1957年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『世界短編傑作集一、二』(江戸川乱歩編)
(2)『あなたに似た人』(ロアルド・ダール)
(3)『ナイルに死す』(アガサ・クリスティー)
(4)『飛ばなかった男』(マーゴット・ベネット)
(5)『満潮に乗って』(アガサ・クリスティー)

本年の特徴
翻訳ミステリーは出版ラッシュになっている。クリスティー作品だけで12冊も出ているし、クロフツも4冊、カーもディクソン名義を含めると6冊も出ている(合計66冊)。ベスト1 2は短編集が占めた。乱歩編による『世界短編傑作集』は正統的な傑作ミステリー短編集で、これは必読もの。乱歩の好みというより、欧米でのベストテン結果を重視しているので、オーソドックスな短編が選択されている。
もう一つの特徴は、東京創元社より現在推理小説全集が出たことか。傑作『二人の妻を持つ男』(P・クェンティン)は米作家の作品として外したが、『飛ばなかった男』や『第二の男』といった佳作も紹介された。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『水車場の秘密』 マージョリー・アリンガム 村崎敏郎 宝石社 ★★★
『手をやく捜査網』 マージョリー・アリンガム 鈴木幸夫 六興出版部 ★★
『裏切りへの道』 エリック・アンブラー 村崎敏郎 早川書房 ★★★★
『ハムレット復讐せよ』 マイケル・イネス 成田成寿 早川書房 ★★★
『世界短編傑作集一』 江戸川乱歩編   東京創元社 ★★★★★
『世界短編傑作集二』 江戸川乱歩編   東京創元社 ★★★★★
『怪奇小説傑作集1』 江戸川乱歩編 平井呈一 東京創元社 ★★★
『憑かれた死』 J・B・オサリヴァン 田中小実昌 早川書房 ★★
『バトラー弁護に立つ』 J・D・カー 橋本福夫 早川書房 ★★
『アラビアン・ナイト殺人事件』 J・D・カー 森郁夫 早川書房 ★★★
『髑髏城』 J・D・カー 宇野利泰 東京創元社
『ヒルダよ眠れ』 アンドリュウ・ガーヴ 福島正実 早川書房 ★★★★
『道の果て』 アンドリュウ・ガーヴ 北村太郎 早川書房 ★★★
『第ニの男』 エドワード・グリアスン 福田恆存・中村保男 東京創元社 ★★★★
『五匹の子豚』 アガサ・クリスティー 桑原千恵子 早川書房 ★★★★
『メソポタミアの殺人』 アガサ・クリスティー 高橋豊 早川書房 ★★★★
『もの言えぬ証人』 アガサ・クリスティー 加島祥造 早川書房 ★★★
『NかMか』 アガサ・クリスティー 赤嶺弥生 早川書房 ★★
『ねじれた家』 アガサ・クリスティー 田村隆一 早川書房 ★★★★
『ポアロのクリスマス』 アガサ・クリスティー 村上啓夫 早川書房 ★★★★
『死との約束』 アガサ・クリスティー 高橋豊 早川書房 ★★★
『杉の柩』 アガサ・クリスティー 恩地三保子 早川書房 ★★★
『ひらいたトランプ』 アガサ・クリスティー 加島祥造 早川書房 ★★★★
『ナイルに死す』 アガサ・クリスティー 脇矢徹 早川書房 ★★★★★
『殺人は容易だ』 アガサ・クリスティー 高橋豊 早川書房 ★★★
『満潮に乗って』 アガサ・クリスティー 恩地三保子 早川書房 ★★★★
『金蝿』 エドマンド・クリスピン 加納秀夫 早川書房 ★★★
『恐怖からの逃走』 A・J・クローニン 竹内道之助 三笠書房 ★★★
『フレンチ警部最大の事件』 F・W・クロフツ 長谷川修二 東京創元社 ★★★
『列車の死』 F・W・クロフツ 能島武文 早川書房 ★★★
『ヴォスパー号の喪失』 F・W・クロフツ 鈴木幸夫 早川書房 ★★★★
『製材所の秘密』 F・W・クロフツ 妹尾韶夫 六興出版部 ★★★
『謎の凶器』 G・D・H・&M・コール 長沼弘毅 六興出版部 ★★
『復讐〔ヴェンデェタ〕』 マリー・コレリ 平井呈一 東京創元社 ★★
『盗まれた秘宝』 シーマアク 伊藤えい太郎 芸術社
『人魚とビスケット』 J・M・スコット 田中西二郎 東京創元社 ★★★★
『死体を探せ』 D・L・セイヤーズ 宇野利泰 現代文芸社 ★★★★
『多すぎる証人』 D・L・セイヤーズ 小山内徹 六興出版部 ★★★
『あなたに似た人』 ロアルド・ダール 田村隆一 早川書房 ★★★★★
『殺人狂想曲』 J・H・チェイス 田中小実昌 早川書房 ★★★
『女は魔物』 ピーター・チェイニイ 田中小実昌 早川書房 ★★★
『詩人と狂人達』 G・K・チェスタートン 福田恆存 東京創元社 ★★★
『ブラウン神父の秘密』 G・K・チェスタートン 村崎敏郎 早川書房  
『ブラウン神父の醜聞』 G・K・チェスタートン 村崎敏郎 早川書房  
『時計の中の骸骨』 カーター・ディクスン 小倉多加志 早川書房 ★★★
『五つの箱の死』 カーター・ディクスン 西田政治 早川書房 ★★★
『別れた妻たち』 カーター・ディクスン 小倉多加志 早川書房 ★★
『犠牲』 ダフネ・デュ・モーリア 大久保康雄 三笠書房 ★★★★
『ドイル傑作集ミステリー編』 コナン・ドイル 延原謙 新潮社 ★★★
『女王の復活』 H・R・ハガード 大久保康雄 東京創元社 ★★
『伯母殺人事件』 リチャード・ハル 大久保康雄 東京創元社 ★★★
『ソナー感度あり』 C・S・フォレスター 吉田俊雄 出版協同社 ★★★
『誇りと情熱』 C・S・フォレスター 土井俊次郎 早川書房 ★★
『ソーンダイク博士』 R・A・フリーマン 妹尾韶夫 東京創元社 ★★★
『ダーブレイの秘密』 リチャード・フリーマン 中桐雅夫 早川書房 ★★
『死の扉』 レオ・ブルース 清水俊二 東京創元社 ★★
『証拠の問題』 ニコラス・ブレイク 小山内徹 現代文芸社 ★★★
『死ぬのは奴らだ』 イアン・フレミング 井上一夫 早川書房 ★★★
『この街のどこかで』 モーリス・プロクター 森郁夫 早川書房 ★★★
『飛ばなかった男』 マーゴット・ベネット 宇野利泰 東京創元社 ★★★★
『ロンドン港の殺人』 ジョゼフィン・ベル 中川龍一 早川書房 ★★
『殺人鬼登場』 ナイオ・マーシュ 大久保康雄 六興出版部 ★★★
『ヴァルカン劇場の夜』 ナイオ・マーシュ 村崎敏郎 早川書房 ★★
『病院殺人事件』 ナイオ・マーシュ 妹尾韶夫 宝石社 ★★★
『ライノクス殺人事件』 フィリップ・マクドナルド 長谷川修二 六興出版部 ★★★
『ピーター候補生』 フレデリック・マリアット 伊藤俊男 東京創元社 ★★
『ここにも不幸なものがいる』 エドガー・ラストガーテン 村崎敏郎 早川書房 ★★★★
『ウィーンの殺人』 E・C・R・ロラック 中村能三 東京創元社 ★★

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