2001・秋 鹿児島・田村合名会社・薩摩酒造明治蔵

お世話になっている谷中伊勢五本店・篠田さんに紹介して頂き鹿児島へ。。。
1泊3日の強行で出発。
薩摩の薫・純黒等でお馴染みの田村(合名)の代表・桑鶴ミヨ子さん
芋焼酎トップメーカー薩摩酒造の伝統的な蔵、明治蔵の副工場長・中島雅毅さん
にお会いし、見学出来るとなって、かなりの興奮度!!!
営業マン以来となる車の運転(約7年ぶり・危険です)もドキドキでしたが、鹿児島空港
に午前中に到着。連れの早0久0子こと93ちゃんは気軽なもんでウキウキ・・・。
早速空港前のレンタカーへ!
必要以上に車をチェックし(大げさな)ナビを点け、いざ出発。。。
慣れる前に早くも高速・・・。ご丁寧に左斜線、道路標識通りのスピードでノンビリと。

少し余裕が出てきた頃、左手に圧倒的迫力の桜島が・・・これでも全国津々浦々旅している男ですが、
桜島は何ともいえぬ存在感と歓迎してくれているかの様な仕草がたまらなかった
(吉之助どんも一蔵どんも半次郎どんも見て育ったんだろうなあ)。地元の人達に愛されてるのが少しだけわかったような
気がする(火山灰は大変だと思うけど、それが恵みとなり芋となる・・・勝手な解釈)。

海岸線をひたすら走り、目指すは揖宿山川町!!!
道路状況が良かったのか思ったより早く着く。早く着いた分・・・緊張感が・・・。
山川駅で北川総務課長とご対面。“ありゃ!気難しい人なんかなっ”と余計に緊張が走る。
そして車も走りすぐ停車。駅から目の前!?港に面してちょいと入ったとこに・・・
憧れの田村合名・薩摩の薫の看板が!!!!!
本当に海の目の前で台風の時の心配をしてしまった。。。
車を降り、事務所の席に座り水を出され、代表の桑鶴ミヨ子さんを待つ。。。
喉が渇く・・・目の前に水・・・コクリと飲む・・・軟らかい柔らかい!!!
“水道水やけど美味かろっ”お母さんが入ってきた(ミヨ子さんの事です)。
“この本にも私、写真出てんよ!”緊張が和らいだ。可愛らしく物腰の柔らかい(水と一緒)人だ。
北川さんも同席し早速、いつもの旨い焼酎を試飲させてもらう。
薩摩の薫(白麹)純黒(黒麹)鷲尾(黄麹)を次々と飲む・・・まいった!!!!!東京で飲んでも旨いものだったが、
う・旨い。この優しさ、もちろん三者三様の味わいだが、優しさの上に、
香り高くなるか・コクが出るか・キレが出るかといった感じだった。
その余韻の中、蔵の中を案内してもらう。
すぐ目に付いたのが写真では見ていたが、甕壺が半分地面から出ているこの辺りは温泉も出る温かい土地の為、
他の蔵より浅めに埋めているとの事。
モロミを嗅いだ。
良くバナナ香というが、それ以上に複雑かつ、唾液が出る様な(失礼)
澄んだ甘みが鼻腔に広がる。
良く耳をすますと・・・ふつふつと奏でる音・・・初めて見た聞いたからもあるかもしれないが・・・何だか感動。。
“酒は生きてる”
その後、蔵の生い立ち・黒麹使用についての苦労話など聞きながら、お母さんの運転でご飯を食べに行く。
流し素麺との事。どこから入るのか解らない・・・。森の中のエレベーターで降りる。
涼しい。。。水の音・鳥の声・風の詩。心地良い。素麺を啜り、ちょいとビールを飲み、
今における焼酎業界の貴重な話を北川さんから
色々と伺い、少し身が締まる思いがした。
お母さんは終始笑顔で、こちらも自然に話が進む。93ちゃんも笑顔だ。所々鹿児島弁が出て戸惑いも!?あったが(笑)。。北川さんも駅で会った時、少しビビリましたが、親父と話している様な錯覚に陥りながら内容の濃い時間を過ごせました!!!お母さんの軽快なトークと運転!?に揺られ、鰻湖へ・・・。恐ろしくデカク太い鰻に、ご対面!
食事後だけに、コリャ食えんと思うのが先だった。
しかし海・山・湖と少し車を走らせただけで、この自然環境は、どうだ!!!東京者には何ともかんとも贅沢に感じた。
行きに通ったはずだが!?(まだ少し緊張していたのだろう)さつま芋畑の向こうに開聞岳が見えて来た。
薩摩富士と言われるこの山。本当に富士山に似ている。こちらの富士は、

鹿児島の地に足が付いているかの様に、雄大さの中に何故か農民の顔が出てくる。。。
さつま芋畑が続いているせいだろうか・・・。皆の山なのだろう。
砂風呂に向かう。しかし混雑していたので、ここはサッと切りあげた。
その分、いつか入りたいと思ったのは間違いない!!特に93ちゃんは!?
再び蔵へ戻る。すると裏庭へ案内され、裏で育てている薩摩芋(紫芋など多数)を“好きに持ってき”と・・・。
土弄りするのはいつ以来だろう?

持ちきれない程のさつま芋と焼酎をお土産に貰い、皆で写真を撮り、失礼する事に。。。
お母さんは今日集まりがあり多忙だと後から聞いた。そんな中、本当に・・・。

人に惚れ・酒に惚れた素晴らしい日でした。


  蔵の前にて・・・     開聞岳と男の背中            
               (共演・北川さん)

   おかあさんと一緒・・・   隠れ鉄道マニアです

P.S.その日、93ちゃんがお母さんの車に、上着を忘れたのだが・・・。後日、薩摩芋と共に東京へ送られてきた!!!薩摩芋はスウィートポテトにして皆に振舞った。。。またまた感謝。。。


次の日。前日の興奮冷め止まぬまま・・・ご機嫌ちゃんで飲んだ酒も醒めぬまま・・!?
早々とホテルをチェックアウトし、枕崎市にある薩摩酒造“明治蔵”に向かう。
昨日とは違い、山の中を抜けてく様なクネクネ道を走る。(山・田・畑・川)和む。
連れは爆睡中(おいおい)。。。しばらく走ると町並みが・・・。そして海が見え始めた。
“我は海の子白波の〜〜”もう一丁“わーれは、うーみのこ、しーらな・・・”明治蔵への標識!曲がると白波の文字が!!!中庭で副工場長の中島さんが迎えてくれてた。とても目が優しい人に思えた。。。早速、蔵の中へ・・・。
外観は新しいが内部は、ほぼ昔のままだそう。
観光客用に開放している為、順路があり、古い道具や壁に芋焼酎の造り方の説明など解りやすく展示してある。
やや薄暗い中にかめ壷がドーンと幾つも埋っていた。少しばかり不揃いに。
昔からというのが見た目にもわかる良い意味での不揃いさだ(愛嬌にも見える)。
明治蔵のかめ壺は100年以上使っているとの事。お母さんの蔵もそうだが、長い間使い続ける道具・かめ壺。
全てにおいて大事にしてれば、自ずと・・・それだけで旨い酒が出来るのも納得。もちろんそれだけではないと思ううけど。。耳を傾けると沸々と鼻を寄せれば甘いバナナ香(お母さんの所より少し刺激が強く感じた)
“酒は生きてる”
木桶蒸溜器が見える。“うわぁー”って感じで目の前へ!!!
大分使われているのが見てわかる。後、2・3年位しかもたないそうだ。

木桶は高価な上、傷みが早いそうだ。直す方も造る方の職人さんも殆ど居ないらしい。。。
しかし木桶で蒸溜すると、柔らく味わい深い感じなると・・・“こだわりたいと”。

それが今後最大の課題と中島さんは語っていた。
他の蔵にも木桶を使った焼酎があるが、これだけの資本力を持っている薩摩酒造で大変なのでは・・・
木桶は焼酎蔵全体の課題の一つなのだろう。。。
かめ壺仕込みの原酒を頂く・・・ズーんと心地よい重厚感。旨いなあ。この後、仕込みの工程は一緒で6種類の芋を別々で仕込んだ酒を飲む。
微妙に、大胆に味が違う・・・これは楽しい!!!各芋の特徴が舌と喉と胃で感じられる。
“明治の正中”の酸味・江戸時代製法の蕃薯考などの歴史を味わい、ご満悦。。。

“表に出ましょう”と中島さんに言われ案内された場所は・・・ビアハウス!?何故!?
さつま芋ビールだ!!!(厳密には発泡酒)こちらも芋の原料による違いを出している。
日本人に馴染みのあるピルスナ−タイプ(中身は黄金千貫)は飲み口がとても良かったが
個人的には黒ビールタイプの香ばしさ苦味が正直、“芋なの”っと?美味しい!!!
ビールを飲みながらの焼酎談義(笑)。白波における現状のポジション・その中での今後の方向性・また伝統の技を生かし
、手造りによる焼酎造りの意気込み。熱く優しく、こちらの質問に答えてくださった。

途中に出された、“ち0こ”と言う(本当です。)ツマミには笑ったが。。。
93ちゃんは、酒のせいかそいつのせいか赤くなっていた。。。

真面目なトップメーカーも小さいお蔵も、やり方・売り方・造り方・その他もろもろあるが
“旨いものを造る姿勢”は変わらない。

    空は青       この木桶の存在感・・        ゴクッ・・

  
    蔵の前にて・・・        おいしくな〜れ・おいしくな〜れ


中島さんに会って話して、それを自分の中で確認出来たことが、最大の収穫だったかもと思いつつ、
明治蔵を後にすることに。。。
さあて、今宵は“ロク・ヨンで飲ろう”


酔いをさまし???一路、杜氏の里笠沙に向かう。
もの凄く、着くか不安になる程、くねくねクネクネ道を走る。
途中に林の隙間から見える、海の絶景がその不安をかき消してくれるが、ちょぴり不安。。
牧場の様な風景が見えた。ここが“焼酎造り伝承展示館・杜氏の里笠沙”だ。
丘陵地。。。都会者の自分には、良い景色に感じるが、厳しい自然環境なのだろうとも思う。
ここは多数の焼酎杜氏を輩出していた地域の為、杜氏の里といわれている。
黒瀬杜氏(笠沙杜氏)と呼ばれ、ただの展示場でなく現在も、伝統的な技法の焼酎の造りを紹介し、
4種類の芋焼酎を生産している。
黄麹で造る、限定の“一どん”他“笠沙恵比寿”・“薩摩すんくじら”・“黒瀬杜氏”などガラス越しに見える木桶蒸溜器は、動いてはいなかったが木の薫りがしてきそうな程、美しい蒸溜器だった。
館内の浪人形による説明も、中々楽しめるものだった。
遠くまで来たが、焼酎造りの職人達が過ごした、土地の空気を味わえた。エネルギーを貰いに来た様な。。。
試飲はせず・・・笠沙恵比寿と原酒・薩摩すんくじらを土産に、ここを後にした。。。
その後・・・。朝一番の飛行機で東京へ帰るが、ギリギリまで飲んだくれ・・・。

桜島だぁー!!!男の背中・第二弾

帰りたくなかった・・・。(子供か・・・!!!)