2006年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『天使の鬱屈』(アンドリュー・テイラー)
(2)『再起』(ディック・フランシス)
(3)『蜘蛛の巣』(ピーター・トレメイン)
(4)『チベットの薔薇』(ライオネル・デヴィッドスン)
(5)『自分を殺した男』(ジュリアン・シモンズ)

本年の特徴
今年も論創社が数多くの英国ミステリーを出版し、聞いたことのなかった長崎出版が海外ミステリーの翻訳出版に参入し(さらには扶桑社ミステリーでも英国ミステリーが増え)、出版点数は昨年より若干増えている。トップに推した『天使の鬱屈』は、個人的な思い入れの強い作品。というのもA・テイラーは1982年に『あぶない暗号』でCWA最優秀新人賞を受賞し、そのときから注目していたのに以後は鳴かず飛ばす状態であった。それが二年前に『天使の遊戯』を出して復活し(?)、本年はその”天使シリーズ”三部作が完結したので、つい嬉しくなったという次第。二位の『再起』も、これほどの出来とは予想していなかったので、思わず高評価にしてしまった。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『屍衣の流行』 マージェリー・アリンガム 小林晋 国書刊行会 ★★★
『切り裂かれたミンクコート事件』 ジェイムズ・アンダースン 山本俊子 扶桑社 ★★★
『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ 土屋政雄 早川書房 ★★★
『証拠は語る』 マイケル・イネス 今井直子 長崎出版 ★★★★
『アララテのアプルビイ』 マイクル・イネス 今本渉 国書刊行会 ★★★
『同窓会にて死す』 クリフォード・ウィッティング 水野恵 論創社 ★★★★
『南海のトレジャーハント』 パトリック・ウッドロウ 熊谷千寿 早川書房 ★★★★
『レディ・モリーの事件簿』 バロネス・オルツィ 鬼頭玲子 論創社 ★★
『ヴードゥーの悪魔』 ジョン・ディクスン・カー 村上和久 原書房 ★★
『幻を追う男』 ジョン・ディクスン・カー 森英俊 論創社 ★★
『つきまとう死』 アントニー・ギルバート 佐竹寿美子 論創社 ★★
『愚者は怖れず』 マイケル・ギルバート 横井敬子 論創社 ★★★
『トフ氏に敬礼』 ジョン・クリーシー 佐々木愛 論創社 ★★
『シャドウ・ゲーム』 ジョン・クリード 鎌田三平 新潮社 ★★★
『スリープ村の殺人者』 ミルワード・ケネディ 大沢晶 新樹社 ★★
『憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』 エドワード・ゴーリー 柴田元幸他 河出書房新社 ★★★★
『最期の喝采』 ロバート・ゴダード 加地美知子 講談社 ★★★
『レイヤー・ケーキ』 J・J・コノリー 佐藤耕士 角川書店 ★★★
『剥がされた皮膚』 クリス・シムズ 延原泰子 小学館 ★★★
『自分を殺した男』 ジュリアン・シモンズ 伊藤星江 論創社 ★★★★
『世界同時中継!朝まで生テロリスト?』 ボリス・ジョンソン 高月園子 扶桑社 ★★★
『No.1レディーズ探偵社、引っ越しす』 アレグザンダー・マコール・スミス 小林浩子 ソニー・マガジンズ  
『六つの奇妙なもの』 クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ 水野恵 論創社 ★★★
『元気なぼくらの元気なおもちゃ』 ウィル・セルフ 安原和見 河出書房新社 ★★★
『ベイビー・ラブ』 デニーズ・ダンクス 松本依子 早川書房 ★★
『マンアライヴ』 G・K・チェスタトン つずみ綾 論創社 ★★
『警鐘』 リー・チャイルド 小林宏明 講談社 ★★★
『列のなかの男』 ジョセフィン・テイ 中島なすか 論創社 ★★★
『亡者を哀れむ詩』 リンゼイ・デイヴィス 田代泰子 光文社 ★★★
『密偵ファルコ 疑惑の王宮建設』 リンゼイ・デイヴィス 矢沢聖子 光文社 ★★★
『封印の島』 ピーター・ディキンソン 井伊順彦 論創社 ★★★
『天使の鬱屈』 アンドリュー・テイラー 越前敏弥 講談社 ★★★★
『チベットの薔薇』 ライオネル・デヴィッドスン 小田川佳子 扶桑社 ★★★★
『白薔薇と鎖』 ポール・ドハティ 和爾桃子 早川書房 ★★★
『毒杯の囀り』 ポール・ドハティー 古賀弥生 東京創元社 ★★★
『蜘蛛の巣』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 東京創元社 ★★★★
『シティ・オブ・タイニー・ライツ』 パトリック・ニート 東野さやか 早川書房 ★★★★
『血と肉を分けた者』 ジョン・ハーヴェイ 日暮雅通 講談社 ★★★
『楽園への疾走』 J・G・バラード 増田まもる 東京創元社 ★★
『ロシア軍 殺戮指令』 ジェイムズ・バリントン 鎌田三平 二見書房 ★★
『善意の殺人』 リチャード・ハル 森英俊 原書房 ★★
『死者の季節』 デヴィット・ヒューソン 山本やよい ランダムハウス講談社 ★★
『真夜中への挨拶』 レジナルド・ヒル 松下祥子 早川書房 ★★★★
『白昼の闇』 クリストファー・ファウラー 高橋恭美子・豊田成子・山田久美子 東京創元社 ★★★
『停まった足音』 アーサー・フィールディング 岩佐薫子 論創社 ★★
『死と踊る乙女』 スティーヴン・ブース 宮脇裕子 東京創元社 ★★★★
『ひよこはなぜ道を渡る』 エリザベス・フェラーズ 中村有希 東京創元社 ★★★
『失われた時間』 クリストファー・ブッシュ 青柳伸子 論創社 ★★★
『闇に葬れ』 ジョン・ブラックバーン 立樹真理子 論創社 ★★★
『再起』 ディック・フランシス 北野寿美枝 早川書房 ★★★★
『証拠は眠る』 R・オースティン・フリーマン 武藤崇恵 原書房 ★★★
『知りすぎた女』 ブライアン・フリーマントル 松本剛史 新潮社 ★★
『ホームズ二世のロシア秘録』 ブライアン・フリーマントル 日暮雅通 新潮社 ★★
『溺愛』 シーリア・フレムリン 上杉真理 論創社 ★★★
『鼻のある男 イギリス女流作家怪奇小説選』 ローダ・ブロートン他 梅田正彦 鳥影社 ★★★
『フォーチュン氏を呼べ』 H・C・ベイリー 文月なな 論創社 ★★
『魔王の足跡』 ノーマン・ベロウ 武藤崇恵 国書刊行会 ★★★
『紳士同盟』 ジョン・ボーランド 松下祥子 早川書房 ★★
『シリアル・キラーズ・クラブ』 ジェフ・ポヴェイ 佐藤絵里 柏艪舎 ★★
『クリスマスに死体がふたつ』 ジェイニー・ボライソー 山田順子 東京創元社 ★★★
『殺しの仮面』 ヴァル・マクダーミド 宮内もと子 集英社 ★★★★
『花崗岩の街』 スチュアート・マクブライド 北野寿美枝 早川書房 ★★★
『ラビリンス』 ケイト・モス 森嶋マリ ソフトバンククリエイティブ ★★★
『暁への疾走』 ロブ・ライアン 鈴木恵 文藝春秋 ★★★
『抹殺部隊インクレメント』 クリス・ライアン 伏見威蕃 早川書房 ★★★★
『逃亡のSAS特務員』 クリス・ライアン 伏見威蕃 早川書房 ★★★
『血まみれの鷲』 クレイグ・ラッセル 北野寿美枝 早川書房 ★★★
『影と陰』 イアン・ランキン 延原泰子 早川書房 ★★★
『カッティングルース』 マイクル・Z・リューイン 田口俊樹 理論社 ★★★
『眼を開く』 マイクル・Z・リューイン 石田善彦 早川書房 ★★★
『エミリーの不在』上下 ピーター・ロビンスン 野の水生 講談社  
『風雲のバルト海、要塞島攻略』上下 パトリック・オブライアン 高沢次郎 早川書房  
『封鎖艦、イオニア海へ』上下 パトリック・オブライアン 高山祥子 早川書房  
『若き獅子の凱歌』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房  
『新任海尉、出港せよ』 ジュリアン・ストックウィン 大森洋子 早川書房  

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