように なってきました。3,4,5指でバランスがとれるように なってきのが良いようです。人差し指を多用しなければ かなり良い状態です。しかし1曲の中で人差し指がどうしても キーとして使用しなくてはならない場面がありますので、 そういうところはやはり巻き込みます。
それでも表現できるようになってきているので 最近はピアノを弾くのが楽しくなってきました。

●2007年3月

随分空いてしましました。 12月にBGMや、2月に本番なんかがあったりして 完全には良くなっていない右手をなんとか操ってこなしてきました。 5月になるともう故障してから3年たちます。
最近は操作の不満で終始せずに、表現するというところを 練習することができてきました。完全に治ったわけではありませんが、 80%くらいは弾けるようになって来た感じです。
この3年間、いろんな方から励ましをいただきました。 このコーナーをご覧になった方からもいろいろご意見をいただきました。 その中には僕的には結構つらいご意見をいただいたこともあります。 僕自身がこういった巻き込みをして、すごく感じていることは、 演奏家のための医学というものがあまりすすんでいないことです。 スポーツ医学はいろんな研究がすすんでいます。 演奏も体を酷使するという部分では同じなのに、 故障すると、演奏の仕方が悪いとか、音楽の感じ方が悪いとか、 とかく精神面や、音楽的アプローチから入っているような 気がします。

最近一番思うのは、どんなに合理的な演奏方法やすばらしい音楽性を もっていたとしても同じ姿勢で同じ操作を反復していたら、 疲労からくる故障は避けられないのではないか、ということです。 スポーツの世界ではこのことは当たり前の感覚で、ストレッチや いろんな動きのトレーニングをとりいれていると思いますが、演奏では そういったことはあんまり考えられていないような気がします。 演奏する前や、後に、きっちり準備体操をしている方がどれくらいいるでしょう。

演奏を頑張ろうと思っている方は、毎日5,6時間弾きつづける事も よくあることかと思います。そして弾けないところは反復練習をし、 ひたすら弾きこむことは練習する上で当たり前のことです。 こういった練習をつづけるのは、自分のイメージに近づけたいという 音楽的な欲求からくることです。 その結果故障したからといって、音楽的なアプローチや弾き方がおかしいという ことは一概にはいえません。

故障した人が陥る危険性で一番怖いのは、ひたすら自分の演奏方法や音楽的な 感じ方がおかしかったのではないかと自分を責め続けることだと思います。 それらのことがおかしくなくても反復運動を続ければ、誰もが故障する危険性が あるということを認識することが好転の第一歩のような気がする今日この頃です。

●2006年10月

あいかわらず地道に鍼、お灸、リハビリなんかを 続けています。
10月は僕と同じような症状で、別のアプローチを されている方から貴重なお話を聞く事が出来ました。 主にリハビリ方法でしたが、早速実践してみると 随分効果があって、スケールとかも大分まともに 弾けるようになってきました。
その方のお話では やはりプロのピアニストでも同様な症状で 休業を余儀なくされている方がたくさんいるということで、 僕がしっている有名なピアニストの名前をいくつか 挙げてくれました。その方々も復帰していたりするので なんか希望が湧いてきます。とはいってもあせらないことです・・・。

●2006年8,9月

また少し間があいてしまいましたね。 便りがないのはなんとやら、で、すこしづつ 回復基調は続いています。
今回実感しているのは、指を第一関節から あげることができるようになってきたことに よって、こわばりが軽減したことです。 以前は第一関節があがらず、指先の第二、第三を のばすことによって離鍵していました。 その結果、余計な力をつかわないと次の打鍵をする準備ができず、 結果的にこわばりにつながっていた部分がありました。
最近特に中指を第一関節をつかって打鍵、離鍵を できるようになってきて、今までは絶対にできなかった 2,3指でのトリルができつつあります。
これは僕にとってはかなりの進歩なんです。

●2006年6,7月

少し間があいてしまいました。
最近かなり改善がみられることが あったので書いてみます。
以前ここでも書いたのですが、こわばりが 強い時の右手を観察してみると、下の最初の写真のように小指側に 手全体が傾いています。そこで 意識的に親指側に傾けて手の甲が 平らになるようなフォームにしてみました。
そうすると人差し指や中指がかなり自由に 動きます。しかし手の甲を鍵盤と平行にするためには、2つめの 写真の青い部分の筋肉をかなり使っているな、とうい 感触がありました。そこで、その部分の筋肉を 左の前腕と比較してみると、なんと全然 筋肉の量が違うのです!ちょっとビックリするぐらいでした。
なので、その部分の筋肉をすこしづつ意識的に使うような 弾き方と、1キロのダンベルをつかってエクササイズを したりお灸も重点的にするようにしました。 まだまだ左手とは随分違いますが、そこまでその筋肉に 緊張感がなくても手の甲が鍵盤と平行にするように できてきました。そのせいで指や手首のこわばりが随分どれてきたのです。 もちろんパッセージによってはどうしてもこわばりが でますが、できるパッセージも大分ひろがりました。 しばらくこの部分の筋肉を戻す努力をしようと思っています。

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●2006年5月

いよいよ故障してから2年が経過してしまいました。 いつになったら完全に治るのかと、嘆いていてもしょうが ないので今日も一歩一歩よかれと思うことを つづけていくだけです。
とはいえ、大分自由は利いてきました。 最近のこわばりの違和感を各指ごとに書いてみると、

○親指
他の指の下をくぐらせたり、親指を軸にポジション移動するときに 腕の重みを支えられないようで緊張が生じます。
○人差し指
打鍵するときに気をつけないと前腕に緊張が走ります。 ただ指そのものだけを動かそうということを、ゆっくり、弱くすれば こわばりがおきなくなってきました。この感覚がでてきたことは すごく自分の中では大きな進歩です。
○中指
調子がいいときは、なんの問題もなく単独で動きますが、 強い打鍵や、腕が全体的に疲労しているときは人差し指を 巻き込もうとしてしまいます。
○薬指
薬指は打鍵の時は大分良いのですが、離鍵の際は 、指を上にあげる筋肉を意識しないと手の甲が小指側に 傾いて結果的に次の動きにこわばりを生じます。 ただ指を上げる筋肉を意識的に感じれば 随分リラックスした状態がつくれるようになりました。
○小指
和音をつかむときは小指がしっかりしていないと こわばります。しっかり準備してから和音を ならせば立った状態の小指をつくれるのですが、 和音のパッセージがつづくと小指の準備が できずに依然としてこわばります。

ざっとこんな感じですが、それぞれの指が 課題がはっきりしているので、これらが クリアできていけば、また随分とよくなるかなって 思っている今日この頃です。

●2006年2,3,4月

しばらくこちらのコーナーを更新できませんでした・・。 さてさて、手の方はあいかわらずゆっくりとした ペースではありますが、良い方向へは向かっています。 ほんの少しですが、今までできなかったことが できてくると、その日1日がすごく楽しい気分になります。

今回は故障してから2年間で、自分にとって効果があったことを まとめてみたいと思います。

1、ストレッチ
これは予防という意味から、そして症状をすすめないために、 もっとも大切な気がしています。指や前腕のストレッチは もちろんですが、全体的にすることが予防につながるような 気がします。ストレッチをして体全体がリラックスすると 姿勢のバランスややわらかい筋肉を自覚するんですよね。

2、鍼&お灸
鍼を受けた経験からすると、筋肉が酷使されて故障した場合、 鍼やお灸は治療として効果があると思います。
使いすぎた筋肉が固くなって、その部分が使えないことによる 強張りは、固くなったところがやわらかくなって、 正常に作動してくれないと、根本的な解決にはなりません。
これはストレッチや使わないで自然にほっておく方法も ありますが、鍼やお灸でピンポイント的にやわらかく するという方法は効果があると思います。また、 鍼の専門家がさわると自覚症状のなかったところが おもわぬ緊張があったりして、指摘されたところを 自分で丹念にお灸をするということで、僕の場合は 随分症状が軽減されました。

3、低周波治療器
これは低周波のパルスを流して、マッサージと同じ効果 をねらったものです。金額も3000円くらいから あるので自宅で筋肉をほぐす方法としては かなり有効でした。僕の場合は通勤しながら毎日この 治療器を使っています。ただし、注意しなくては いけないのは、つよくかけすぎると逆効果だということです。 指が少し勝手に動くぐらいの刺激にしないと、逆に 腕がだるくなってしまうのです。

4、トラックボール
現代でパソコンを使わない人というのは ほんの一握りではないでしょうか。 僕の巻き込みは人差し指なので、マウスのクリックや ダブルクリックでどうしても酷使してしまいます。 いくら治療をしても、マウスでたくさんの 作業をした後は、きまって状態が悪くなりました。
かといって、仕事でパソコンを使わないわけにはいきません。 考えたあげく、トラックボールを導入しました。 トラックボールは、設定すればクリックを手の 根元のところですることができるので 人差し指を使う頻度が凄く減りました。 そしてキーボードも右手はシャーペンの後ろの 消しゴムの部分でたたくようにしました。
最初はスピードがおちましたが、おそらくピアノを 弾く人は手元の距離感を認識することに慣れているので、 すぐにはやく作業ができるようになりました。 そうやって使う頻度をさげていくと、徐々に 調子は上向いていった感じがします。

4、毎日、そしてすこしづつ
巻き込みの症状がでると、あまりにいままでの自分と かけ離れた演奏しかできないので、パニック状態に なります。これは多分僕だけではなく、こういった症状を 経験された人は全員そうではないでしょうか。 そして焦って、何時間も指のトレーニングをしたりして 逆に症状を悪化させるような気がします。
僕だけの経験かもしれませんが、巻き込みがでるということは 既に急性の状態ではなくて、慢性的な筋肉の強張りに なっているので、まずは弾く時間を少なくする必要が あるような気がします。ただ、まったく弾かないのが よいのか、というとそうでもないのではないでしょうか。
まったく1週間弾かないでピアノに向かうと、これも 違和感が大きくなってしまいました。逆に毎日 電子ピノですが、ゆっくり強張らない状態をつくる 努力を単音や簡単な和音で20分程度していると 長い期間はかかりますが、ゆっくり状態は上向きました。 なので、あせらず、そしてこつこつとした根気が必要な 気がします。

いろいろと書きましたが、僕自身が完治していないので、 これで大丈夫という事はないのですが、みなさんの 参考になればと思います。

●2006年1月

もうあと3ケ月もすると手がおかしくなってから 2年もたちます。でも焦っても逆効果なので 根気良くやっていこうと思います。

さて今回は薬指が改善されてきました。 以前は最初の写真のように薬指が まっすぐ打鍵できず横に倒れてしまうので うまく音が出来ず手全体が強張ってしまいましたが、 最近は場合によっては2枚目の写真のように まっすぐ打鍵できて、「抜けた音」がだせる パターンが出来てきました。これが どんなパッセージでもできると薬指は 大分使えて、強張りも少なくなります。 特に和音の時に力が抜けるので、やわらかい 和音がだせるようになりました。もっとも 広い和音ではやはりまだ上手くなりませんが・・。

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●2005年11、12月

12月は恒例になるつつある、ヴァイオリンと一緒のレストランでの クリスマスBGMをしてきました。昨年は 全然右手が動かなくて悔しい気持ちで一杯でした。 それに較べると今回は弾ける曲も多くなって 助かりました。前回の経過つづりにも書きましたが、 手の甲にある指を伸ばす筋肉に低周波をかけたり お灸をすえたりしているのが効果が出ているようで、 随分指先がしっかりしてきました。指先がしっかりすると 肩や腕の筋肉が弛緩するので以前の感覚が蘇ってきます。

最近自分の感覚を他人に説明する良い例を思いつきました(^^)。 それは階段をボーっとしながら降りていて、もう下まで着いたと 思い込んで、足を踏み出したらまだ1段残っていて、自分の想像していた ところに床がなかったことってありませんか??
その時って体が一瞬硬直したようにぎゅっとなっていると思います。 僕がピアノを弾いていて巻き込むのは指が腕の重さをささえられず 自分がイメージしているよりも手全体が沈み込んで次を弾ける状態に ならないため、無意識に緊張させているような感じがあります。
緊張をとけるように意識付けするのが先か、指先の力を 取り戻すことが大切(でも筋肉トレーニングは逆効果です)なのかは、 どっちも大切なような気がします。

●2005年10月

最近、また1つステップを上がった感じがあります。 しかしここで書いているステップというのは ほんのささいなことが多いので、 長い目でみると亀のような遅さで 回復しているペースです。
とはいえ少しでづつでもできることが 多くなっていくというのは精神的に楽なものです。

さて、今回は中指が少し良くなりました。 先日鍼の先生のところへ行った時に 下の写真の赤い部分の関節は弾いているどうなっているかと 聞かれました。そういえばあまり気にしていませんでしたが、 良く考えてみると、この関節はつぶれた状態、 つまり手の甲からみるとへこんだ状態でした。 以前はたしかにここはへこんでいませんでした。 ピアノを弾かれる方はよくおわかりだと 思いますが、この関節がしっかりしていないと ピアノは弾けません。指先で重みを支えられないので 前腕や肩に力が入ってしまいます。
早速鍼の先生にかくかくしかじかです、と 話をすると写真の青い部分に指先を 伸ばす筋肉があるので、ということで 鍼をしてくださいました。
家に帰ってからもこの部分を毎日お灸をしたり 低周波治療器をかけたりしながら、注意深く 打鍵しているとしばらくするとだいぶしっかりしてきました。 そうすると中指でバランスがとれるので、大分こわばりが 減ったのです!かなりうれしかったです。
後は薬指や小指がしっかりしてくればかなり弾けるように なるんではないか、と淡い期待を持っています。

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●2005年9月

9月は本番もないのでまさに リハビリメニューを日々やっていました。 本当にゆっくりながら昨年にくらべると 大分よくなっています。力が抜けた 感じがつくれるようになってきたのです。

さて、最近のリハビリメニューは 次の通りです。
まず毎朝出勤前に20分ほど電子ピアノで ゆっくり単音&スケールを右手でひきつらない 感覚を感じながら打鍵します。 左手は退化しないようにハノンをしています。
そして夜は最近導入した低周波治療器(写真)で 右手をマッサージ。これは低周波の電気を 流すものですが、腰痛や神経系の疾患で リハビリ用に長くつかわれているものだそうです。 筋肉が不随意に動くので、そこを動かすのに 他の筋肉を動かして余分な力が入るということ がありません。なのでマッサージ効果と 神経的な整理に効果がありそうです。 ただし強くやりすぎると疲労感がでて かえってマイナスなような気がしました。
そして低周波のあとのお灸です。 低周波の後にお灸をすると温熱効果が さらにUPするような気が(あくまで感覚的にですが) します。

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●2005年7&8月

7月、8月と本番が1つづつありました。 1つは40分くらいヴァイオリンと弾かなくては いけない本番だったので、どうなることやらと 思っていましたが、なんとかかんとか 終わったという感じです。もう1つは リリアホールというりっぱなところで 10分くらい弾くものだったのですが、 このときは巻き込みが激しくて、どうにも こうにもならないという辛い本番でした。
やっぱり緊張すると良くなってきたものも、 緊張からくる強張りでどうしてもそういった 感覚になってしまいます。なので本番のときに 起こった巻き込みはあまりくよくよ考えないように しています(^^)。
そういった意味では、練習のときは最近また 1歩前進したな、という感覚があります。 すこしづつ自由になるパターンが増えていくという 感覚があるので、この感覚を大切に増やして いきたいと思っています。

●2005年6月

経過的には水平飛行といった感じです。 でもゆっくりな曲で表現ができそうな ときもあるので、やっぱり少しは 良くなっているのかもしれません。 どうしてもうまくいかない動きを うらめしく感じてしまうので、 マイナス思考になってしまうのは よくないですよね。

最近こうした巻き込みになってしまった 原因やそこから復活するための方法を つらつら再度考えています。 僕の場合、やっぱり最初は使いすぎたことに よって筋肉が硬くなったことが 引き金になったような気がします。
楽器を弾く人はいい意味でも悪い意味でも 勤勉な人(自分でいうとおかしいですが・・)が 多いと思います。日々の中でまとまった時間を 練習に割き続けるというのは、かなりのエネルギーが 必要でしょう。そして上手く弾けないときは、 試行錯誤をしながら練習でそれを克服しようと すると思います。今回、僕も当初指の動きが悪いなと 思ったとき、当然練習で解決しようと思いました。 まさにそこに落とし穴があったのでしょう。
僕はピアニストの故障でこういった「巻き込み」というのが あるとは知りませんでした。なので練習不足が原因かと 思ってしまったのです。なのでダメージがある筋肉に さらに追い討ちのダメージを与えてしまい、 動かないために、無意識に上腕た肩の裏あたりの筋肉を強引に 使って打鍵しようとして、そこに緊張が起こるために 必要のない指までまがってしまうということに なったのだと思います。そしてさらに ピアノを弾こうとするとそういった上腕や肩の筋肉を 使うという神経回路がつながって強くなってしま っているような気がします。

それでは「巻き込み」からはどうやって脱却すればいいのでしょう。 もちろん試行錯誤の連続ですが、最近感じていることを書いてみます。 まず動かない指(僕の場合「薬指」でしたが)の屈筋、伸筋を 中心に肩から腕、背中の筋肉をひたすらやわらかくする努力を します。やらわかくする方法は僕の場合、鍼やお灸、ストレッチです。 普段サポーターを前腕につけて保温するのも良いようなきがします。 またPCをするときにマウスを使わないようにすることや 右手は指を使わないキー操作をしたりしてできるだけダメージを 蓄積しないようにしています。
やわらかくなってくると少しだけ動くことができるようになってきました。 今度は少しだけ弾きながらどうしても力が入ってしまうところを 自分の体を体感覚を駆使して探していっています。 ただ不必要な力が入るのは肝心なところに力がはいらないことが 原因の多くをしめていると思います。しかし逆説的ですが、 不必要な力が入ることによって、体の柔軟さを失って 肝心なところの血行も悪くし、結果的に故障の遠因にも なっていると思います。なので肝心なところの筋肉への 直接的な治療と遠因となっている強張りを さらに意識しながら取り除いていくという両面作戦が 完治と予防になると思っています。
と、まぁ今のところはこんな風に考えていますが、 まだまだ道のりは遠いのでまたいろいろと考えるような 気がします。まるで苦行ですね・・・。

●2005年5月

最近すこしづつ良くなっていることを 実感します。何がいいかというと和音を こわばりなく弾ける場合が増えてきたことなんです。
和音を弾くというのは腕の重みをいくつかの指で 支えるので、1つ1つの指にかかる負担は少ないです。 なのでまずはその状態で巻き込みを起こさないように できれば、その状態をイメージでしっかり つくって、単音でパッセージを弾いている時にも 最終的には巻き込みをおこさない状態がつくれるような 気がしてきました。

最近始めた試みはPCを使うときにマウスをやめて トラックボールにしたこと、マウスキーを 使うようにしたこと、そしてキーボードを打つときに右手は シャーペンの反対側(消しゴムのところ)を使って打ち込んでPCで右手の指を なるべく使わないようにしています。
そしてこの巻き込みの原因はおそらく屈筋の強張りと 伸筋の弱さに原因があるかと思われるので、 お灸やストレッチなんかで屈筋をゆるめるととともに 手をすぼめたり広げたりする運動をして伸筋を つけることをしています。とにかく固くない柔軟な 筋肉をつけることが一番の近道のような気がしています。

●2005年4月

とうとう右手の調子が悪くなってから1年が たちました。 いやいや長い1年でした。人差し指の巻き込みは 未だ解決してはいません。巻き込まないパターンも でてきてはいるのですが、完全に治るには まだまだです。
いつまでかかるのかな〜。

最近、ダンベルを使ってダンベル体操のようなものを しています。2キロのダンベルをそれぞれの手にもって 腕を横、前、斜めに上げたり下げたりする体操です。 年齢とともに基本的な筋肉が落ちてくるのも きっと故障の原因なので、なるべく維持できるようにとの 意図です。よく腰痛の予防に腹筋、背筋を 鍛えるといいっていいますよね。 そういったイメージです。

●2005年3月

状況はあまり2月とはかわっていません。 毎週鍼へ治療にいくことが続いています。 それなりに治療費がかかってしまうので、家計を圧迫してしまうのが 少し心配です。鍼は保険がきかないんですよね〜(汗)。 しかししょうがありません。
3月は本番がありました。指使いを動きやすいものに 工夫することにかなり頭を使いました。 普通に弾ける人からみたらビックリするような指使いなので、 なんとなく恥ずかしくて、 今回は譜めくりをしてもらわずに自分でめくりました。
それにしても調子が悪くなってからあと少しで1年たちます。 改善はされてきていますが、まだまだ自由に弾けるところまでは 時間がかかりそうです。でも焦ってもしょうがないので、 日々のストレッチやあたため、リハビリのための 筋肉トレーニング、お灸や鍼でなんとか治ることを 祈りながらがんばります。

●2005年2月

引き続いて鍼へ1週間に1度のペースで通っています。
最近少し嬉しいことがありました。
それは右手の中指と薬指が鍵盤にたいして 垂直にたつことができる場合(時々ですが(汗))が できたことです。調子の悪いときは手の甲を完全に上にすると 前腕の肘から少ししたの伸筋もしくは回内するための筋肉 のところに緊張がはしってしまうせいか、 少し手の甲が小指側に傾いてしまいます。そのため 中指と薬指が真ん中で打鍵できず、そして真ん中でできないことから さらに手首に緊張が生じるという悪循環がありました。
しかし中指、薬指が指の真ん中で打鍵できて鍵盤と垂直にたてると 手首の緊張はかなり軽減されて自由な手が戻ってきます。
前腕は二本の骨があって、手のひらを上にしているときは この二本の骨が並行に並んでいてリラックスします。しかし 手の甲を上にするとこの二本の骨は交叉した状態になっているので、 もしかしたら僕の場合は手の甲を上にするための筋肉がまだまだ正常では ないのかもしれません。しかし手の甲を上にした状態でバランスのとれた リラックスした状態が戻せれば中指と薬指が正常に動いてくれそうだと 分かっただけでもかなりの前進です。

●2005年1月

鍼へ毎週1回通っています。人差し指の巻き込みは随分緩和されて、 ゆっくりゆっくり弾くと違和感なく弾けるところまで回復しました。
ただポジション移動していくときに親指の力が入って巻き込みを起こしてしまう症状は あまり改善されていません。
あ〜まだまだ道のり遠しです。でも3月にまた本番があるんだよな〜。どうしましょう・・・。

●2004年12月

鍼へは週1度通うことにしました。
先生が仰るには肩甲骨の辺りの腕を支える筋肉と前腕の指の屈筋が落ちているということで、 鍼と並行して、そこにお灸を自分でするようにとの指示がありました。 そこでせんねん灸を買って、毎日することにしました。 するとかなり劇的に症状は緩和されました。それまではパソコンをうつにしても 指が変な方向へ曲がってしまうので、イメージしたキーが打鍵できなかったのですが、 そういったことはなくなっていきました。
ただ、分散和音などでポジション移動しなくては いけないときに力が入ってしまうなど、演奏するためにはまだまだ遠い道のりです。 でも少しよい方向へ向かっているなというのはとても嬉しかったです。

●2004年11月

指の巻き込みと強張りはすこしづつではありますが、良くなってきていました。 ただピアノを表現するところまではまったくもってうまくいきません。 そんなときインターネットで自分に似た症状についていろいろ探していたら、 鍼の先生でご自分も巻き込みという障害を体験した方がUPしているHPを発見しました。
東京で開業しているので通えそうです。鍼は結構値段が張るのですが、 このままピアノが弾けないよりは少しでも良くなってくれればという、藁をもすがる気持ちで 通うことにしました。ここの鍼治療院は演奏する方がかなり通院してくるらしく、 僕が症状を訴えるとよく分かるようでした。そして「時間がかかるかもしれないが、あきらめず、そして あせらないように」とのアドバイスをいただきました。

●2004年10月

しばらく本番がないのでピアノは少しにして、 筋肉の強張りをとろうと、接骨院にマッサージにいくことにしました。
一度行くと400円というリーズナブルな値段だったので がんばって週に3回くらいいきました。人差し指巻き込みの 症状は少し改善されたものの、期待していたほどの変化がみられなかったので 11月にはいったくらいで止めました。

●2004年9月

先生が筋肉の強張りは歯の咬み合わせではないかということで、 広島の専門の先生を紹介してもらって受診してきました。 歯と腕の因果関係は分かりませんでしたが、 もう少し近かったら通院したいところでした。
この時、生まれて初めて鍼というものを体験しました。 なんか温泉に入ったような脱力感が終わった後にありました。 この時は一泊でしたが、夜に先生と先生の友人の方とゆっくり話す機会が あって、絶対にあきらめるなっていう励ましをいただきました。
なんかうれしかったです。

●2004年8月

8月の最初に本番がありました。アマチュアサックス奏者たちの 発表会にヴァイオリンとピアノで演奏させていただきました。 うまくいかないことは分かっていましたが、毎年この機会でしか 会えない方々がいるので打ち上げを楽しむためにもやっぱり演奏しなくては・・・、 と思って強行突破したものです。
本番中はずっと親指と人差し指が曲がった状態でした。 人差し指は曲がりすぎて手のひら側で打鍵したりしていました。普通だったらそんなアクロバティックな 奏法はできないですよね(笑)。

●2004年7月

6月の本番のあと、やっぱりしばらく弾くのはやめようと思い休みました。 しかし8月のはじめにまた本番があったのでレッスンにいきました。
このときの曲はヴァイオリンとの曲でクライスラーの「中国の太鼓」、 グルックの「メロディー」でした。両方とも和音が主体の曲ですが、 僕の人差し指の巻き込みと手首にものすごく筋肉の緊張がみられることに 先生がびっくりして、いろいろと相談にのってもらいました。
そして8月の本番は影響を最小限に抑えたかたちで音を抜かして 負担を軽くして弾くことになりました。

●2004年6月

6月には本番がありました。5月に違和感がでて本当はキャンセルをしたかったのですが、 日時がきまっていたのでしょうがありませんでした。演奏する場所の近くには温泉が あったので温泉に入ってひたすらマッサージをしたら、その直後はかなり柔らかくて手が使えるようになりました。 しかしそれは一瞬だけのことで、結局本番は苦しいものになりました。
このころは人差し指の巻き込みがどんなにゆっくり弾いても起こっていました。

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